2016年9月の記事一覧

「director’s voice」New

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竹村聡子さん(陶芸)

出展が決まってからの約半年。
50人(組)いらっしゃるので、ディレクターとのやりとりも50通りあります。
内容的にかなり濃いやりとりになる場合もあれば、
さっぱり事務的に終始する場合もあります。

もっとも、今「工房からの風」で
ご一緒いただいている風人さんたちに関していえば、
決して初出展時の準備期間に濃いやり取りがあったか、
といえば、案外そうでなかった場合もあります。
菅原さんや長野さんは、個人ミーティングも叶いませんでしたし、
出展以降にじんわり響きあって、今日を得たような気もします。

なので、この半年で私がおひとりおひとりの作家の方を
わかったようにご紹介などできませんし、
わかったふりをしてご紹介することも戒めています。
作家はすべてすばらしい!みたいなこと、私は書けない(笑)ですし。

それでも、佳き予感がすることは、期待をもって、皆様と一緒に感じたり、
見つけたりしていきたいなぁと思います。
そんな佳き予感の水先案内としてこのブログ「director’s voice」を
お読みいただけましたら幸いです。

と、前振りが長くなってスミマセン!
佳き予感の作家、陶芸の竹村聡子さんからのメッセージをご紹介いたします。

Q
竹村さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
主に銀彩で装飾を施した器(animate series)を出品します。

以前人形アニメーションに関わる仕事をしていて、
その中で「アニメート」という言葉には「命を吹き込む」
という意味があることを知って衝撃を受けました。

手間暇かけて人形を少しずつ動かし、
まるで生きているかのように表現ができる
プロのアニメーターのきめ細やかな手仕事に物凄く感動しました。

私もアニメートに近い感覚を器で表現できないかなと考えていた時に、
家で飼っていた鶏をなんとなく器に銀で描いてみました。

その鶏の絵は日に日に酸化して色合いが変化していき、
まるで人間みたいに年をとっているようで、
自分なりの「アニメート」がほんの少しできた気がしました。

日々の生活の中で人と共に年を重ねていく器を
「animate series(アニメートシリーズ)」と名付けました。

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竹村さんの作品を初めて拝見した時、
とりとけものの絵にとても差があることを感じました。

鳥たちはそこで呼吸をしているかのように瑞々しいのに、
けものたち(足のあるもの)のどこか偶とした表情。
アンバランスをプリミティブ、かわいい、と言えばそうなのかもしれませんが、
鳥たちの美しさと比べると、その違いが不思議だったのです。

聞けば、鳥はすいすい伸びやかに描けるのだけれど、
動物(たとえば馬とか)は、苦手意識があってと。

まあ、なんて正直なひとだろう、と思いました。
そして、苦手克服なんかしなくっていいから!
得意なものを伸び伸びどんどん描きましょうよ!!
と、わははと笑いあって語らいました。

その後、竹村さんの描く鳥の絵は、ますます自在となって、
まさに飛び立たんばかりの表情なのです。

(そして、いつの日にか、動物たちの絵も、
自然に伸びやかに美しく描ける日が巡ってくるような気がします。
なんでも、「ネギ」という名の「ヤギ」を可愛がっているそうですから(笑))

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おまけ画像

Q
竹村さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
日本の伝統芸能をベースとした
人形アニメーション作品に
触れる機会が多く、
個人的に勉強していた頃に、

能の大成者の世阿弥の言葉の中で「風」のつく用語がいくつもあり興味がありました。

その中の「花風(かふう)」という言葉は
芸の成果を「花」、それに至るまでの様々な工夫と心構えを「風」と例えてあり、
「工房からの風」への出展が決まってからの半年間は
まさにその「風」を常に自分の中で感じる尊い日々でした。

その成果としての「花」が咲くかどうかはわかりませんが、
今後も自分の中で風を意識し続け、いつか
「閑花風(かんかふう)-静かで気品のある芸風」な器を作れるようになりたいです。

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芸の成果を「花」、それに至るまでの様々な工夫と心構えを「風」

「工房からの風」は、まさにそのような風でありたいと思います。
背筋が伸びるような美しいメッセージを、竹村さん、ありがとうございます。

Q
竹村さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
祖父がつけてくれた「聡子」という自分の名前が好きなので本名で活動しています。

祖父は若い頃航海士で船に乗って世界中を巡っていました。
デジタルではない時代の航海は日中は太陽の方角、
夜は星の位置を見て舵をとっていたそうで、星にとても詳しかったのを覚えています。

「工房からの風」のミーティングの中で
「作り手は自分で舵をとって進んでいかなければならない」という話を聞いて、
この先どんな暗闇があっても、祖父からもらった名前と共に
自力で星を見つけ出し舵を取って進んでいこうと思いました。

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おじいさまからいただいたという聡子さんというお名前、とても素敵ですね。
そして、竹村さんのどのメッセージからも、このブログの質問に
とても丁寧に向かい合ってくださったことが感じられて、ありがたく思っています。

まじめてとっても面白い(まあ、褒め言葉として、かなーりヘンな(笑))竹村さん。
命を吹き込む器づくりを目指して作られた作品は、
おりひめ神社隣、神宮社の脇に並びます。

竹村聡子さんのサイトはこちらになります。
→ click

written by sanae inagaki

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VANILLAさん(洋服)

おりひめ神社周りの出展作家をしばらく続けてご紹介していきましょう。
VANILLAさん。
洋服を仕立てるご夫婦の作家です。

Q
VANILLAさんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
綿、麻素材のお洋服。
VANILLA定番の丸襟ブラウスやシンプルなシャツ、プルオーバー。
これからの季節に重宝する羽織にも使えるワンピースも作っています。

ボトムスは男女兼用にも着られるパンツや、
リネンたっぷりのフレアスカートなど
どれもシンプルで着まわしの利くお洋服です。

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VANILLAさんの洋服と出会ったとき、
「ああ、こういう洋服を作る人を探していた!」
と出会いに感謝しました。

着心地の良い今の気分をとらえたデザイン。
特性がよくとらえられた生地の選択。
そして、長きにわたる愛着を支える確かな縫製。

生地が手織りだとか、草木染だとかということだけが
手仕事の基準ではないと思っています。
素材を選ぶ目、デザイン力、それをかたちにする技術。

VANILLAさんの服は一見「特殊」には見えませんけれど、
「特殊」な印象が手仕事の意味ではないのですもの。
ハレの日ばかりではなく、日常にも着たい服。
それが着るほどに、ああ、縫製の技術が高い服っていいなぁ。
と、うれしい気持ちに包まれます。

一番端的にそのことが表れているのが丸襟だと思います。
このふっくらとした絶妙なカーブ。
VANILLAさんの丸襟と出会ってから、他の丸襟が見れなくなってしまいました。
というか、別物、なのだと。
ぜひ、会場でその立体的な美しさ、触れてみてくださいね。

Q
VANILLAさんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
そっと背中を押してくれるあたたかい風。
とてもやさしくて心地よいです。

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高野さんご夫婦とは、この半年の間に
何度も服づくりのことを介して言葉を交わしました。
その想いは、日ごろ私が仕事で出会っている陶芸や、
木工、彫金の作家と同じ質のものでしたので、
会話に何の違和もありませんでした。
きっと「工房からの風」の中で、自然に溶け込み、
新鮮な風をそよがせてくださいますね。

Q
VANILLAさんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
「VANILLA」と言う名前は、服飾専門学校へ通っていた頃から密かに考えていた名前でした。
いつかお洋服を世に出せる時が来たら...と。

VANILLAとは、アイスクリームのバニラ味のことです。
バニラって普通だけど特別な響きが私にはありまして、
色んな味のアイスがあって色々食べてみたけど、
やっぱりバニラが一番おいしい、なんだかんだ食べたくなる、
やっぱりバニラだよねって。

私たちのお洋服もそんな風に思って手にとってもらえたら嬉しいな...と思っています。
「定番」とか「普通」とかそういう意味合いも含めてのVANILLA、です。

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「やっぱり、バニラだよね」

とっても素敵なネーミングですね。
作品ポリシー、コンセプトとぴったり!
飽きがこない素材の良さ。

そんなVANILLAさんの服は、おりひめ神社脇。
革の谷田貝陵子さんと陶芸の瀬川辰馬さんの間に出展します。

VANILLAさんのサイトはこちらになります。
→ click

written by sanae inagaki

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オオタ硝子研究室さん

「風の音」寄稿組!?続いてはオオタ硝子研究室さん。
キルンガラスの太田良子さんです。
(キルンガラス
→ 冷えたガラスを組み合わて電気炉に入れ、加熱することで形作る手法)
谷田貝さんと同じく、りょうこさんとお呼びします。

Q
オオタ硝子研究室さんは、
「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?


キルンワーク技法で制作した作品を中心にもっていきます。
石膏型を彫って模様を施したうつわやミニオブジェ、
吹きガラスと組み合わせた作品など
様々な表情を楽しんでいただけるような
そんな展示を考えております。

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太田さんに「風の音」への寄稿をお願いしたことの理由のひとつが、
以前は車の仕事をしていた、と伺ったことでした。
現在のようなコンピューター制御前のアナログの車。
ご自身も初代サニー(66年式)に自ら手を入れながら乗っていた、
というお話しがとっても愉快で爽やかで、ああこの人の作るものを見てみたい。
そして、車からガラスに向かわれた話をぜひ書いてもらいたい、と思ったのでした。

Q
オオタ硝子研究室さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?


楽しい風
向かい風
風向きが変わる予感の風

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向かい風、追い風。
この質問にそう答える方は毎年多いのですが、
「風向きが変わる予感の風」というような意味で返してくださった方が、
今回の出展者には多かったです。

「工房からの風」は、所謂「ポットデ」の方はいないので、
一定の仕事のあと、次の扉を開けたい方が多いのでしょう。
そして、「工房からの風」を契機に、
風向きが変わった作家が多くいらっしゃるので、
それにならおうという希望を抱いた方が多いのでしょうか。

今、充実の仕事をしている「風向きが変わった」作家にお話しをきくと、
皆さん、一様におっしゃいます、「じわじわ後から変化がやってきた」と。
気づくと違うステージにあがっていた、
そんな風にとらえている方が多いようです。

二日間が終わった月曜日に!風向きの変化は感じるものではないのでしょうか。
でも、後になってみると、あの二日間から、じんわり変わっていった・・・
そんな確かで充実の時間を、今年の「工房からの風」でも作り出したいですね。

Q
オオタ硝子研究室さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?


あらためて「オオタ硝子研究室」と申します。
よく聞かれますが1人研究室です。
日々あれやこれやと思いついたことなどを
コツコツ研究そして制作しています。
イメージしたことと違った結果になったとしても
またそれが発見や次のアイディアにつながる楽しさがあります。

昔から白衣に憧れていて
着てみたかったというのが
正直1番の理由だったりします。
当日は白衣を着てお待ちしてます!

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ぷぷっ。
ちょっとヘンですよね(笑

今回、太田さんのようにまじめにヘン(シツレイ!!でも、褒め言葉です)な方が数人います。
あ、まだ気づいていないだけで、もっといらっしゃるかもですが。

白衣を着て!太田さんが立っているのは、おりひめ神社と稲荷社の間の空間。
昨年まではテントがなかったところなのですが、
今年はオオタ硝子研究室さんに。
玻璃の宝物、みたいな感じで構成してもらおう、と思っていましたが、
まさか白衣のテントになろうとは!

オオタ硝子研究室さんのfacebookページはこちらになります。
→ click

(ログインしなくても見られるfacebookページなのでリンクしています)

written by sanae inagaki

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谷田貝陵子さん(革)

「風の音」(当日本部テントにて配布する小冊子)に寄稿いただいた作家、
続いては谷田貝陵子(やたがいりょうこ)さん。
革でバッグや小物をおひとりで制作しています。

Q
谷田貝さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
学生の頃友人へ作ったバッグ、
お客様からのオーダーで改めて気づけたその革の魅力など、
人や出来事が始まりとなり作った、バッグや小物を出品します。
10年来、素材もデザインも大好きなバッグを使っており、
それを超えて惚れ込めるものを作ることが一つの目標です。
そのタンナーの素材を今年の春にようやく手にする機会に恵まれ、
バッグやオサイフも作って持ってまいります。

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これが、そのバッグでしょうか。
谷田貝さんが愛用されたものを拝見しましたが、
実用的でとってもおしゃれなバッグでした。
使い範囲がうんと広やかな感じです。

Q
谷田貝さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
訪れる時は、季節のにおいがする風です。
出展する今年は、強い追い風、優しいそよ風と、変化しています。

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つい先日、9月の連休には「galleryらふと」で
ワークショップも開いてくださいました。
素敵な革のばね口ポーチを8名の方が制作されました。
「工房からの風」で、見かけられるかもしれませんね。

Q
谷田貝さんのお名前、あるいは工房名についての由来、
またはエピソードを教えてくださいますか?

A
10代の頃は四角ばかりの字面が好きではありませんでした。
山(谷)を下り、平地(田)を流れ、海(貝)に出る
そういうことにして、いまは好きな名前です。
循環のなかで、どうにもならない自然の動きも恩恵も受けていて、
手にしている革も、自分自身もその一部であることを出来るだけ内に留めて作っていたいです。

実は、そんな姓を受けてバリーシェルという名前で仕事をしています。
テキスト表記出来ないので表立たないのですが、
地形を象ったロゴマークも存在し、なかなか気に入っております。

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あ、これは、今年のモチーフ『レモン』で作ってくださったものでは!
日焼けさせて模様を漬けられたのかしら。

と、お名前のことでしたね。
谷田貝さんて、とても珍しい名字。
バリーシェルとは、谷田貝さんならではのブランド名ですね。

谷田貝さんがこのように大きく発表するのは初めてのこと。
ランナップもまだこれからでしょうし、バリエーションも豊富ではないかと思います。
けれど、出来あがった作品には、どれも今の作り手のベストの手わざとハートが込められたもの。
中途半端にかっこをつけずに、コツコツ納得できるものをお出しする、
そんなよき頑固者!が谷田貝さんの印象です。

今回の皆様からの反応が、きっとこの若い作り手を先に進ませてくれますね。
ぜひ、前向きなご意見、寄せて差し上げてください。

谷田貝さんの出展場所は、おりひめ神社の脇。
サイトはこちらになってます。
→ click

written by sanae inagaki

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Renさん(金属)

おふたりめのご紹介はRenという工房名で活動をしている中根嶺さん。
金属の作家です。
若干26歳。
今展の最年少作家です。

Q
Renさんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
鍛金という技法で作った、オブジェやアクセサリー、カトラリー、照明器具を持って行きます。
硬さと柔らかさを併せ持つ金属は、一打一打、一削一削に呼応し、手の動きを形として留めます。
今回は特にその「形」に意識をおいて制作しています。

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カトラリーや装身具、そして動物などのオブジェ。
金属ならではの素材感に、手ならではの仕事でかたちが生まれています。

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Q
Renさんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
風は目には見えないですが、肌で感じその風に季節や人、
モノや事、場所の気配を感じます。

工房には「作ることが好き」の延長線にある、
その人が選んだ素材や技術があり、
それを生業とするための創意工夫や様々な思考、
努力、姿勢がモノへと変わる特別な場所だと思います。

そんな場所から吹き集まる風、「工房からの風」という空間。
五感を研ぎ澄ませて、たくさん吸い込みたい風です。

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このふたつは、私が京都のRenさんの工房をお訪ねしたときに撮影したもの。
金閣寺のほとりにアトリエ兼ショップを構えられています。
自らリノベーションした渾身の空間。
京都へ行かれる折には、ぜひお訪ねになってみてください。
(お休みなどはホームページでチェックくださいね)

Q
Renさんのお名前、あるいは工房名についての由来、またはエピソードを教えてくださいますか?

A
小っ恥ずかしながら名前そのままです。
本名を中根 嶺(ナカネ レン)と申します。
当て字なので本来レンと読まないのですが…
産まれた朝に山嶺が綺麗に見えたそうでこの漢字にしたそうです。
おかげで?登山も趣味の一つ。
山に登っていると無心になります。
そんな時に作りたいモノの良いアイディアが浮かんだりも。

独立して屋号をどうするか散々悩みました、けれどどれもしっくりこず
シンプルに、そして多くの人に読んで頂けるよう「Ren」としました。

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生まれた日の気象や出会った季節の恵みを名前にいただくって、
自然に祝福されているみたいで素敵ですね。

Renさんにご寄稿いただいた「風の音」の800字のタイトルは「手の温度」。
ものを作り、発表を始めたばかりの頃の少年との出会いを綴っていただきました。
こちらも、どうぞお楽しみに!
(当日、本部テントでご入手くださいね)

Renさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って花壇の手前の下草の空間。
ガラスのとりもと硝子店さんがお隣です。

Renさんのサイトはこちらになります。
→ click

written by sanae inagaki

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瀬川辰馬さん(陶芸)

今年の「工房からの風」まで、いよいよ3週間となりました。
今日から今年の出展作家のご紹介を始めていきますね。

ちょうど昨日、お目にかかった方から
「そろそろ作家紹介が始まるかしら?って、ブログを見に来ていました!」
と、うれしい言葉をかけていただきました。
(ありがとうございます)

この場は作家紹介ブログなのですけれど、
ただ単に私からの質問に対しての作家の答えを掲載する場合もあれば、
出展が決まってからの約半年、そのやりとりの軌跡のようなものを
垣間見ていただける場合もあります。

「工房からの風」への出展を通して、作家がどのようにご自身をみつめ、
どのように考え、手を動かし、形を作っていったのか。
結果だけではなくて、経過が人の営みには大切なんだなぁと、
「工房からの風」を続けながら、私も学ばせてもらっています。

そんなこんなも感じ取っていただきながら、
純粋に素敵な作品写真に喜んでいただいたり、
最後の質問にくすっとしていただいたり、、、、
50人(組)の出展者や、
ワークショップなどで関わってくださる20名の方々からの
メッセージをぜひこの3週間、お楽しみいただけたらと願っています。

どなたからご紹介しましょうか。
昨年と同様、「風の音」に文章を寄稿いただいている方から始めましょう。
(「風の音」は現在鋭意編集中!
当日、本部テントでご入手くださいね。
無料ですが、数に限りがありますのでお早めに!)

では、さっそくおひとり目を。
陶芸の瀬川辰馬さんです。

Q
瀬川さんは「工房からの風」に、どのような作品をお持ちくださいますか?

A
皿やボウル、花器などのうつわを200点ほど展示・販売する予定です。
うつわを制作するうえで強く心がけていることとしては、
それらが根源的には「命を抱き留める道具」であるという点です。

動物にしても、植物にしても、生きたままではそれを食卓に並べることはできず、
狩られ刈られることで初めてうつわの上に並び、それを握って人は生きていきます。
私は、食べるもののためだけにつくられたうつわを傲慢だと思いますし、
また食べられるもののためだけにつくられたうつわ
(そんなものがあるとすれば、ですが)を寂しいと感じます。

それを握るものの悦びのためにあるのと同時に、
それに抱きとめられるものへの祈りのためにあるような、
そんな大らかで静謐なうつわを紡ぎたいと願って、制作を続けています。

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瀬川さんの器はとても静かです。
でも無音ではなくて、清流のせせらぎや、しんしんと降り注ぐ雪の調べのような、
「ないようである」美しい必然の波長のような静かな器です。

もっともそれは、単なる自然物や自然現象から生まれてきたものではありませんから、
その器も人工物に違いありません。
それでも、無音ではなく美しい調べが感じられるのだとしたら、
そう奏でようという作り手の確かな意思があるのだと思います。
その意思自体の静かな深さが、器の姿になっているのでしょうか。

(私は大ぶりなオーバルと丸いお皿を愛用しています。
いつもの料理を盛っても、なんだか凛として、澄んだように心に映るので、
とても気に入っているのです。
今度撮影できたら、ここにもお載せしますね)

Q
瀬川さんにとって「工房からの風」は、どのような風でしょうか?

A
私が普段作業をしているアトリエは、
築年不詳の精肉店を改装した建物の一階にあります。

建設時の衛生面での配慮だったのか、
それとも歴代の入居者が改装していく過程でのことなのか、

アトリエには開閉のできる窓がひとつもなく、
空調は専らエアコンに頼っています。

建物の一面すべてがガラス張りになっているので、
光は気持ちよく入ってくるのですが。

風は、殆ど通らないアトリエです。

その風通しの悪いアトリエで、うつわという道具について、
随分と長いこと独りで考え、また手を動かしてきました。
今思えば、黙々と地面を掘り起こし、
余分な根を取り除いていくような時間でした。

そうして耕していた土の上に、この一年程で、
ぽつりぽつりと芽が出てくるようになったと感じています。

自分が理想とする、うつわという道具のはたらきが少しずつクリアになり、
またそれに具体的なかたちが伴い始めました。

そのような時期に、工房からの風にご縁を頂きました。

稲垣さん、風人さん、出展者の方々との対話の時間は、
私のアトリエに吹く新鮮な風そのものでした。
これまで黙々と独り培ってきたものを、風通しのよい場所に移し、
育むような半年間であったと感じています。
本当に、多くの恵みを頂きました。

当日は、この半年で少し背が伸びたその芽を、
来場者の方々にも気持ちよくお見せ出来ればと思っています。

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このメッセージを読みながら、
梅雨のある日、初めて降りた私鉄沿線の駅をさまよいながら、
瀬川さんの工房をお訪ねした日のことを思い出しました。

『随分と長いこと独りで考え、また手を動かしてきました。』

たしかにその工房には、深い思考と試行の時間がたゆたっていたように思い出します。
その後、幾度か風人さんたちも交えながら交わした言葉は、
ものづくりのことにとどまらず、藝術のこと、文学のこと、
もっといえば生きることについてまで広がる豊かな会話となりました。

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『新鮮な作り手たちは、時代の中で果実のように生まれてきます。』

「工房からの風」を始めた16年前から伝え続けてきたこのフレーズ。
今年出会った27歳の瀬川辰馬さんを、まさにその果実のように思っています。

想いを正確につかもうとすること。
それを正確に言葉にしようとすること。
そう、その正確であろうとする姿勢に、私も教わることがとても大きかったのです。

:::

慶応SFCで先端の学びを経たひとが、
東日本大震災を機に、陶芸の世界へと進み、
今手元にある確かな素材と手を用いて、
ものを生み出す世界への扉をひらく。

瀬川さんの陶芸は始まったばかり。
きっと、作品の姿はぐんぐん変化していくことでしょう。
それでも、今掴んでいる物種は、
すでに瀬川さんが求めているそのものなのだと思います。
あせらず、取り繕わず、その物種が実るべき方へと、
瀬川さんの時間が紡がれることを心より応援したいと思います。

2016年秋の日現在の瀬川辰馬さんの実りの姿、
その器がとても楽しみなのです。

Q
お名前、あるいは工房名についての由来、またはエピソードを教えてくださいますか?


辰年生まれに、父親の名前の「篤樹」から一字もらって、
元々は「龍樹」と名付けられる予定でした。

ですが、調べてみると「龍樹」というのは2世紀のインドに生まれた
大変立派な仏僧「ナーガルジュナ」の漢訳名だということで、
これではあまりに畏れ多いと判断した父親によってボツに。

最終的には龍を辰の字に代え、「篤樹」から馬の字をもらい、
「辰馬」と名付けられました。
父が辞書を引く習慣のあるひとで、本当によかった。

辞書を引く習慣、すばらしいですね。
きっと瀬川さんにもその習慣が引き継がれているような。。。

瀬川辰馬さんの出展場所は、おりひめ神社の奥。
studio fujinoさんが隣です。
瀬川さんのサイトはこちらになります。
→ click

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と、今年もおひとり目からかっとばしてしまいました。。。
director’s voice
これから怒涛のブログアップの日が続きます。

written by sanae inagaki

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出展作家を公開しました

「工房からの風」まで、あと1か月と少し。
出展作家名を公開いたしました。

展示販売の出展者50組。
ワークショップ、デモンストレーションなども含め、企画運営に加わってくださった作家20名。
食関係で参加くださる方々も。
こちらです。
→ click

いよいよですねー。

:::

今年は、インスタグラムもゆっくりですが始めます。
といっても、当方からの発信だけではなく、
皆さんからの投稿を束ねる感じのサイトのご用意をメインにしています。
#工房からの風
の記事がこちらのページに現れるようになっています。
→ click

今まで「工房からの風」で出会っていただいた作品をこんな風に使っています!
のような画像も、ぜひインスタグラムにあげてみてください。
#工房からの風
をつけて。
皆様方のお手元で奏でられている#工房からの風の姿、
共有させていただけたら嬉しく思います。

ガイドラインもご案内していますので、よろしければご一読くださいませ。
→ click

今月17日18日19日の連休には、プレイベントで
ワークショップやカフェや庭の恵み、
ノベルティーグッズの先行販売行います。
詳しくはこちらの記事を。
→ click

2016年の工房からの風、花開く日が近づきます。

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全体ミーティング

10月15日、16日の「工房からの風」も、いよいよあと45日。
8月末、恒例の全体ミーティングの最終回をニッケコルトンプラザで開きました。

台風予想のため、急きょ一日延期しての開催となりましたが、
50組中40組の今年度出展作家に、
風人さんたち出展経験作家14名が加わっての大ミーティングとなりました。
(ちなみに、前日には4名の方が集まってくださいました。
皆さん、全国津々浦々から、万障繰り合わせての集合!
やる気満々なのでした!!)

今までこの日には、出展場所の確認や、当日の流れの説明などを行い、
各自の進捗状況などを語り合っていたのですが、
今年は新たな展開を加えてみました。

それは本ミーティングの前のプレミーティング。
風人さんたちと稲垣による対談トークの時間を設けたのでした。
出展作家にとって、「工房からの風」らしさのひとつは、
展覧会当日までの準備の時間、とも言われています。
ものづくりについてのあれこれ、テツガクの時間。
「考える工芸」の時間を共有してみたのでした。

この日、風人さんから稲垣あてに質問をしてもらいました。

Q
稲垣さんが「工房からの風」に作家に関して、感動した具体的な話を幾つか聞かせてください。
by 箒の吉田慎司さん

Q
藝術、意匠、工芸、を、アート、デザイン、クラフトと考えているのでしょうか?
by 木工、アトリエ倭の香田佳子さん

Q
工房からの風のサブタイトルを、なぜcraft in actionと名付けたのですか?
by 陶芸の大野七実さん

Q
日本の市川で行われる「工房からの風」の意義は?
by アフリカから帰ってきたばかりの金工Anima uni、長野麻紀子さん

Q
仕事を進める中で、今やりたいことと望まれることのズレをどのようにバランスを取っていけばよいのでしょうか?
by 木工の菅原博之さん

Q
作り手、つなぎ手、使い手のこれからって、どんな風になっていったらよいのでしょう。
それぞれが幸せな仕事を継続して、よい循環を作っていくために必要なことって、どんなことでしょう?
by 陶芸の松塚裕子さん

ちょっと、端折った書き方なので、ニュアンスが違ってもいますが、
会話の中でこんな感じの問いかけをいただいたのでした。
2時間ほどをみんなで対話したこの内容は、後日「風の音」にまとめようと思っているのですが、
やり取りの中で出てきた印象的なフレーズをいくつか、メモのように残してみますね。

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舵を自らが取ること。
そこには寄る辺なさもあるけれど、
だからこその喜びもある。

言ったり、書いたりすることが苦手でもよいと思う。
でも、ときには感情に正確な言葉を探して、正確に言ったり、書いたりしてみることも大切。

一本一本の糸がつながって、縄になり、綱になる。

作家のどこに惹かれるのか?
それは思いの深さ。

けちにならない。
いじけない、すねない。

生きている人の仕事は、点でとらえていない。
営みの中で、そのひとがどんな花を咲かせていくのか、実りを成すのかを観ようと思う。

アクションは営み。

生身であること。

自分が縁を得た庭を丹精すること。
ここではないどこか、ではなく、ここを愛すること。

自分の尺度をリスペクトすること。

・・・

ああ、うまく書ききれなくって、もどかしいです。
でも、こんな感じのことを、具体的な話を通して語らいました。
これらが即効的に何かになるわけではないでしょうけれど、
じんわり作る人生の養分になっていったら、お互いに幸せだと思っています。

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こーんな、わはは、もあり

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こーんな真剣もあり。

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スタッフ宇佐美もこんなに立派になりました(感涙

さあ、いよいよあと45日。
豊かな風がそよぎますよー。

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日本橋三越本店催事後期

「『工房からの風から』」
日本橋三越本店5階

前期が2日火曜日で終了いたしました。

そして、後期がいよいよ始まります。
8/3(水) – 8/9(火)
10時30分~19時30分です。

後期は前期以上に作家数が充実しています。

詳しくはこちらを
→ click

作家と工房からの風スタッフともに、皆様のご来場をお待ちしております!

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日本橋三越にて

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10月の本展を前に、「『工房からの風から』」展という催事を開きます。
「工房からの風」出展経験作家24名と今年度出展作家6名、計30名による作品展です。

前期 7/27(水)~8/2(火)
後期 8/ 3(水)~8/9(火)
10:30 – 19:30
日本橋三越本店 本館5階スペース#5

出展作家をご紹介します。

前期独立ブース 7/27(水)~8/2(火)
(おひとりずつ広やかなブース構成。
作家による立ち合いがあります)

アトリエ倭  木工
うだまさし  木工
LCF      金属・石装身具
佐々木ひとみ 装身具・スカーフ
TETOTE   布・革・刺繍

前期セレクションブース
(代表的な作品を展示するブース)

武井春香   布バッグ
今井なお子  染織
色葉工房   染織
堀江悦子   染織
安齋新・厚子 陶磁器
大野七実   陶磁器
中本純也   磁器
松塚裕子   陶磁器
花岡央    ガラス

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後期独立ブース 8/3(水)~8/9(火)

岡野達也    木工
加藤キナ    革バッグ
sun and snow  染め布
uiny by nakamurayui  金属装身具
初雪・ポッケ  木・金属装身具
羽生直記    鍛鉄

後期セレクション

Awabi ware  陶磁器
伊藤環     陶磁器
梅田かん子   磁器
大谷桃子    陶磁器
小澤基晴    陶磁器
清岡幸道    陶磁器
瀬川辰馬    陶磁器
菅原博之    木工
橋本晶子    すず竹
角舘徳子    こぎん刺し

イベントやワークショップもありますので、あらためてお知らせいたします。
まずは、前期後期、どちらも!ぜひ、ご来場いただけますように!
手帳にチェック、お願いします!!

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風の予感vol.2

週末、galleryらふとで「風の予感vol.2」を開きます。
6 / 4 (土)・5 (日)・1 1 (土)・1 2 (日)

色葉工房 庄子葉子|染織
金城貴史|木
瀬川辰馬|陶磁
pupila カミツレ 小出仁美|装身具
momoendo 遠藤 桃|金属

〇作者在廊日
6/ 4(土)   pupila カミツレ 小出仁美  /momoendo 遠藤 桃
6/ 5(日)   色葉工房 庄子葉子
6/11(土)   金城貴史/ 瀬川辰馬
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「工房からの風」の企画も現在進行中。
今回は特に熱心な作家の方が多く、
今現在3分の2ほどの作家の方と個人ミーティングを行いました。

これは行なわなければならないものではなくって、
ご希望に応じての任意のものなのですが、
おひとりおひとりの真剣な思いを受け止めるべく、
じっくりお話をお聞きしています。

「ああ、すっきりしましたー」
っておっしゃるのが、なんだか終了時のお決まり!のような一言。
ご自身のことって、こんがらがってしまいがちなのかもしれません。
私はそれを少しでもほぐして、その作家の喜びの制作に向けて、
一緒に道筋を探ることができれば、と思っています。

風の予感vol.2の期間中も数人の方々がアポイントを取ってくださいました。
榎の木漏れ日を浴びて、シンケンなやりとりの様子も、
工房からの風を創りだす断片のような光景なのかもしれません。

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風の予感Ⅰ

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今年度出展作家から5名の展示を行います。

岡野達也|木 5/8(日)
田中友紀|金属 5/8(日)
nagamori chika|染織 5/5(木祝)・8(日)
フジタマリ|木 5/8(日)
モノエ 尾上耕太|陶磁 5/8(日)

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岡野達也さん

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田中友紀さん

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nagamori chikaさん

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フジタマリさん

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モノエ 尾上耕太さん

さくっと画像で恐縮ですが、実物の作品、ギャラリーでぜひご覧くださいませ。

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お庭はバラの季節到来!

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今日は嵐のような風でしたけれど、しなやかに揺れてしのいでくれました。
ありがとう!花々!!

緑の恵みと、フレッシュな作家たちの仕事。
皆さまのご来店をお待ちしております。

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