2018年10月の記事一覧

「皆様へのお知らせ/工房からの風」New

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CHIGUMA(木工)

今回の木工作家の中で唯一の女性、山口陽子さん。
CHIGUMA(チグマ)という工房名で作品を発表しています。

Q1
CHIGUMAさんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
無垢の木を使った手彫りのお皿、ボウルを中心に、
スプーンやカットボード、漆ぬりのプレートなどを出品します。

CHIGUMA-2

器はひとつひとつ、
心地よい厚み、心地よい重みを探りながら彫りだしていきます。
手で持ちあげたときの感触を大事にしています。
自然の美しさを感じられるような、包容力の豊かなものとなるように。
ぜひ末長くお使いいただけたらと思います。

CHIGUMA-1

CHIGUMAさんの器の魅力は、心地よいヴォリューム感。
やや厚めの形でありながら、洗練されたフォルムなのです。
薄くて洗練、というのは比較的ありますが、
厚くて洗練というところが印象的で、
普段使いはもちろんですが、リビングのインテリア的な木の器としてもおすすめなのです。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、
いずれかを教えてくださいますか?

A2
むかし旅人になりたかったので、、
工房ではいつもどこかのワールドミュージックを。

最近は Caetano Veloso をよく聴きながら
気持ちだけブラジル旅行してます♪

CHIGUMA-4

作られる木の器ととっても似合った音楽ですね。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
まっさきに思い浮かんだのは、
軽井沢にあるアントニン・レーモンド設計の聖パウロカトリック教会です。
木工をはじめる前、教会建築に魅せられ建築を学んでいて、
何度も足を運びました。

とんがった三角屋根、それが豪快に木の丸太を組んで作られていて、
野性的というか木の持つ力強さを感じました。
それでいて差しこむ陽のひかりを優しくうけとめて、
空間全体がとてもやわらかく、心地よい。

そのときは自分が木に携わる仕事をするとは思っていませんでしたが、
木という素材を体感し、その魅力を知るきっかけとなりました。

CHIGUMA-3

山口さんの興味関心のあること、学んできたこと。
そのひとつひとつの種子のようなものが、
じんわり木の器となって現れているのでしょうか。
山口さんという作り手のならではの美意識、
作りたいものがきっと明確にあるのだと感じています。
今はまだその一部が完成したところなのかもしれませんが、
あせらず、ひとつひとつの姿を完成させて、
新鮮な木の器、作品づくりを進めてほしいと願っています。

CHIGUMAさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、
galleryらふとの前方、砂利道をはさんだあたりです。

インスタグラムはこちらになります。
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吉野千晴さん(陶芸)

大分県で作陶をする吉野千晴さんからのメッセージをご紹介いたします。

Q1
吉野さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
染付や上絵の日常使いのうつわを出品します。
日本昔話みたいなあたたかくてひょうきんな楽しい絵付けを目指しています。

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ほっこりひょうきんな愛らしい絵付け。
日本昔話みたい、とはまさにですね。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、
いずれかを教えてくださいますか?

A2
ブルーノ・ムナーリの「木をかこう」です。
絵はいつも自由であることを教えてくれました。

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この本、大人こそ読むといいですよね。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
山です。

草や木が自由に育ち、動物たちが過ごしている。
その自然なことに、私は生かされているんだなぁと思います。
草や木をスケッチする度に、土から生えてきた根っこや、
枝から生える青々しい緑に生命力を感じます。
それを、ずっともっと大事にしていきたいです。

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吉野さんの工房をお訪ねしたことはないのですが、
きっと自然豊かなところなのではないでしょうか。
茶目っ気のある絵の根っこには、自然への想いがあふれているのですね。

吉野千晴さんの出展場所は、コルトン広場、スペイン階段前。
インスタグラムはこちらになります。
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Humming Works(木工)

四国、香川県で制作をするHumming Worksさんからのメッセージをご紹介します。

Q1
Humming Worksさんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
今回のテーマは箱です。
屋号であるHumming Works(ハミングワークス) の思い
「使い手から思わず鼻歌の出るようなものづくりを」
にそった様々な用途の箱をお持ちします。
手紙を想う箱、アクセサリーを飾る箱 etc.

収納という箱のもつ機能に、僕の思うところの美しさと、
飾るという機能を足す事で、使う人の毎日がちょっと気分の良いものになる箱。

「あ、私、また手紙書いてるわ。すっかり筆まめ」
「アクセサリーなくさなくなったよね、いっつも使うときに探してたのに」
ふっふん♪と言う様な。
なかなかニッチな箱もありますが、皆さんの琴線に触れる箱が見つかるとうれしいです。

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また、今年度のメインヴィジュアル「木(草)」にちなんで、
季節のリースやドライフラワー、モビールやエアープランツなどを飾る
「Hunging tree」を制作してみました。

家族以外では初お披露目です。
お気に入りの何かを飾る事で美しさを増す、+αで変化する木。
影も計算に入れて飾るものを選ぶと、夜は違った表情を見せてくれます。
木肌や木目、それぞれの木の持つ色や性質に会わせて仕上げも変えています。
お気に入りの一本を探してみてください。

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魅力的な木工作家が集う中、
特にテーマを設けて個性ある内容に構成くださった
Humming Worksさん。
木の箱、様々な展開が生まれているようですね。
見る方もイメージが広がっていきそうです。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、
いずれかを教えてくださいますか?

A2
朝には朝の、雨の日には雨の雰囲気に合う音楽を選びたいと思っています。
土曜の夜と日曜の朝は何となく特別で、
夜にはNorah Jones、
日曜の朝にはHenning Schmiedtが聞きたくなります。

また、子供が生まれてから不思議と急に心にしみるようになった曲があります。
Louis Armstrongの『What a wonderful world』
この歌の言葉をじっくり噛みしめると、
自分の周りにある色がひときわ眩しくみずみずしく感じられるようになる気がします。
また、いつまでもそう感じていたいなと思ったりします。
I hear babies crying の歌詞の後のくだりでぐっときます。
夜に書く手紙と、夜に聞くアームストロングはくせ者です。

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なんとなく耳さびしくてかけてしまうのではなく、
その日、その時ならではの曲を選んで聴くのはいいですよね。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
小学生の夏休みに青森の祖母の家に遊びに行ったときの事。
剪定した細いりんごの丸太を短く切って、
穴を3カ所あけるという簡単なペン立てを父とつくりました。

慣れないのこぎりを使って、長さを切り、
手まわしのドリルでペン用の穴をあけ、磨いて…。
今考えると、簡単に出来そうなのに、当時は無我夢中でした。

のこぎりは疲れるのに切れないし、
穴は綺麗にあかないのに深くならず、
磨いてもなかなかすべすべにはならない。
なんて、木工ってのは思い通りにいかないんだ!と。

今でも、まさかっ…。こんなことが…。
と、突如現れる割れや、誤算に悩まされる事もしばしばです。
でも、何とも美しい杢目と出会ったり、
想像以上にきれいな経年変化を見せてくれる木に
出会えたりするのもまた、木工の嬉しい誤算なのです。

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思い通りにいかなかったことが、未来の仕事になったとは。
子どもの時に手を通して作る行為は、とっても大切なのだと思います。
「工房からの風」でも、子どもたちに向けて「素材学校」というのを、
ずっと続けていますので、こちらもぜひご覧くださいね。

Humming Worksさんのテントはニッケ鎮守の杜の本部テントすぐ近く。
庭の駅というテントの隣です。

インスタグラムはこちらになります。
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Atsuko Yamaguchi(染織)

北海道から本州と、出展作家からのメッセージをご紹介してきました。
残るは、四国、九州、沖縄、スイスのあと6名の作家の方々。

それでは、徳島市で染織をされる
Atsuko Yamaguchiさんからのメッセージをご紹介しましょう。

Q1
Atsuko Yamaguchiさんは、
「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
根を張り、花を咲かせ、種を実らせるための生命力、
そのものである色を、蓮から分けてもらい染めた糸で
織ったストールなどを出品します。

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蓮って、ほんとうに魅力ある花ですね。
美しい花はたくさんありますが、特別の存在感のある花。
その蓮で染めた糸で織り上げた布。
ぜひ庭に、空に、光に透かしてみてみたいです。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、
いずれかを教えてくださいますか?

A2
・・・よく聴く音楽・・・
Fuziko Hemmingさんのピアノなど、クラシックを聴いていることが多いです。

たまに、旅先で出会い持ち帰った音楽も聴いています。
ジャンルは主にジャズ…だと思います。

ですが、この夏は「工房からの風」への出展を控えた緊張感に加え、
ひどく暑く、その熱っぽさの中、通常モードではエネルギーが足りなくて
普段はあまり聴かない男性ボーカルの音楽にも助けられました。

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この夏、ほんとうにほんとうに暑かったですね。
心の中も熱かった!Atsuko Yamaguchiさん。
その織りあげられた布は、清々しい中にも情熱的に織り上げられているのでしょうか。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
・・・思い出に残るもの・・・
祇園囃子の笛です。
絢爛な色彩の宵山の夜、太鼓や鉦の音や人の声と重なり、
高く響いて残る余韻が

鮮やかな景色と共に、記憶に残っています。

竹製の笛は、笛師と言われる職人さんによって作られているそうで、
自然と人の手が作り出した楽器という形に、
息を吹き込んで美しい音色を奏で

目に見えない大きな力に祈り、つつがない日々を願う
昔から変わらない想いを、
今も未来へ繋げていることを鮮明に感じたことも印象的でした。

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祇園囃子とは、阿波踊りのものでしょうか。
風土に根ざした思い出は宝物だと思います。

Atsuko Yamaguchiさんの出展場所は、手仕事の庭のほとり。
トキニワカフェも近くです。

ホームページはこちらになります。
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ヒヅミ峠舎(陶芸)

山口県柳井市日積においてヒヅミ峠舎を開いた
三浦圭司さん、アリサさん夫妻からのメッセージをご紹介しましょう。
(陶芸舎と峠舎をかけたんですね!)

Q1
ヒヅミ峠舎さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
染付と色絵の日常使いの器を出品させていただきます。
お茶碗、丼ぶり、蕎麦猪口、お皿、小鉢などです。

昔から人々に馴染みのある染付の器を
生活が楽しくなるようなかたちで、
少しだけ物語を含んだ図案で作りましたので、
今回特に見ていただきたいです。

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ヒヅミ峠舎さんでしか描けない個性的な絵付けの器。
たっぷり見応えありそうで、わくわくしますね。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、
いずれかを教えてくださいますか?

A2
工房でよく聴く音楽は「 鈴木常吉」さんです。
郷愁に駆られるアコーディオンの音色と、
光と影、男と女、父と子、生と死、表と裏・・・
というような二面性のある世界観がとてもあたたかく、
自分たちに考える時間を与えてくれます。

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好きな音楽と作品がとっても合っていますね。
郷愁とあたたかさとユーモアと。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
工房の入り口のドアです。
イギリスの100年程前の丸い形のステンドグラスを見つけ、
それを使って沖縄に住む父が木のドアを作ってくれました。

昼間は素朴でカントリーのような印象ですが、
夜は工房の白熱灯の灯りがステンドグラスを煌びやかにし、
外から見ると昭和の小さな呑み屋のような雰囲気になる。
そんな昼と夜の顔を持つ木のドアが大切な宝ものです。

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アリサさんは沖縄のご出身でしたね。
お父様が手掛けたイギリスのアンティークのドア。
どんな雰囲気なんでしょう。
ぜひ見せていただきたいです。

ヒヅミ峠舎さんの出展場所は、手仕事の庭のほとり。
お隣は同じくご夫婦で出展される和紙の小嶋紘平さん・祐希さん

ホームページはこちらになります。
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加賀雅之さん(木工)

岡山県に工房を構える木工作家加賀雅之さん。
Semi-Acoという工房名でも活動をされています。

Q1
加賀さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?
その中で、特に見ていただきたいものがありましたら、加えて教えてください。

A1
木の器、特にお皿類を中心にお持ちする予定です。

僕のものづくりのテーマに
「同じカタチをいくつもつくれる技術と芯を持つ」
というものがあります。

「手仕事」を言い訳にはしたくないという思いから、
自身に課したテーマの一つです。
ですが、今回は新たに「一点もの」にも挑戦してみようと考えています。
小さなチャレンジですが、僕なりに大きな一歩です。

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加賀さんの誠実なものづくり。
小さなチャレンジ!と言われる一点物の作品を見せていただくのも楽しみです。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、
いずれかを教えてくださいますか?

A2
工房ではいつもラジオをかけているので好きな本の話しを。

ものづくりに対して直接的に関係しているかは分かりませんが、
辻まことさんの「山からの言葉」という本が好きです。
僕は山屋じゃないけれど、山屋の視点はとてもしっくりと腑に落ちる。
きっと僕も、街には住めない種類の人間のようです。

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山屋の視点、気になります。
加賀さんからも、読んでみたい本を教えていただきました。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
今住んでいる自宅兼工房は、築70年近くになるいわゆる古民家。
初めてこの家を内見した時、作業場にしようと思っていた離れ屋の梁の
釿(ちょうな)の跡が美しくて、その場で購入を決めました。

たまたま近くで畑仕事をしていた老人が元の持ち主で、
聞けば元大工さん。
残念ながら昨年の9月に亡くなってしまったのですが、
釿の跡に感動して購入を決めたと伝えた時の
とても嬉しそうな顔を、今でもはっきりと覚えています。

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このお話しもとても素敵なストーリーですね。
元の持ち主の元大工さんの笑顔が浮かんできます。
こうして、心ある人に使いつながれていくもの。
加賀さんが作るものも、
きっと同じようなことを願って作られているのではないでしょうか。

加賀雅之さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜。
銀座アスターを背中にしたテント群の中にあります。

ホームページはこちらになります。
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Awabi ware(陶芸)

Awabi ware(あわびウェア)
2013年の初出展からそのお仕事を着々と確かなものとしてきた
岡本純一さん。
5年を経て、再び淡路島からやってきてくださいます。

Q1
Awabi ware、岡本純一さんは
「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?
その中で、特に見ていただきたいものがありましたら、加えて教えてください。

A1
ぜひ手にとっていただきたいものは、職人さんとともに作り上げた新作のパン皿です。
拭き漆仕上げのパン皿は、毎日の食卓で使われることで、その美しさが増していきます。

また、新作としてカップ&ソーサーなど数アイテムを出品します。
併せて、あわびウェアの定番の器も並びます。

カラーバリエーションは、基本色を中心に
パープル、黄色、トルコ青色などをセレクトする予定です。

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Awabi wareでは、岡本さんはメインの作り手のひとりであって、
かつディレクターとしての役割もされています。

岡本さんが感じ、想い描き、考えたことを、形にするために動く。
こうして生み出される作品が、Awabi wareの豊かな作品群となって
この場に帰ってきてくださいました。
2018年のAwabi ware。
まだまだ進化発展していくAwabi wareの今をたっぷり見せていただけそうです。

そうそう、陶器の制作がお仕事の大きなヴォリュームですが、
今回のように漆器の企画もなさって、
Awabi wareとして発表されるようにもなったのでした!

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、いずれかを教えてくださいますか?

A2
ものづくりをしていく中で常に考えていることは、
「民藝は可能か」ということ。
民藝を僕なりに要約すると、
私たちは自然と手をつなぐような道具づくりができているかどうか。

そんな民藝に真摯に向き合った赤木明登さんの著書「21世紀民藝」や
「美しいもの」シリーズは、
あわびウェアのものづくりに常に影響を与えています。

映画は何と言ってもスパイものが大好きです!トムクルーズ最高!

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岡本さん、この秋に「ミンゲイサイコウ」というサイトを立ち上げられました。
→ click

岡本さんが考える民藝とは、どういうことでしょう。
それは私がここで安易に言葉にしてしまうことではなくて、
民藝という言葉を巡って、ものづくりにまつわること、
もっと言えば、生きることについてといったさまざまなことを
共に考えあうことを、岡本さんは望んでいるような気がします。

民藝といえば、今回、14日の日曜日にはトークイベントを行います。
「民藝のインティマシー―」の著者でもあり、
NHK Eテレ『趣味どきっ!』「私の好きな民藝」
(4/3-5/29、全9回)に出演されていた
鞍田崇さん(明治大学准教授・哲学者)と稲垣で
「工藝を巡る耕し」について、お話ししたいと思います。
「工房からの風」はずっと小冊子や作家の言葉とともにありました。
言葉、文章とともにあるクラフトフェアならではのお話を、
鞍田さんと交わすことそのものが
「工藝を巡る耕し」になればよいと思っています。
岡本さんもひょっこりいらっしゃるかな?どうかな??

トークイベント
14日(日)12時からコルトン広場内テント
予約制ではなく、15分前(11:45)からお席に順番にご案内いたします。
※席に限りはありますが、お立ち見も可能です。
※天候により、急な場所の移動がある場合もございます。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
アトリエに木製のアームチェアがあります。
背もたれと座面がイグサで編まれていて、
どこか懐かしく愛着が持てます。
実は、それは大学で木工を学んでいた妻が二十歳の頃に作った作品です。
その椅子が、民藝という言葉に出会うきっかけとなりました。
それ以降、僕は、民藝館や道具屋を巡り民藝の美しさに魅了されていくのでした。
淡路島のアトリエにその椅子はあります。
よかったらいつかお立ち寄りください。

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純一さんにはよき伴侶、寛子さんがいらっしゃいます。
Awabi wareの活動も寛子さんの力があってこそですね。
(と、純一さんがおっしゃいます)
今のAwabi wareを導いたといってもいいような木の椅子。
淡路島のAwabi wareを訪ねた時、私も見せていただきました。
皆様も淡路島に行かれた折には、ぜひ見せていただいてはいかがでしょうか。

Awabi ware、岡本純一さんのブースはニッケ鎮守の杜、
中央のレンガ道に沿った緑の下草のスペースです。

ミンゲイサイコウのサイトはこちらになります。
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吉澤佑種子(アダンの帽子)

皆さん、アダン、って知っていますか?
亜熱帯、熱帯に生育するタコノキ科の常緑小高木。
私は、奄美大島で描かれた田中一村の絵でかろうじて知っていました。
関東に暮らしていると身近には触れることのないアダン。
それを素材として作品作りをする
吉澤佑種子(ゆうこ)さんからのメッセージをご紹介しましょう。

Q1
吉澤さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
沖縄のアダンという植物を使って編んだ帽子を出品させていただきます。

アダンの葉のみで編みあげたアダン帽子は涼やかでとても軽く
シンプルな美しさが魅力です。

季節は秋となりますが、
ぜひお手にとっていろいろとかぶっていただき
ひと夏の帽子ではなく
これから長く永く共に暮らしを彩っていける
そんな ひとつ との出会いを楽しんでいただけましたらとても幸せです。

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沖縄にしばらく移り住んでいらした吉澤さん。
その時に出会ったアダンの帽子。
戦前には一大産業として栄え、
今はすっかり衰退してしまっているその帽子と縁あって出会いを得られました。
現在は丹波市に住みながらも、沖縄の方とのつながりのもと
制作を続けていらっしゃいます。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、いずれかを教えてくださいますか?

A2
時計がわりにラジオをかけることもありますが
普段一番よく聴いているのは、
外から聞こえてくる様々な鳥や蛙、
いろいろな虫たちの奏でる音楽です。

その中でも特に愛すべきは
愛猫のイビキや寝息が奏でる妙なる調べ。
重低音で響くのどを鳴らす幸せなリズム。

ついつい熱中してしまいがちな私は
彼女のおかげで、手を休め、一息つくようなことが多々あります。
BGMから休憩時間の確保までマネージメントしてくれる
できる相棒に恵まれ、日々、制作を満喫しています。

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共通する作家の方も多いですね。
自然が奏でる調べ(猫も自然の一部ですものね)を慈しむ想い。
今度、音楽や本、映画の話もぜひ伺ってみたいです。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
カゴやザル、イスや机などなど
暮らしの中でお世話になっているものは数多くありますが、
ひとつ となるとやはり

『初めて編んだアダン帽子』です。

沖縄の伊江島で大城ナツさんに初めてお会いした時につくったもので
何が何やらわからぬままになんとかかんとか形になったものの
とても不恰好な上、頭も入らずかぶることが出来ませんでした。。。
そのおかげ?でもう一つ、もう一つと編み続け
すっかりアダン帽子に魅入られてしまいました。

かぶれない不恰好な帽子ではありますが、
私にとっては、とても大切な宝物です。

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人との出会い、ものとの出会いはほんとうに不思議で面白いですね。
アダンで帽子を編むことが、ひとりの女性の生きていく骨格となっていく。
そのような素晴らしい出会いの実りのような帽子を通して、
私たちもさまざまな想いを得ることができるのではないでしょうか。

吉澤佑種子さんの出展場所は、おりひめ神社の奥。
インスタグラムはこちらになります。
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近藤亮介さん(陶芸)

奈良県に登り窯を築く近藤亮介さんからのメッセージをご紹介いたしましょう。

Q1
近藤さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
食器と花器を出品します。

赤い土は化粧をしたり象嵌をして活きるように。
白い土はその土の質感が活きるような透明釉をかけます。
微妙な鉄分の土は窯変が鮮やかになるような焼き方を目指して作ります。
基本的に粘りが少ない土を使っているのであまり大きなものは作れません。
比較的粘りのある土では型打ちの器を作っています。

鉄絵の皿等もあります。
ちょっと前にすぐ近所の山を崩して取れた土があるんです。
赤土も白土も耐火度がとても高いです。
今のところ焼き負けてるので、
良い具合に仕上げて持っていければと思います。

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近藤さんの器を使っています。
広島で掘った土を使って焼いたというその皿がとてもいいのです。
仕事柄たくさんの陶芸作品と出会えて、
自身も守備範囲!というか好みが広やかだと思っているのですが、
久しぶりに王道の「やきもの」に出会えたような喜びがありました。

作られる形はオーソドックスです。
というか、今っぽくはないかもしれません。
けれど、そこがかえって新鮮かもしれませんね。
人の営みの時の中で磨かれ、熟した形。
美しい姿の器です。

いただいた画像も素敵ですが、ぜひ直接目で見て、掌で包んでみてください。
土の、炎の美しい存在感を感じていただけることと思います。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、いずれかを教えてくださいますか?

A2
芳村俊一先生の本は定期的に読み返します。
主に土や石を探して焼くことについての本です。
自分も経験値が上がるにつれて、
以前はわからなかった内容がわかることがあり、感動します。

やきものの仕事をしていると、こういった事が多々あります。
それが大きな魅力です。

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近藤さんは自ら土を探し、堀り、陶芸用に整え、焼き上げていくひと。
志す道のしるべのような書物との出会いは幸福ですね。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
自分が独立してやきものをつくるにあたって、
先生が「木ベラ」と「竹の曲がり」という成形道具をわけてくださいました。

やきものの削りの作業をするときに使うのですが、
必ずチラッと先生のことが頭をよぎります。

先生のことをとても尊敬しています。
お陰で、使うときはいつも身が引き締まる思いです。

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現在の工藝作家は弟子入りをせずに独学で世に出る人が多くなりました。
そのことの自由さやよさも色々あるかと思いますが、
一方、弟子として修業された作家の方ならではの強みというか、
豊かさというのもあらためて思うことがあります。

先の書物もですけれど、尊敬する師をもつ近藤さんの
これからのお仕事、作るものがとても楽しみなのです。

近藤亮介さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜。
広場側から入ってすぐの緑の下草の中のテントです。

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京都炭山朝倉木工(木工)

京都府宇治市で、京都炭山朝倉木工を開く朝倉亨さんと玲奈さん。
二回目の出展となりました。

Q1
朝倉さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?

A1
今年は工房開設10周年の節目の年です。
その活動のなかで最大の作品を出品します。
栗材を拭漆で仕上げた大飾棚でW2800×H2000あります。
かなりの迫力です。

800_栗拭漆大飾棚

こちら、ですね!
栗の木を素材として、拭き漆で仕上げられた重厚な飾り棚。

工房開設10周年という節目に、この大作をもって、
京都からはるばる「工房からの風」の地に来て発表くださること。
そのお気持ちを、私たち企画者も本当にありがたく思っています。

「工房からの風」が、このように出展作家にとって
よき節目の場にもなれるように、私たちも心を澄ませて準備に励みます!

そうそう、朝倉さんは他にも

800_我谷盆とサーバースプーン

匙や楊枝入れなどの小物も制作されています。

Q2
工房でよく聴く音楽、
または、ものづくりを進める中で大切にしている本、
あるいは、心の中で大切にしている映画、いずれかを教えてくださいますか?

A2
作業中は無音です。
音楽やラジオはつけません。
木の削れる音に耳を傾け木と対話します。
心地よい集中の海に沈んでいく感覚が良いのです。

800_トーチェア

『心地よい集中の海に沈んでいく感覚』
ものづくりの人たちが共通に抱く感覚なのではないでしょうか。
その感覚が作品の底ひに流れているのかもしれません。

Q3
草や木で作られたもの(工芸品に限らず)で、
大切にしているものや、思い出に残るものをひとつ教えてください。

A3
ゴッホの椅子です。

山で木を切り倒してすぐ生木のままで加工して組み立てます。
使いながら乾燥させるのですが
乾燥が進むと仕口が引き締まりより堅牢な木組みになっていきます。
材木は製材して何年も乾燥させないと使えないと
思い込んでいたのでこの生木の木工は晴天の霹靂でした。
これをグリーンウッドワークといいます。

800_我谷盆と爪楊枝入れ

きちっと作りこんで丁寧に仕上げる朝倉さんだからこそ、
このグリーンウッドワークが、創造の意識を広げてくれたのですね。
学び、経験値をあげていきながら、発想を固めずに柔軟に開いていく。
ものは時に、大切なことをあらためて気づかせてくれますね。

京都炭山朝倉木工さんの出展場所は、おりひめ神社と稲荷社の前。
先ほどの画像にもあった大きな栗の飾り棚を中心に、
大小さまざまな木でつくられた作品と亨さんと玲奈さんが、
皆様をお待ちしています。

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