2025年10月の記事一覧

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BLUEPOND・青池茉由子さんからのことば

「凪ぐ浜の宝物」
嵐の去った後の浜辺にきらりと光る宝物のような想い、言葉。
稲垣宛に届いたメールの一部を、10作家ほどご許可をいただいて皆様と共有していきます。

北海道札幌市でキルンガラスを制作されるBLUEPOND・青池茉由子さん。
ニッケ鎮守の杜、中央の手仕事の庭の花壇の前で展示をしてくださいました。
青池茉由子さんからのメールの一部をご紹介しましょう。


( photo Atsushi Okabayashi)

先日は、”第23回工房からの風”では本当に本当にありがとうございました。

言葉にするのが本当にむずかしいのですが …
すばらしい大きな恵みをいただいたこととてもありがたく、感謝しております。
工房からの風さんの軽やかで圧倒的な、想いの集結(?)のようなものに触れて、優しく打ちのめされながら過ごした2日間。
準備期間から当日、そしてその後まで、人生においても特別な時間となりました。
気持ちを消化し切るまで、もうしばらく時間がかかりそうです。

緑の美しいお庭で、たくさんの方と硝子の作品や光をご覧いただき一緒に楽しませていただいたことはもちろん、
お忙しい中本当に演奏も聴きにお越しくださり、さらに、マイクを通してまでお庭全体へお届けくださって….

思いがけない展開と自然な運びに、とっても驚きましたし、素敵な機会をありがとうございました。
改めて考えると、なんだか面白くて….!笑

また、硝子琴と木琴もお持ちして、本当に良かったです。
子供さんも大人の方も、弾きたいと言って率先して弾いてくださるかたがいらしたり、何度も来てくださる子がいたり、たくさんの方の嬉しそうな笑顔に出会わせて頂きました。

”いつかこんな暮らしができたら素敵だろうなあ。楽しいだろうなあ。
と長年思い描いているイメージがあるのですが、実のところ、今回のことはそれにとても近いものでもありました。
少しずつそれぞれを育んてきていましたが、それらを一度に合わせる…
ガラスの光を楽しみつつ、音を奏でたり聴いたりしながら、気持ちの合うみなさんと思い思いに語らう時間…本当に幸せな時間でした。

今回のことで、進む方向は間違っていないよと、稲垣さんや大きな存在(工房からの風の神様たち?)にも背中を押していただいたようで、これからに向けての本当に大きな励みをいただくことになりました。
これからも一歩一歩大切に歩を進めていこうと思います。
重ねがさね、この度は本当にありがとうございました。

まだまだ表しきれない想いはたくさんありますが、今回はこの辺りにしておきます。

心強いサポートしてくださった風人さんや庭びとさんたちにも、どうか感謝の旨お伝えください。
心より感謝を込めて…!!

青池 茉由子

青池さんは、ウクレレ演奏と作詞作曲と優しい歌声でのシンガーもされる方。
「ぜひ、ウクレレも持ってきてほしい。歌も歌ってほしい!」
と、お話はしていたのですが、日曜日、ひょっこりいいタイミングがあったので、急遽お願いを。

わぁ~やわらかなお声♪がお庭の緑にしみわたっていくよう。
と、これまた、急遽マイクを本部から調達して、会場内のスピーカーからも流せるようにセッティングして、2曲を演奏と歌っていただきました。

青池さんは、ずいぶん以前から「工房からの風」をご存じだったそうですが、多方面に活動をされているために、工藝一筋の方々の中に入ることを躊躇されていたもよう。
けれど、それぞれを伺ってみて、どれもが青池茉由子というひとりの表現者から出ているものだから、よい塩梅で展開してみては。
と提案してみたのです。
引き出しの一つだけを開けるのではなく、持っている引き出しの中から、この場に適したものをいくつも開けてほしいなと。

それが、とってもよかった。
「工房からの風」にもよかったけれど、青池さんもよかったって思います。
このよかった!は、一人にとどまらず、粒子となって、関わる方々に巡っていくようなイメージです。

BLUEPONDさんの出展前のメッセージはこちらです。
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戸隠かごや 朗々 -rou rou-・西濱芳子さんからのことば

「凪ぐ浜の宝物」
嵐の去った後の浜辺にきらりと光る宝物のような想い、言葉。
稲垣宛に届いたメールの一部を、10作家ほどご許可をいただいて皆様と共有していきます。

長野県戸隠村で、根曲がり竹で籠を編む「戸隠かごや 朗々 -rou rou-」の西濱芳子さん。
ニッケ鎮守の杜、おりひめ神社の奥で展示をしてくださいました。
西濱芳子さんからのメールの一部をご紹介しましょう。

この度は、約1年に渡る長い間、寄り添いながらサポートいただき、本当にありがとうございました。
事務局の皆様、風人の皆様、そして関わってくださった方々に支えられて無事に終えることができました。

また、多大なる機会をいただき映像、風人テントへの寄稿させていただけたことで、私たちの日常にある、繋いでいきたい景色を沢山の方々に共有できたことが何より嬉しく思っています。

沢山の方にかごを手にとっていただけたこと。
そして、購入いただいた際にお客様が「ありがとう」と笑顔で言ってくださったこと。
出展者の方々が「かごを持ったお客様が、購入した作品をかごに入れていきますと言う方が何人もいらした」とテントに報告に来てくれたこと。
風人の方々が「よかったね」と一緒に喜んでくれたこと。
出展した方々のテントを回って作品を沢山拝見できたこと。
沢山の仲間に出逢えたこと。
全てが、この場に立てたからこそ得られた貴重な宝物です

制作の時間が確保できない期間が続き、当日を迎えられないのではないかと思うことが度々ありました。
それでも、諦めたくないと踏ん張って本当によかった。
もう、これ以上走れないくらい走り切って本当によかった。
今は、そんな気持ちでいっぱいです。

もっともっと力強く駆け抜けられるようになった時、また工房からの風に挑戦させて頂けたら嬉しいです。
拙いボールを大きく受け止めていただき、本当にありがとうございました。

戸隠かごや朗々-rou rou-
西濱 芳子

一次選考で通過されて、さっそく1月のMTGに参加くださった西濱さん。
そこでの出会いから、西濱さんの現在の想い、これからの展望や願いを伺い、それに添った企画をご提案していくことができました。
一次募集に通過されて、早々にお話しできた方が、こうしてみるとよい結果につながっているように思います。
次回の応募を検討されている方、ぜひ12月に行う一次募集へ!

西濱芳子さんの出展前のメッセージはこちらです。
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tama glass・多賀屋泰子さんからのことば

「凪ぐ浜の宝物」
嵐の去った後の浜辺にきらりと光る宝物のような想い、言葉。
稲垣宛に届いたメールの一部を、10作家ほどご許可をいただいて皆様と共有していきます。

バーナー技法で耐熱ガラスを素材として制作をするtama glassの多賀屋泰子さん。
ニッケ鎮守の杜、galleryらふとの脇、手仕事の庭を借景としたテントで展示をしてくださいました。
多賀屋泰子さんからのメールの一部をご紹介しますね。

工房からの風。
応募を迷っていた頃から数えると、約一年間どっぷりと共に過ごしてきたように思います。
作品数を含め、私にとって今までで一番大きな挑戦だったため、特にこの半年間は一点集中で準備をしてきました。

以前は、作り続けていくにしても、どこへ向かえばいいのかわからない、というような心境でした。
憧れの作り手が通った道、作ることを生業とする方々の集う場所に行って、その人たちが何を見て、どんなことを考えているのか、知りたかったし、学びたかったのです。

事前のミーティングでは、稲垣さんや風人さん、ご一緒した作り手の方々から伺ったさまざまな言葉が印象的でした。
これまでぼんやりと感じていたことの答え合わせができたり、逆に、言葉が後から体験と結びついて立体的に理解できたりと、多くの学びがありました。
今後もきっと、新たな気づきが続いていくように思います。

そして、工房からの風を作っている、事務局の皆さま、風人さん、庭人さん。
その他にもたくさんの方がいらっしゃるのでしょう。
それぞれに才能溢れる方たちの想いがひとつになり、工房からの風が成り立っていることを、本番2日間を通じてひしひしと感じ、そのパワーに驚き、心揺さぶられました。

惜しみなく与えてもらいました。
私も精一杯、惜しみなくやろう、と思っていたのですが、
想像以上たくさんのものを与えてもらっていることに終盤になる頃やっと気づき、恥ずかしいような思いすらしました。

工房からの風を通じて、今後の活動の骨格となるであろう経験と、たくさんのエールをいただきました。
またこの場所に戻ってこられるよう、何か少しでも新しい実りをお返しできるよう、作り続けていきたいと思います。
本当にありがとうございました。

tama glass 多賀屋泰子

個性豊かな作家の方々の中にあって、控えめに静かにすべてのミーティングに参加されていた多賀屋さん。
『憧れの作り手が通った道、作ることを生業とする方々の集う場所に行って、その人たちが何を見て、どんなことを考えているのか、知りたかったし、学びたかった』
という想いを素直に、惜しみなく実践されていたのですね。

そのような想いに対して、実践できなかったとしたら(MTGに出席したり、私や風人さんたちと交流しなかったとしたら)、今回の展示にはならなかったことと思います。
まるで紙が水を吸うがごとく、お会いするたびに進化を遂げていらした多賀屋さん。
静かに、けれど惜しみなく向き合われた結果が今回の実りだったと思います。

とはいえ、今スタートラインに立ったところ。
ご自身が心豊かに制作を続けていけるように、消耗したり、消費されてしまわないように、
作る速度と選ばれる速度のバランスをチューニングしながら、制作を続けていただきたいと願っています。
その先に見えてくる美しい景色を期待しながら。

tama glassさんの出展前のメッセージはこちらです。
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旅する羊・猪又裕也さんからのことば

「凪ぐ浜の宝物」
嵐の去った後の浜辺にきらりと光る宝物のような想い、言葉。
稲垣宛に届いたメールの一部を、10作家ほどご許可をいただいて皆様と共有していきます。

岩手県雫石でホームスパンの手織布を制作する旅する羊の猪又裕也さん。
ニッケ鎮守の杜、おりひめ神社の脇に出展くださいました。
糸車で紡ぎもしながら制作のお話しもしてくださっていた猪又裕也さん、メールの一部をご紹介しましょう。

屋外での展覧会ゆえ、往々にして雨は望まない気持ちになりがちですが、今回の『工房からの風』を迎えるにあたっては、不思議と天候に対してネガティブな感情は生まれませんでした。

鎮守の杜には雨によって歓ぶ木々や草花がいて、そんな彼らを歓ぶ人々がいるからかもしれません。
日も雨も恵みと歓ぶあの杜に、居ることが叶うことこそが1つの達成と、自然と思えていました。
そんなことは初めてで、これも何かおりひめの御祭神のはからいなのかと感じずにはいられませんでした。

およそ10ヶ月前、自身2回目の出展が決まり、またあの空間に作品と身を置けることの幸せを噛み締めながらの準備期間が始まりました。
工房では羊毛と向き合い、ひと紡ぎをひと織りをただ直向きに重ねつつ、一方で手漕ぎ舟のように進む方向に対しての不安の感覚を常に孕んでもいました。

そうして迎えた『工房からの風』。
いざ開幕すると3年前の出展時にご購入くださった方や、印象に留めていてくださった方、また別の出展でご購入や知ってくださった方々が、「今回の出展を知って」と訪れてくださったことが多かったことが印象的で、実は想像していなかったことでもあり、本当に嬉しかったです。
更に初めてのお客さまとも多く触れることができ、羊毛に対して、ホームスパンに対して共感することができ、大きな歓びを感じた2日間でした。

抱いていた熱量も不安も分け隔てなく受け入れられた思いで、そっと掬い上げられるような多幸感に溢れていて、奥底から感謝が滲み出ました。

終わった今、展覧会に足を向ける思いと準備をして迎える思いのこの交わりこそが、稲垣さんの仰る作り手と使い手と伝え手の交流が興る磁力のある場なんだと、実感を伴って自分なりに解釈の解像度が上がった気がしております。

そんな場を設える企画運営の皆さま、本当に素敵な杜を司る庭人の皆さま、影に日向に奔走し誰をも支える風人の皆さま、ご来場のお客さま、共に出展を果たした皆さま、他にも私の思いの至らない所で関わりを持たれた皆さま全てに感謝いたします。

2年後、鎮守の杜でまた歓びを分かち合えるよう、ここから一つ一つ重ねて参ります。
その日を楽しみにしております。
この度は、本当にありがとうございました。

旅する羊・猪又裕也

おりひめ神社のお社の脇というのも、ぴったりでした。
朗らか、爽やかな笑顔で、糸のこと、織のこと、雫石のことを話していらした猪又さん。
いつもブースには、人と笑顔が満ちていましたね。

旅する羊・猪又裕也さんの出展前のメッセージも是非ご覧ください。
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榎並伸太郎さんからのことば

「凪ぐ浜の宝物」
嵐の去った後の浜辺にきらりと光る宝物のような想い、言葉。
稲垣宛に届いたメールの一部を、10作家ほどご許可をいただいて皆様と共有していきます。

滋賀県信楽町で作陶される榎並伸太郎さん。
ニッケ鎮守の杜、レンガ道を入って真ん中あたりに出展くださいました。
ホイップクリームみたいな白系統の陶器が、緑を借景に美しく映えていた榎並伸太郎さん、メールの一部をご紹介しましょう。

昨晩無事に信楽へ戻り、今日はこちらも天気が良く、後片付けの1日でした。
鎮守の杜、雨上がりの晴れの日、とても美しいんだろうなぁと想像が膨らみます。

これが今年度「工房からの風」の最後のメールなんですね。
正直寂しいです。
運営の方々、風人さん、作家の皆さん本当に大好きです。
こんなに皆んなに対して気持ちが入るクラフトフェア「工房からの風」は、唯一無二のイベントだと思います。

沢山の友達も出来ました。
この繋がりは僕の陶芸人生において、大きな原動力となります。
今日までに会った回数は少なくとも、皆同じ目標をもって半年間突っ走ってきた事、
そして終わった今、このメンバーで集まる事はもうないのかぁと切ない気持ちになってる自分が、まるで学生生活を共に過ごしてきた仲間との別れのような感覚にも感じます。

また何処かで今回のメンバーと一緒にお仕事が出来る事、とても待ち遠しいです。

ここまで作家一人一人に寄り添って一緒に準備して下さったこと、そして新しい仲間との継ながり、次の道へ切り開くきっかけを継ないで下さったこと、本当に感謝しております。

またお会い出来る日を楽しみしております。

半年間大変お世話になりました。

榎並伸太郎

『まるで学生生活を共に過ごしてきた仲間との別れのような感覚にも感じます。』
きゅんとした切ないような感覚。
毎回、熱心にミーティングにも出席されて、出会いの機会を豊かに生かした榎並さんならではですね。
会場でいつも幸せそうな表情でお客様に接していらしたのが、印象的でした。

榎並伸太郎さんの開催前のメッセージはこちらです。
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樋野由紀子さんからのことば

「凪ぐ浜の宝物」
嵐の去った後の浜辺にきらりと光る宝物のような想い、言葉。
稲垣宛に届いたメールの一部を、10作家ほどご許可をいただいて皆様と共有していきます。

島根県出雲市で染織に励まれる樋野由紀子さん。
ニッケ鎮守の杜、galleryらふとの手前のテントに出展くださいました。
民芸の文化が豊かにある出雲から届いた樋野由紀子さんのメールの一部をご紹介しましょう。

無事、工房へ帰っております。
メールをいただき、終わったのだなという実感と何とか無事に参加できた安堵感と、少し気が抜けた今です。

本当に本当にお世話になりました。
雨という事もあり、もしかしたらいつもよりご負担も多かったのではないでしょうか。(気持ちも体力も)

知り合いのお客様から、雨除けのビニールは自分でやったの?と言われ、いえ、やっていただいたと答えると驚いて、ここまでして下さるとこないわよと。
1回目のミーティングの時から色んなご配慮していただいているという実感はありましたが、当日それが本当に身にしみて感じました。

会場を歩く稲垣さんを何度もお見かけしました。
風人さんや事務局の方々も常にいらして、もちろん、たくさんのお客様もあって、活気のある動きのあるワクワクする会だったと思います。
あと、終盤に稲垣さんと宇佐美さんにお疲れではないかとお声をかけたら、全然!とお二人とも笑顔で答えられ、ふわっと明るい気持ちになったのを覚えています。

長い時間をかけてご準備いただき、会場準備から後片付けまで本当にありがとうございました。
頭の下がる思いです。
大事にしていただいた、そんな気持ちでいます。
こちらはそれに充分に応えられてない気がしていますが… すみません。

また参加できるよう精進してまいります。
言葉足らず、拙い文章で申し訳ありません。
ひとまず御礼まで。

だんだんと寒さが加速してきます。
どうぞお身体に気をつけてお過ごし下さい。
ありがとうございました。

樋野由紀子(染織)

滋味深い品のある手織布。
暮らしの中で使いたいと、手に取っていらっしゃる方が多かったですね。

樋野由紀子さんの出展前のメッセージはこちらです。
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佐藤サエコさんからのことば

「凪ぐ浜の宝物」
嵐の去った後の浜辺にきらりと光る宝物のような想い、言葉。
稲垣宛に届いたメールの一部を、10作家ほどご許可をいただいて皆様と共有していきます。

岩手県で手編み作品を制作する佐藤サエコさん。
ニッケ鎮守の杜、galleryらふとの奥、参道に沿って立つテントで展示くださいました。
冷んやりとしていましたから、この場で求めてすぐにニット帽や手袋をはめて、会場を回っていらしたお客様も多かったですね。
それでは、佐藤サエコさんから届いたメールの一部をご紹介します。

工房からの風への出展を終えて、先ずはここまでご尽力いただいた稲垣さんをはじめ、風人さん、庭人さん、事務局スタッフの皆さん、そして今回一緒に出展した作家の皆さんへ感謝を申し上げます。
これからの活動へ向けてのターニングポイントとなる経験をさせていただき、ありがとうございました!

出展の通知が届いてからの約10ヶ月、前半は自身にとって冬の時期でした。
編み針を持っても全く進まず、何が編みたいのかがわからなくなり、気ばかり焦っていました。

その状態で迎えた5月のミーティング。
年齢もジャンルも様々な出展作家それぞれの物語、そして稲垣さんや風人さんから語られる「工房からの風」への思いや歴史。
この方々と同じ空間で出展する機会をいただいたんだ、、そう思いながら皆さんの姿を見て、まるで冬眠から目覚めたように意識が変わりました

そこから、これまでを振り返り、これからを考え直し、新たな気持ちで製作に向かえるようになりました。

2回のミーティングで作家仲間が増え、知り合いだった方とはさらに親しく、製作の幅が広がるようなつながりもできたことは、大きな実りのひとつです。

出展の朝、いや、そのもっと前から、稲垣さんをはじめ風人さん、庭人さん、事務局スタッフの方々が、空気感も含めた会場づくりのために懸命に動いてくださっている様子を見て、私もお客さまも笑顔いっぱいになれる2日間にする!と気合が入りました。

そして2日間、あっという間に時間が過ぎました。
なんだかずっと笑っていたように思います。
手編みというジャンルにとっては、間違いなくあの天気も季節の変わり目を意識するきっかけとして味方についてくれました。

ホームページや紹介動画で、所謂予習をされて足を運んでくださった方も多く、この展示へのお客様の期待値の高さを感じましたし、動画に挑戦してよかった!と思いました。

お客様と接していて印象に残ったのは、手仕事への理解の高さと、本当に欲しいものを選ぶ、という方の多さです。
一度手にとり、身に付け、その後会場を一周り、二周りしながら考える。
そして、やはり気になったのでと戻ってきてくれる。
もう一度身に付けて、うん、やっぱり良い、これにしよう、と。

普段の出展でもそのようなことはありますが、ここまで多くはないのです。
あの場にいながら私はその理由を考えていました。
そして「自分をよく知り、大切に扱える人」が多いのだ、という答えが出てきました。
そのような方々のアイテムのひとつとして作品を選んでいただけたことを幸せに思います。

この出展を機につながった物事や浮かんだアイデアを今後の活動で形にし、そして2年後に再びチャレンジできるように、体を労りながら励んでいきます。
またお会いできるのを楽しみにしております!

いつもにぎわっていた佐藤さんのテントですが、ふとお客様が途切れると、微笑みながら編み針を動かし制作を始められていたのも印象的でした。

佐藤サエコさんの出展前のメッセージはこちらです。
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laglag__・佐藤貴美子さんからのことば

「凪ぐ浜の宝物」
嵐の去った後の浜辺にきらりと光る宝物のような想い、言葉。
稲垣宛に届いたメールの一部を、10作家ほどご許可をいただいて皆様と共有していきます。

八王子でパンチニードルによる制作をされるlaglag__の佐藤貴美子さん。
コルトン広場のモニュメントに近い、ペットショップの手前のテントで展示くださいました。
アメリカ・バーモント州まではるばる学びに向かって始められた努力家の方からのメール文の一部をご紹介します。

『工房からの風2025』大変お世話になりました。

2022年の出展は、自身の心に悔いを残すカタチで終わってしまいました。
この3年、自身の作品の中心とは何か。
try &errorの制作を続けてきました。

今年また貴重な出展の機会をいただき、成長した自分になれたような、胸を張れるような、自信を持って当日を迎えることができました。
多くの素敵な作家の方々に刺激をいただき、稲垣さんの素敵な言葉に力をいただき、スタッフの方々にお支えいただき、この日を迎えることができたことに心より感謝申し上げます。

クラフトで生きていく決意をしながらも不安を感じる。
そんな想いのなか、今回このような結果がでたことは、大きな自信と喜びとなりました。

先日のミーティングで、「幸せなひとが作った作品を買いたい・・・」ってお客様は思うよね。
というお話があり、わたしは幸せなのか?と思うと、少し自信が持てませんでした。

昨夜、帰宅して子供たちから労いを受け、またすぐに手仕事に取りかかりながら、各々が過ごした週末の話をする時間に、これも幸せな過ごし方、生き方なのだと感じることができました。

大変なこともすべて次へのチカラに変えて、これからも頑張っていきます。
もし時折成長をご覧いただけたら嬉しいです。

laglag__
佐藤貴美子

よかったよかった。
ばかりではなく、悔いを残した方もいらっしゃることでしょう。
もし心に棘が刺さってしまったら、優しく抜いてほしいと思っています。
成長のための節になるのか、単なる傷になってしまうのか。
少し心を緩めてご自身をいたわり、ぜひ成長のための節とするべく進んでいただきたいと願います。

佐藤さんは、そうされたんですね。
今回の手応えは、佐藤さんの心持ちと作り続けてきた実践による実り。
まだまだ大変なことも多いでしょうけれど、これからの実りも楽しみにしています。

laglag__さんの出展前のメッセージはこちらです。
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アトリエひと匙・濱元香織さんからのことば

「凪ぐ浜の宝物」
嵐の去った後の浜辺にきらりと光る宝物のような想い、言葉。
稲垣宛に届いたメールの一部を、10作家ほどご許可をいただいて皆様と共有していきます。

はるばる沖縄から出展くださったのは、アトリエひと匙の濱元香織さん。
ニッケ鎮守の杜 レンガ道を渡った先あたりのテントで展示くださいました。
沖縄文化にゆかりのあるモチーフなどの金属装身具を制作される方からのメール文の一部をご紹介します。

無事、沖縄に帰ってきました。
こちらは夜ですが、24℃と過ごしやすい気温です。
家族は今日から寒くなったと言っており驚きました。

稲垣さんをはじめ風人さん達の手厚いサポートにより、優しさに包まれた2日間を経験させていただき誠にありがとうございました。
応募時の書類でお伝えしていた「真摯にモノ作りに対して向き合う作家さん達とお会いしたい」という願いも叶い、お話しをしたみなさまからいただいた刺激は、これからの製作に還元していけそうです。

雨模様の野外展という状況の中でもお越しくださる「工房からの風」ファンの方やお買い上げくださったお客さまも、私にとってはほとんどが初めましての方で、沖縄展でなくても装身具を手に取ってくださった方がいらした事は、これからの活動において確かな糧となりました。

モビールに興味を持って見てくださる方が多かったことも嬉しかったです。

日曜日の夕方、今回サポートしてくれた友人の綾子さんと、雨あがりの植物がとても綺麗だねと話し、何年後になるかは解りませんが、晴れの日にも参加してみたいと思いました。

その時には、事前のミーティングにていただいた課題、アトリエひと匙の「真ん中のもの」について良い報告ができるよう、日々を過ごしていきたいと思います。

アトリエひと匙・濱元 香織

沖縄をアイコンや単なるモチーフとして用いているのではなくて、沖縄文化への敬意と親愛を基に作られた作品ですから、所謂「沖縄展」ではない「工房からの風」の来場者様にも「美しきもの」として、心に届いたのだと思います。

そして、お手伝いくださった方がお花のお仕事をされているそうで、月桃など沖縄の植物もふんだんにお持ちくださり、ニッケ鎮守の杜・手仕事の庭の植物と合わせてアトリエひと匙さんのブースに飾ってくださったことも、幸せな光景でした。

アトリエひと匙・濱元 香織さんの出展前のメッセージはこちらです。
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けもの舎・深山けものさんからのことば

「凪ぐ浜の宝物」
嵐の去った後の浜辺にきらりと光る宝物のような想い、言葉。
稲垣宛に届いたメールの一部を、10作家ほどご許可をいただいて皆様と共有していきます。

けもの舎、深山けものさんは、岩手県より出展くださいました。
ニッケ鎮守の杜西側の稲荷社の前。
鹿の角などを用いた作品を展示くださいました。
深山けものさんからのメール文の一部をご紹介します。

このたびの工房からの風では、大変お世話になりました。
秋の澄んだ空気の中、初めての出展という緊張と高揚を抱えながら、風に背を押されるように二日間を過ごしました。
会場に立ち並ぶ作品たちの間を、光と人の気配がやわらかく行き交い、その中で私の小さな作品たちも、そっと誰かの手に受け取られていく——
その光景を前に、胸の奥がじんわりとあたたかくなりました。

私は、鹿の角や骨という自然の欠片を素材にしています。
それは命の残響のようなもの。
人の営みのはるか前から、この地に息づいてきた形。
その美しさを、人の暮らしの中にもう一度、やさしく溶かし戻したい。
日々の支えとなるような静かな存在として傍らに置いてもらえたら——そんな願いを込めて制作しています。

今回の展示では、素材の持つ気配や時間を感じ取ってくださる方が多く、
「この光の反射が好き」「骨の白が、やさしい」
そんな一言一言に、作り手としての根が深く潤っていくのを感じました。

また、風人さんから什器の配置や導線について丁寧なアドバイスをいただき、
稲垣さんをはじめ、スタッフの皆さまが絶えず気を配ってくださる姿に、
この場所がどれほどの時間と誠意を重ねて育まれてきたのかを思いました。
出展者の方々との対話にも多くの気づきをいただき、
「風」という名にふさわしい、流れとめぐりの中で過ごすことができました。

二日間の終わり、片付けの手を止めたとき、ふと胸の内に静かな確信がありました。
この素材と、この手と、この場所を信じていけばいい。
ものづくりはきっと、祈りのようなもの。
自然と人、過去と未来、そのあわいをつなぐ細い糸を、今日も手繰り寄せること。

このたびの出展を通して、自分の根っこを見つめ直し、これから進むべき道の光を見つけたように思います。
与えられた風の力を胸に、またひとつひとつ、誠実に形を生み出していきます。
そしてまた近い未来、このすばらしい「工房からの風」に出展できればと思っております。

準備から当日、後片付けまで、本当にお世話になりました。
皆さまお疲れが残りませんように。
心よりの感謝を込めて。

狩猟も長く続けられていて、野生動物と人間の関係、昔からの営み、さまざまなことを思考しながら進めて来られたものづくり。
もっと、たくさんお話しも伺いたかったです。
これを起点に、深山さんの活動、制作を通して人の輪がひろがっていくことができたらいいなと思っています。

深山けものさんの出展前のメッセージはこちらになります。
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