投稿者「director」のアーカイブ

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青人窯(陶芸)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
青人窯さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
地元の農家さんからいただいた柿灰を釉薬にしたお皿です。
質感を出すため釉薬が溶けすぎず、ガサガサにもならないギリギリの温度で焼いています。
コンピューターで1℃、1分単位でコントロールできる窯ですが実際には窯全体の3分の1くらいのスペースでしかとる事が出来ません。
開業以来、米どころ、酒どころである地元に「新潟焼」(仮称)を立ち上げる事を目標にしていますが、原点となるシリーズだと思っています。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
食材に恵まれたご当地焼して「新潟焼」(仮称)を構想し続けていたところ、新潟県新発田市にオープンした地元食材のみを用いたオーベルジュNe(https://ne-auberge.jp/)の陶器を任せていただきました。

フランス料理という事でフラットな丸皿を連想していたのですが、和食器のような質感を重視した釉薬や焼、少し癖のある形になっており期せずして自分の構想を深める機会をいただきました。

Q3
青人窯さんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。

A3
阿賀町三川に築窯した穴窯です。
穴窯は登り窯以上に薪窯で焼いた火と灰の色がストレートに出る窯です。

作ったのは11年前ですが失敗続きで、焼けるようになったのは去年からです。
今年はNeの仕事とその成果発表が「工房からの風」での新機軸予定なので
特に失敗の許されない緊張した日々で、胃がキリキリしてました。

新潟焼(仮称)を実現するために課している課題として地元原料の釉薬(Q1)
地元原土の利用(Q2)
穴窯焼成による魅力的な焼成(Q3)
という事で、ようやくスタートラインが見えてきたので息の長い取り組みを続けられればと思います。

新潟県に窯を構える青人窯、大山育男さんは、3回目の出展となります。
「工房からの風」への来場を重ねてくださる方の中には、青人窯の器をご愛用の方も多いことと思います。
今回は新しい表情の作品も加わってくるようですね。

青人窯の出展場所は、コルトン広場モニュメントの近く。
インスタグラムはこちらです。
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樋口萌さん(陶芸)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
樋口萌さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
染付花唐草マグカップです。
前回の出展の際に作風が決まり始め、少しづつ形や絵付を変えながら今の雰囲気に落ち着き始めました。
比較的シンプルな形に染付で絵を描いて、マットな釉薬で仕上げています。
高台部分に縄目文様を施し弁柄を巻くことで、華やかさだけでなくやきものの素材感を感じていただけるよう制作しています。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
染付足付蓋碗です。
こちらは、私の品物を見て、中国茶を飲むときの蓋碗を作れないかとギャラリストの方にご提案いただき制作したものです。
先方の希望に力量が叶ったかは定かではありませんが、追加でご注文をいただいたり、その後他の発表の際にもご好評いただきました。
文様やつまみの形を様々にバリエーション展開して、お気に入りを選んでいただけるようにしています。
用途を中国茶に絞らず、小さな存在として手に取ってくださる方も多いように感じます。

何より自身の作っているものから発想をいただき、新しく品物が生まれたことが嬉しい体験で、
今後もこのような形で売り手の方と繋がり、買い手へ届けるという流れが生まれたらいいなと思っています。

Q4
「工房からの風」の出展が決まってから、樋口萌さんに起こった変化について教えてください。

A4
「工房からの風」はわたしにとってすこし特殊なクラフトイベントです。
それはサポートくださる同じ工藝作家でもある風人さん、そしてディレクション担当の稲垣さんの顔がそれぞれ明確に見えるというところです。
見えるということは同時にこちらも見られているのだ、と開催の日が近づくにつれヒリヒリと感じるようになりました。
前回(2023年)の出展からたかだか2年でまた選考を通過させていただけたことに感謝して、なんらかの進化を感じてもらえるように、と制作しています。
のびやかにかっこいい線を描きたいです。

二年前には未だ誕生していなかった、つまみに動物などの立体を据えた作品群。
そして、樋口萌さんが描き続ける呉須の線が益々伸びやかになっていること。
こつこつと制作を続けて来られた実りが、三重県からやってきます。

樋口萌さんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。
インスタグラムはこちらです。
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柴田俊恵さん(装身具)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
柴田俊恵さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
漆の伝統工芸を学ぶ中で、上塗りや蒔絵とは異なる下地の魅力に気がつき、それらを装身具に活かしました。

下地を手でこね、何気ない日常生活で感じる自然の香り、生物の動き、音の響き、色、形、
それらが心の中で積み重なり形となって表れています。

そうしてできた物に漆の下地を塗り重ねています。
シルバーや真珠の部分は、漆を引き立てるためにシンプルなデザインにし、有機的な形と幾何学的な形を融合させることで、現代的な印象に仕上げています。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
今回は遊びをテーマに制作をしています。
娘と粘土で遊んだ形から、漆で型をとり立体に仕上げました。
一見、重そうに見えますが中が空洞のため軽くなっています。
是非、手に取って見ていただきたい作品となっております。

Q4
「工房からの風」の出展が決まってから、柴田俊恵さんに起こった変化について教えてください。

A4
出展が決まってから、色々なことにチャレンジをするようになりました。
今まではクラフトフェアに参加したいな、という思いがあっても行動に移すこともなく時間ばかりが過ぎていました。
今年はいつもと違い意欲的に制作活動をし、新しい出会いがたくさんありました。

伝統的な漆芸を学んだ柴田俊恵さんが手がける装身具。
金属とは異なる質感と軽やかさなど、新鮮な表情も魅力です。

オヴジェもふくめ、個性豊かな作品群、楽しみですね。

柴田俊恵さんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。
インスタグラムはこちらです。
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加藤智恵美さん(陶芸)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
加藤智恵美さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
丸みを帯びた蓋のポット(茶器)です。
ベレー帽をイメージした形の蓋で、ポットが
帽子をかぶっているような姿が気に入っています。
陶芸を学んだ研究所の卒展でこのような茶器を作り、10年以上経った今でも家で使用しているほど、私はこの形が好きです。
丸みのあるフォルムは柔らかい印象で、使っていると穏やかな気持ちになれます。
「工房からの風」では、ボディが丸いもの・しのぎ模様を施した茶器を出展します。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
しのぎ模様を施した花器です。
シンプルな直線の形に、細いしのぎを入れました。どんな色の草花でも、どんなボリュームの花でも映える器かなと思います。
口元は少し広げた形になっており、花首を支えられるようにしました。

Q4
「工房からの風」の出展が決まってから、加藤智恵美さんに起こった変化について教えてください。

A4
これから先のこと、5年後10年後···その先まで考えるようになりました。
これまでは目の前のやる事で、頭と体力がいっぱいいっぱいでした。

「工房からの風」は、出展決定から本番までかなり時間があります。
この期間に、一旦立ち止まって今後の作家人生をどう生きたいか、何を作って生きていきたいのかをじっくり考えることができました。

『やりたい事を絞って、そこに時間をかけ、精査する。』
これができたこと、その大切さに気づけたことは、とても有意義だったと思います。

清潔感のある白い磁土を、穏やかな丸みのあるフォルムで形づくられた器。
潔さと温もりの響きあった器は、長く暮らしを共にするほど愛着が湧いていきますね。

工房からの風出展までの準備期間を、制作と共に思考を熟す時間にも活用くださったこと。
これからの加藤智恵美さんのものづくりに、きっと活かされますね。

加藤智恵美さんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。
インスタグラムはこちらです。
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Tomoko Yuki(装身具)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
Tomoko Yukiさんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
樹脂を用いた作品をずっと作り続けていますが、特にリングは沢山作ってきました。
エポキシ樹脂という素材を使っていて、硬化した樹脂のパーツに絵を描いて作っています。

少し前から樹脂の作品には一つ一つ名前を付け、小さな物語も一緒にご紹介するようになりました。
今回は「おかえりなさいうさぎくん」という名前の、うさぎのぬいぐるみをモチーフとしたリングを持ってゆきます。
そちらの物語も一緒に展示する予定なので、ご覧いただけると嬉しいです。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
「はなうらない」という名前のリングが新作です。
同じ装飾でイヤカフの制作をしていたのですが、サイズの展開の幅があるシルバーのリングや天然石と合わせたもの等を新しく作っています。
はなびらが散らばっているのを見つけ、誰かがここでお花に相談事をしていたのかなぁと思いを馳せる一場面を想像し制作しました。
私は最初に樹脂を素材としてアクセサリーを作ることから物作りをはじめたので、金属と天然石で表現する作品は、新鮮な気持ちで取り組んでいます。

Q3
Tomoko Yukiさんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。
(制作道具、什器、壁にかけているもの、大切にしているどなたかの作品、ペット、、などなど)

A3
道具とは違うのですが、今、身近にあって嬉しいものはお客様にお渡しする紙箱です。
私は箱が好きで、お菓子の箱を集めたり、作家さんの手作りの箱を購入したり、蚤の市でジュエリーケースを探したりしています。

写真の箱は夏ごろに新しく発注したもので、樹脂の作品で紹介したうさぎくんの絵柄になります。
これまで使っていた柄を続けて使う事も考えたのですが、今はこのうさぎくんが私の心に添う絵柄だな…と感じて、なんとなく眺めていると嬉しい気持ちになるのです。
これからこの箱に入った作品たちが、どなたかのおうちへ元気に旅立って行ってくれますように…と願っています。

ame というブランド名で出展くださったのは、コロナ禍で小さく開催をした2021年でした。
今回は、お名前をアルファベットにして、フレッシュな構成で臨んでくださいます。
物語のある樹脂の作品と、新たに加わった天然石を用いた作品。
響きあってどんなディスプレイで見せてくださるのでしょうか。

Tomoko Yukiさんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。
HPはこちらです。
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添田樹さん(陶芸)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
添田樹さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
代表的な作品は動物の角小皿シリーズです
あまり器に描かれない、ユニークな動物を描いています。
動物と周りの模様を関連させてデザインしてみたり、必ず絵柄の真ん中に四角の枠を設けているのですが、動物によって四角の枠をどうアレンジしようか毎回考えるのがとても楽しいです。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
今回の新作、六角皿シリーズを特に見ていただきたいです。
今回、工房からの風に出展するにあたり「形にこだわる」「自分だけの線の表情、タッチを見つける」という目標を立てて制作をしました。
呉須を用いる下絵付けはとても奥深く、線の濃さや細さによって焼き上がった後の絵の印象が大きく変わるところが魅力だと感じております。
これからも線の細さ、濃さの表現の幅が広い中から、自分らしいタッチや線の表情とは何か?と考える意識をしていきたいと思うきっかけとなりました。

Q4
「工房からの風」の出展が決まってから、添田樹さんに起こった変化について教えてください。

A4
自分の作品をこれからどう展開していこうか。
方向性が少し見えたこと、作品をより良くするために、思いついた方法を試していく中で一つ一つの作品とより深く向き合うことができました。

第1回のミーティングに参加したことで、自分の作品への課題や気づきを得ることができました。
今回、今までの自分の作品をより良いものに越えていけるような展示にしたいと意気込み、新しい作品への挑戦や今までの絵の見直しをしてきましたが、改めて既存の作品の良いところにも気づきました。
それと同時にどうしたらより良い作品になるのか今まで漠然としていたものが固まってきた気がします。

添田樹さんも1990年代生まれの若き作り手。
制作自体は工房に籠って行うものですが、同時代にものづくりを生業としようと励むさまざまなジャンルの作り手との出会いが、創作の心を広やかにしたのではないでしょうか。
この数か月でも、ぐんと伸びた作品の姿、楽しみです。

添田樹さんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。
インスタグラムはこちらです。
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Little Riddle(金工)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
Little Riddleさんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
雑貨の製作をスタートして7年、当初からあるアイテムのひとつがブックマーカーです。
丸い輪の付いた方は「enter」、物語の入り口のイメージ。
レザーのひもの方は「answer」、ひもの先に解答欄「A. 」のプレートが付いています。
本の中で得た答えを記入する欄のイメージです。

本が好きで電車の中などでも読んでいましたが、読んでいる最中しおりのやり場に困ったり、紙のしおりをなくしてしまうことがしばしば。
そのような経験から生まれた、読書中、指に掛けておけるしおりです。
しおり問題、本が好きな方は分かってくださり、話が盛り上がります。
本の世界に入る「enter」、そして読み終えて自分なりの答えを見つける「answer」。
本が好きな方は、ぜひセットで揃えてください。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
今回は、いつも製作しているジュエリーや雑貨のほか、金属でかたどった落ち葉を並べます。
日の光を求めて伸びていく木々の姿は、未来へと腕を伸ばす私たち人間の姿と重なります。
そして葉は、生きていく中で形作られた成果であり、また、落ちて土となりその先の栄養となるもの。
ひとつひとつの葉は、ひとりひとりの生きる姿のように、二つと同じものはありません。
秋の庭で、心に留まる葉を見つけて拾い上げていただければと思います。

Q3
Little Riddleさんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。

A3
林亜希子さんのガラスの花器。
ごくシンプルな形状や素材で、一見どこにでもありそうなのに、意外とない。
緊張感のある、凛としたたたずまい。
ずっと憧れていたのですが、吹きガラスの製作を終了されるとのことで、手に入らなくなる前に…と購入したものです。
金属とガラス、素材は異なりますが、林さんの作品は理想の存在で、あのような在り方の作品を作っていきたいと思い続けています。

““““““““““““““““““““““
Little Riddleさんの出展は二回目。
前回は2023年ですから、記憶に新しい方もおおいのではないでしょうか。

すっきり端正な金属の作品。
今回は有機的な葉っぱ!も登場するとのこと。
とても楽しみです。

Little Riddleさんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。
HPはこちらです。
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工房での制作光景はこちらの映像をご覧ください。
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映像編集:いとうゆり

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Emina Mizuki (装身具・織布)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
Emina Mizukiさんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
手織り、手染めのテキスタイルを用いた装身具を出品いたします。
経糸に「絹糸」、緯糸に細く切り裂いた「正絹オーガンジー」を用いて、手織りでテキスタイルを制作。
自ら編み出した手法で織り上げたテキスタイルの良さを活かすように、織物の一部を切り取って、装身具に落とし込んでいます。

中でも、織物の縁「耳」と呼ばれる部分を活かした【MIMI】seriesのイヤリング、ピアスは、大振りながらも軽やかで、身につける方の個性をそっと引き立てます。
ご試着可能なものもございますので、是非会場にて、儚く優しい質感をお試しいただければ幸いです。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
装身具がメインの展示とはなりますが、今回の出展を機に、新しいチャレンジとして、織物そのものを魅せるアート作品もお持ちしようと考えております。
手染めならではの自然な色の滲みや、素材の透け感、糸と糸の交差、おみせしたい特徴、個性がたくさんあります。
まだまだ荒削りな表現になるかとは思いますが、「シルクオーガンジーを用いた裂織り」を存分に感じていただける作品を準備いたしますので、私の新たな挑戦をご覧いただけますと嬉しいです。

Q3
Emina Mizukiさんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。

A3
常に身近に置いている道具3点。
カッター、鉄定規、ピンセット です。

織り作家としてはそこまで使用頻度の高い道具では無いのですが、私にとっては相棒のような存在たちです。
大学生時代は建築を学んでおり、図面や模型制作において、毎日この道具たちを使用してきました。
昼夜を問わず、私がものづくりと向き合っているときは、必ずそばにいました。
ものを創り出すことへのリスペクトの心を培った大学4年間、種こそ違えど、今の創り手としての活動の礎となっています。

その時期に肌身離さず持っていた道具たちは、当時の、怖いもの知らずに挑戦し続けるエネルギーや、初めて自分が創り出したものについて談義した感動を思い出させ、フレッシュな気持ちを呼び起こしてくれます。

時には色んな苦悩を共に乗り越えてきた相棒として、今でも出展の際には必ず持って行き、御守りのような役割を果たしてくれる、なくてはならない存在です。
きっと、この先もずっと、全国各地の出展を共にしていくと思います。
ものづくりができる感謝と初心を忘れないためにも、私のものづくりの原点となった道具たちを、この先も永く、大切に使い続けていきます。

Emina Mizukiさんは自らの興味関心、創らずにはいられないものを、どこかのだれかに届くようにと形にし始めたところ。
その新鮮な表現やかたちへの感想をぜひ、会場でお伝えいただけたらと思います。
作品を介した想いの交流は、使い手と作り手それぞれの感性に磨きがかかっていくことと思います。
きっと、楽しい会話が繰り広げられますね。

Emina Mizukiさんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前
インスタグラムはこちらです。
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浜西 正さん(木工)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
浜西正さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
アクセサリ重箱を紹介します。
重ねたり、仕切りが外せるようにしているんですが、その動作に木のならではの感触や、手仕事を感じられると思います。
外観は木材を切った順番そのままに配置していますので、木目も揃って自然な感じなんですよ。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
特に見ていただきたいのは木目彫り。
箱の蓋に加飾する彫り方で、木目の間隔を、3mmの丸刀で彫り埋めます。
光の反射で浮かび上がる文様が煙に見えたり、川に見えたり。
自然美と手仕事、うまく引き立て合っていると思うのです。

Q3
浜西正さんの「工房」で印象的な「もの」をひとつ教えてください。

A3
好きな道具をひとつ紹介します。
スコヤ(square)と言う直角の定規です。
僕が好きなのは焼き入れが施され、目盛りの無いタイプ。
作業中、ぶつけたり、落としたりしても、超硬くてそう簡単には変形しない。
いつまでも直角が正確なんです。
目盛りが無いから、寸法を測ることはできないんだけど、そこが不器用だけど実直な感じがして好きなんです。
直角はきっちり見させてもらいますと。
信頼できるヤツなのです。

木の箱。
と、ひと言で呼んでも、奥が深いですね。
容れるものの多様さから、箱の姿がさまざまに。

浜西正さんの木の箱ものからは、きりっとした始末の良さと、素材からくるあたたかみが響きあって、何とも言えない心地よさがあります。
コレクションケースをはじめ、「こういうのが欲しかった!」という方、きっとたくさんいらっしゃいますね。

浜西正さんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前
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inch”(インチインチ/装身具)

Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
inch”さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。

A1
メタルのライブに行くときに着けたいと思ったものを作り始めたのがアクセサリー制作のきっかけです。
スタッズブレスレットもそのひとつ。
けれど、ライブで兄の振り上げる腕のスタッズ(金属製)ブレスレットが頭に当たって地味に痛かった。
これはモッシュでも危険に違いない。
編みなら柔らかく仕上がるし、ビーズを編み込めば金属の雰囲気を持たせることもできる。
天啓を得たような気がしました。
それから、より編み地が綺麗に並ぶように、取ってつけたようなトゲではなく、自然と生え出たような一体感のあるトゲにしたく、何度も改良しました。
糸とビーズだけで仕立てているので、水に濡れても安心。
汗も海も気にせず身につけられます。
行きたい場所へ、したいことへ、自分らしい装いとともにご堪能ください。

Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。

A2
「編みたい」という渇望にinch”らしさを足したらクッションになりました。
背に座ると収まりが悪く、酷く座り心地の悪いクッションですが、
あるだけで楽しくて、抱き抱えると心地よい最高のクッションだと思います。

Q4
「工房からの風」の出展が決まってから、inch”さんに起こった変化について教えてください。

A4
“ どうしたらもっと届けられるだろう ”
と思い、「手しごとを結ぶ庭」を手にしました。
届けるためのディスプレイでの心構えなど、何かヒントを得られるのではないかと思ったのです。
本を開いて4ページ目の序文にあった “ 結ぶ ” という言葉から、届けるんじゃないんだ!結ぶんだ!と衝撃に固まってしまいました。
そもそもから違うんだと呆然としてしまったのです。

そこから読み進めるうち、コンセプトに囚われてはいなかっただろうか?
売るためのコンセプトになってはいなかっただろうか。
簡単な編みだから、単純な編みだからと美しいと思っても遠ざけていなかっただろうか?
純粋な編みたいという迸りに蓋をして見なかったことにしていなかっただろうか?
と思いがけず、原点を省みることに。
「工房からの風」まで2ヶ月を切っているのに!!

ただ、ビーズが整然と並ぶ姿そのものに、美しさを感じています。
その静かな美しさが、どなたかの心に届き、共感を結ぶことができたら。

『ライブで兄の振り上げる腕のスタッズ(金属製)ブレスレットが頭に当たって地味に痛かった。
・・・
編みなら柔らかく仕上がるし、ビーズを編み込めば金属の雰囲気を持たせることもできる。』

ビーズの細やかな表情の原点が、メタルのライブだったとは。
インチインチさんのデザインの個性と、それを形作る誠実な技術が響きあったビーズ作品は、唯一無二のもの。
第一印象とその奥にあるものの素敵なギャップを、ぜひ会場で感じてみてください。

inch”(インチインチ)さんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。
インスタグラムはこちらです。
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