2019年10月の記事一覧

「凪ぐ浜の宝物/工房からの風」New

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col tempoさんより

おはようございます。
今朝は雨の朝。
私の方は、少しずつ日常に戻りつつも、風の余韻にずっと浸っております。

昨年末、選考通知を受け取ったときから
ずっと工房からの風に想いを馳せていました。

初めての全体ミーティングでいただいた多くの大切な言葉たち。

香田佳子さんの「工房からの風は言葉を大切にする会です」
大野七実さんの「つくるだけでなく、心を耕す時間を」
稲垣さんの「比べない、いじけない、ケチにならない」

途中、稲垣さんからの電話でいただいた言葉、
「自分の尊いと思うことをやって!」

この言葉たちをずっと心に留めていました。

そして個人ミーティングでは、
作品のことよりも、私が悩んでいた
育児家事と制作のバランスについて、多くのアドバイスをいただいたように思います。
この当時の私は、子どもがいること、
制作が1番の生活にできない自分の置かれた状況が嫌でした。
他のご夫妻の作家方々の経験されてきた過程を教えていただき、
前を向くきっかけになった気がしています。
心持ちを明るくしたら、ずっと待機していた保育所に入れると市から連絡があり、
そのタイミングに驚きました。

晩春から初秋にかけて、心を耕す時間を、
本を読んだり家族とのひとときを大切にして過ごしていたら、
自分の手から生まれるものが確かに佳い変化をしているのを感じました。
そして、日々の暮らしの中に、ものをつくることがある幸せを感じることができるようになっていました。

直前までふわふわと、幸せだなぁと感じながら制作をしていました。
そして稲垣さんがブログに書いてくださった言葉、
「やりきった晴れ晴れとした表情で、みなさまを迎えてくださることでしょう」
私もそう信じて疑いませんでした。

ですが、直前に起こった台風での甚大な被害。
気持ちが、心が、とまってしまいました。
親しい人に被害はなかったのだけれど、
あまりにも大きな被害に心が大きくゆらぎ、そこから手もとまってしまいました。
本当は、出展の直前は作品と想いを伝えることに注力しようと準備していたのです。
でもうまく言葉にできず、自分のしていることを声高に伝えることが苦しくも感じ、言葉にだすことができませんでした。

そしてその混沌とした気持ちのまま千葉へ向かいました。
道中、主人にその混沌とした想いを打ち明けて少し心が軽くなり、
そしてお庭で稲垣さんや風人の方々、そして出展者のみなさんと久しぶりに顔をあわせて、そして少し言葉を交わして、、

あぁ、ここに無事こうしてみんなで集えているんだ。

その実感が湧いてきて、いつのまにか元気に、心が軽くなっていました。
前日搬入を終えたあとは、もう本番を迎えるのが楽しみで楽しみで!

そして迎えた土曜日の朝。
雨なのはわかっていたので、さほど気にせず搬入に向かいましたが、
お庭について目を疑いました。

稲垣さんや風人さんや初めてお顔を拝見するみなさんまで
必死に水をなんとかしてくださっていた姿をずっと横で気になりながら、
自分の作業をすすめていました。

しばらくして、一気に水がひいていったときには、感動しました!
そのあとも残った水を丁寧に最後まで取り除いてくださって、
稲垣さんや風人さんのお顔をみるとみんなびしょびしょで、、、
このあと自分のブースの担当やそれぞれのお仕事の本番前なのに、
水浸しになるのも構わず懸命に動いてくださっているその姿をみて、
私にそんなことができるだろうか、なんて強い人たちなのだろうと。

開いてみると、ほんとにあっと言う間。
これほどまで自分のブースを離れられないことは初めてでした。
離れてもいいと思わせない、見てくださる方の真剣な姿勢。
話をすると、つぎつぎに質問が返ってくる。
私の想いを真剣に受けとめて聞いてくださる。
なんて、温かいのだろう。
心が震えっぱなしでした。

いつもは椅子に座ってぼぉっとしている主人も、
今回は一度も座らず、ずっと接客をしてくれていて私も驚きました。
後でそのことを聞いてみたら、
「みんな説明をしっかり聞きたがっていたから」と。
来場者の方々の真剣な姿勢が、私たちの側にもとても佳い影響を与えていて、
集っているひとが真剣な想いを伝えあって互いに響き合う。
なんて稀有な場なのだろう。

火がテーマの今展、
鈴木さんのロウソクに火を灯してみて、
その色をイメージして染めた「火の色」を制作していました。

炎のゆらぎをもとに、ベースに黄色を、
その上からオレンジをまだらに染めて仕上げた火の色、
私のお気に入りでしたので鈴木さんのロウソクとともに
1番前にディスプレイしていました。
この火の色のコインケースを手にとってお選びいただいた方が

「これに元気をもらって、またがんばります!
元気のでる色よね!」

そうおっしゃってくださる方がいて、
はっと思って尋ねてみました。

やはり、
先の台風でご実家に大きな被害があったことを
目を潤ませながらお話してくださいました。

素敵なものをみに出かけて元気をだそう!と思って
足を運んでくださっていたことも。

私の手から生まれたものに、
元気や勇気や幸せを感じてくださる方が本当にいて
その想いを伝えてくださる、
なんて、なんて、ことなのだろう。と。

ものの力を信じることができた瞬間でした。

17回目。
稲垣さんをはじめとするスタッフの方々、
先の作り手の方々、ご来場くださる使い手の方々、
たくさんの人の想いが積み重なって熟成されてきたあの場所に立たせてもらえたこと、
とても有り難く、財産となる経験をさせていただきました。

こんなにもいろんな人の想いが重なって1つになる場所。
温かくて、尊い空間。

とっても長文になってしまいました。
ただまだまだお話したいことがたくさん。
どれだけ書いてもきりがないほど湧き上がってくるので、このあたりでひとまず、、。

稲垣さんと出逢えたこと、
風人さんたち、同期の出展者の方々と出逢えたこと、
私の一生の財産となりました!
そして、とっても幸せな日々を過ごすことができました!
私、火の回でよかった!!

心からの感謝を込めて。

土居 祥子

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フィレンツェで出会った革工芸に惚れ込んで、学び、制作発表を始められた土居さん。
熱く!長く!丁寧なメールをくださいました。

選考結果を受け取ってから、出展、そして帰宅してからの想いを走馬灯のように綴ってくださいました。

ケチにならない。
って、言いましたね―。
やると決めたら、惜しみなくやりましょう。
惜しみなくやってみてこそ、今見えていない何かが見えるはず。
そんなことを、今までの出展作家の何人かの姿から学んできました。
土居さんも、まさにその殿堂入り!
真剣、こそ楽しい。
土居さんのものづくりの手の技術も、心の土台も、
この経験を通してどれほど進化、強化されたことでしょう。

同じ会に出展しても、50人ならば50人の感想があります。
それが健全、自然。
その中で、思いっきり取り組んだ人には、思いっきり何かが返ってきているのだと思っています。

土居さん、風人になりたいって申し出てくださいました。
風人さんは、近隣の作家の方でお願いしていますので、
今の風人さんと同じような役割ではお願いできないのですが、
近隣ではない、この場に想いを寄せてくださる方々の
まさにその想いや力を結ぶような仕組みを考えてみたいと思いました。

土居さん、メッセージをお寄せくださり、掲載の許可をありがとうございました。
col tempoさんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click

+++

先ほど、手の技術も、心の土台も、と書いて気づいたのですが、
きっと、今展の前だったら、心の種火、とかいていたような気が・・・。
土台。
木火土金水、すでに火から土へと向かっている??
我ながら、ちょっと驚きました。

今年は、種火、灯す・・・が会の底流にある言葉でした。
来年は、土台、耕す・・・を想いながら、企画を進めましょう。

はい、いよいよ、一次募集が12月1日から始まります。
→ click

土台を見直し、大切に。そして、その土台を耕すような出展経験をぜひに。
耕すとは、土に風を送ること。
工房からの風、をぜひ制作の進化成長に活用ください。

火の次の土の年、私たちは、何を耕し、その先に何を見るのでしょう。
まだまだご紹介したいメッセージがたくさんあるのですが、
「凪ぐ浜の宝もの」、そろそろこの辺で閉じましょう。
10月も終わりますものね。

11月。
さっそく2日、3日、4日の3連休には、
galleryらふとで、風人さんたちによる企画展
「風のクリスマス」を開催します。

Anima uni|金属
大野七実|陶
CHIAKI KAWASAKI|金属
ナカヤマサトシ|木とドライフラワー
森 友見子|再生紙

2日は、出展作家5名、3日は川崎さん、
ひょっこり七実さんなどは、2日以外にも在館くださる予定です。

稲垣は3日の午後以外は在館しています。
秋のお庭で、風のクリスマスを一足早く感じながら、
これからのことをお話ししましょう!

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岡野達也さんより

12月25日にプレゼントのように封筒が届いたのが10か月前。
2回目の展示になるので前回の反省から入りました。

前回の出展では、自分が今後どういう方向で進めていくか展示出来ていなかったこと。
期待するのではなく、期待されるような展示を心がけて臨まなかったこと。
このことを心に留めて準備していこうと決めました。

期待されるような展示って?
改めて考えると、ん?ん?でしたが、僕なりの仮説・解釈ですが、
またこの人の展示会があるのなら、足を運びたいと思ってもらうこと、
そう思い続けて貰えるように積み重ねていくことかな?と解釈しました。

そこを踏まえて、今回の展示は定番品を中心に、
限定品や普段はやらないことをして、自分なりの遊び心を入れて準備をしてきました。
結果は次の展示か、またその次の展示か、
いつになるかわかりませんが、この積み重ねだと思っています。
稲垣さんや風人さんが、結果はすぐに出るわけではなく、
数か月後、一年後、二年後にでることもあると言っていたことがストンと腹に落ちました。

今回出展をして、こういう自分なりの考えが出ただけでも出展して良かったと思っています。
違うのであれば修正すれば良いし、信頼できる相談者もたくさんいるし、
工房からの風に関わる事が出来て本当に良かったと思っています。

初日に天気が良くなかったので、サポート側の大変さは分かっているつもりです。
みなさんが親身になって良くしてくださったので、僕たちは安心して出展に集中出来ました。
感謝しています。
ありがとうございました。

岡野 達也

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岡野さんの言葉はとても滋味深く。
どこかから引っ張ってきた言葉ではなくて、
自ら絞り出した実感がずしりとこめられた言葉。
だから、何度も読み返してしまいます。
平易な言葉の中には、本物しかありません。
その意味や想いをしっかり感じ取ろうと思って。

初めて出展された後の言葉。
「期待するのではなく、期待されるような展示」
の意味。

そして、今回の
「この人の展示会があるのなら、足を運びたいと思ってもらうこと、そう思い続けて貰えるように積み重ねていくこと」
「結果は次の展示か、またその次の展示か、いつになるかわかりませんが、この積み重ね」
という考え。

不言実行、終わったあとで深く考え、問われれば応えてくれるひと。
岡野さんの作品が、じっくり進化していく理由がわかるようなメッセージでした。

優しくって力持ち!の岡野さん。
風人さんたちが、また戻ってきてくれるよねーと、
熱烈ラブコールが届いていること公開でお伝えいたします!

岡野達也さんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click

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三温窯さんより

こんばんは。
三温窯の佐藤です。
ミーティングから会期中と大変お世話になりました。
昨晩遅く無事に秋田に戻りほっとしているところです。

出展は自分にとって初めてのことが多く
どんな作品をどんな展示にしたらいいかとかなり考え悩みました。
結論として普段自分が作っているものをじっくり見て頂くことにつきるという考えに至り
作り手として使い手に何を伝えたいかを自問自答を繰り返し制作をしてきました。

器を作るために、土・灰の各材料の準備に制作時間の半分を費やします。
今回、五行テントで三温窯の制作のストーリーを作り手として
お伝えする機会を得ることができ、大変嬉しく思いました。
一つの器が出来るまでの作り手側のストーリーと
使い手側のこれからのストーリー、
それぞれ器を介してストーリーを繋ぐ展示が出来たのではないかと思っています。

この経験は次の制作に向けて大きな活力となるはずです、
これからも伝えることができるよう作陶していきたく思っております。
ありがとうございました。

秋田にお越しの際は是非お立ち寄りください。
交通が不便な所ではありますが最寄まで迎えにあがりますので
遠慮なくおっしゃって頂けると幸いです。
またお会いできる機会を楽しみにしております。

三温窯 佐藤幸穂

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秋田から、首都圏の大きな催事に初めて出展された佐藤さん。
個人ミーティングも早めに行って、意気込みも十分、
準備にも力を注いでくださっていることを感じていました。
ほんとうは秋田の三温窯をお訪ねしたかったのですが、
それが果たせずに時間が過ぎていきました。

個人で始めた作家活動と違って、
お父様が築いた窯で共に制作を継ぐひとの仕事に対して、

同じようなアドバイスはできないと感じていました。
お父様の意思や、それを継ぐ幸穂さんの想いの先に実っていく仕事。
現在の純朴な窯の在り方と、これからの時代での在り方・・・。

折々電話で話したりもしましたが、どれほどの力になれたか心許なくもありました。
けれど当日、関東に暮らす弟さんのサポートのもと展示を行った佐藤さんの姿には、
私の心配など杞憂でした。
しっかり焼かれた使い心地のよさそうな陶器を並べて、堂々とお客様とお話を重ねている姿は清々しかったです。

そして、五行テントの企画との連動で、土や灰づくりから行う制作について、
ご自身のテントでも展開してくださったのもすばらしかったですね。
三温窯、しっかりと伝わっていました!
これからも今の窯の豊かさを尊重しながら、新たな使い手と豊かに出会える三温窯でありますように。

三温窯さんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click

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片岡陽子さんより

この度は本当に何から何まで大変お世話になりました!

思いがけず素敵な贈り物までいただいてしまい…
貴重な体験をさせていただき、本当に感謝しています。
そしてお疲れ様です!

今回搬入時まで雨で地面ぬかるむ難しい状況の中、
稲垣さんをはじめスタッフさん達皆さんの協力で
みるみるうちに庭が整えられ感動しました。
そしてイベント中も色んなスタッフの方に声をかけていただき、心強かったです。

今回沢山のお客様に作品を手にして頂き、
手仕事を愛する方達の反応を直に感じることが出来て、嬉しかったです。
二日間でこんなに沢山の作品が巣立っていったのは、初めてのことです。
もっともっと頑張ろうと励まされました。

「これ紅型だね~優しい色合いね~」
と、紅型の技法をよく知ってる方が何人もいたことにも驚きました。
「工房からの風のウェブ、読みましたよ~」
と、来てくださったお客様もいらっしゃいました。
素敵なご縁を結んでいただき、ありがとうございました!

まだ私はスペインの工房へは戻っていないですが、余韻を楽しみつつ、
気持ち良く一年をしめくくるべく、次のイベントへ向けて
少しずつ頭をシフトしていっています。
そして友人・家族と集い、つかの間の日本滞在を楽しんでます。

お会い出来てうれしかったです。 またお会い出来ます様に!
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

片岡 陽子 拝

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片岡陽子さんは「一番遠くから来たで賞」の方!
スペインからですもの。
贈り物とは、その賞品のことですね。

陽子さんのような方が出展くださると、風穴があくんですよね。
日本のこの世界(業界?)の慣習に何となく縛られてしまいがちな心が放たれるような。
几帳面で責任感が強いのは、よいこともあるけれど、縛ってしまうこともありますね、
いろいろなことを。

本質は大切にしながらも、ふんわり、周辺のことはあまり拘らずに笑顔で向かうこと。
陽子さんのブースから放たれる幸福感は、きっと「工房からの風」によき軽やかさを奏でてくれたように思います。

「工房からの風」の一生懸命さが、ひと色に向かってエスカレートしていくことに、
どこかで私はいつもブレーキもかけています(笑

海外に暮らす方が、こうして出展くださることも歓迎しています!

片岡陽子さんの出展前のメッセージはこちらです。
→ click

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石毛みほさんより

感想を考えてたらキリがなくて困ります。
信じられないくらい貴重な経験をさせていただきました。

初日の足場は魔法のようなスピードで水がなくなり、
素晴らしいものを見せていただきました。

スタッフさん、風人さん、出展者さん、
皆様に出会えたことが、一番の収穫かなと思います。
こんなに素晴らしい方々がいるのかと、本当に驚くばかりです。
自分ももっと人間性を磨かねば!と思います。
そして全国に仲間ができたようで、とっても嬉しいです。
いつもなら、一人の方が好きなので人と繋がりたいとは思わないのですが・・・
今回は皆様の今後の活躍が楽しみで、
見てみたいな、影響を受けたいな、と思います。
また皆様にお会いしたいです。

工房からの風のブログやメールなどの文章を読んで
有り難くて有り難くて猛烈に感動しました。
皆様が全力で迎えてくださるのはミーティングなどでわかりましたが、
その全力具合がいつも想像を越えてきて、
こちらもさらに頑張るパワーになりました。
言葉の力をこんなに実感したことはありません。
愛が溢れてる、とこんなに感じたこともありません。

反省点は多々ありますが、
今の自分の限界を見せられたので、悔いはありません。
カメラはこれから買って練習します。
DMに載せる写真を撮っていただいてしまい、申し訳ありませんでした。
DMの写真の中で竹が一番綺麗だったと話していたお客様がいて、
心の中でガッツポーズしてました。
ありがとうございました。

とにかくよくここに私を入れてくださったなぁと驚き続けて
ただただ有り難いばかりです。
工房からの風のおかげでとっても幸せな年になりました。
楽しかったなぁ、幸せだったなぁ、とずーっと思っています。

またお会いできる日を楽しみにしております。
胸を張ってお会いできるように、日々過ごします。
とってもお疲れでしょうから、お身体ご自愛くださいませ。
本当にありがとうございました!!
皆様によろしくお伝えください。

石毛みほ

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栃木県大田原市から出展くださった石毛みほさん。
話せば、なんとも味のある会話も魅力の、静かにユーモアのある方。

出展中ひとりの方へは、どなたかお手伝いがいらした方がいいですよー。
といつもお伝えしています。
けれど、石毛さんはそれがどうもご負担だったよう。
一人の方がらくなので。
とおっしゃるので、大丈夫ですよー。途中で声かけますからね―。
と言いました。

なので、会が終わったあとのこのメールは少し驚きましたし、うれしかったのです。
関わったひとたちの魅力をすごく感じてくださったんだなって。

初日、朝の雨の困惑は、今となっては、出展作家、風人さんたち、
スタッフたちの心をぐんとつないでくれた恵みの雨となってくれたのかもです。
(で、でも、出来ましたら来年以降はこの恵みはご遠慮願いたいです・・・)

石毛さんは、今、キャッチ―に人の心をつかむものを作ろうという視線ではなく、
伝統的な技術をちゃんと次の世代につなげたいと願って制作に勤しむ人。
このような作り手が、自分と同じ目線ばかりではない他の作り手と
豊かな出会いを得ることは、巡り巡って、目指す道を明るく照らすような気がします。

そして、石毛さんのような想いを抱いた作り手が出展したくなる
「工房からの風」であり続けたいと願っています。

石毛さん、また、くすっと楽しいお話ししましょうね。

出展前のメッセージはこちらです。
→ click

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Leather Lab. hi-hiさんより

この度「工房からの風」では大変お世話になりました。
Leather Lab. hi-hiの平間博之です。
稲垣さんはじめ、スタッフさん、風人さんたちに支えられ、
無事に出展を終えることができました。
本当にありがとうございました。

当日の朝、ブース前の水を合羽に長靴姿ででずぶ濡れになりながら
懸命に対応してくださったお陰で私たちは幕を上げることができました。

開催中も沢山の風人さんが、
雨による革の影響や妻の体のことを気にかけて声をかけていただきました。
こんなに親身になってくれるイベントも今までなかったですし、
こんなにも沢山の人に愛されているイベントも初めてでした。
この様な素敵なイベントに出展出来たことに心から感謝しております。

思えば春に出展が決まり、初回のミーティングへ出向いてからというもの、
二人で「惜しみなく、惜しみなく」
と合言葉のように、時には呪文のように声を掛け合いながら制作へ向き合ってきました。

制作も佳境に入ると「惜しみないの呪文」は私たちの体に染み込み、
自然と惜しみなく注ぎ込めれていた気がします。

「よい結果に結びつくかは分からないけど、よい経験をしてほしい」
と掛けていただいた言葉を思い返し、
これは自分たちと向き合い、制作に打ち込む時間こそが既に「よい経験」になっているのではないかと、
始まる前に経験しちゃってるのではないかと思っていました。

本番の二日間、あっという間に過ぎてしまった時間を終え、
果たして私たちは何を得たのか?やり切れたのか?と疑問に思ってしまった自分がいました。
きっと作ることと届けることに夢中になり目標を見失っていたのでしょう。

そんな中、稲垣さんに最後にかけていただいた言葉で、
私たち二人はメンコを返された様に気持ちは反転しました。
私たちはしっかり素敵な出会いと経験に恵まれていたじゃないか。
そう思うと、手に取ってくださったお客さまとの時間が一つ一つ思い出されて、
悩んで選んでくれた様子や、手に取って鏡を見る笑顔が眼に浮かぶのです。

「そうだ、そうだった」
私たちはこの出会いに支えられてまた作らせてもらえるのです。
そしてその時こそが幸せな時間なのです。
これからも一人一人の喜ぶ姿のために、
まずは私たちが楽しんで作ろうと、気付かせていただきました。

「工房からの風」を終え、大変お疲れのことと思います。
これから寒さも増してくる季節ですのでどうぞご自愛くださいませ。

追伸
山で熊には出会いませんでしたが、
帰り道、猪に出会い家に着くまで気が引き締まりました。

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宮城の工房へと戻られた平間さん夫妻から、無事帰宅のメールが届きました。

「惜しみなく」
という言葉は、第一回ミーティングで、私がお話ししたことですね。
ケチになったらつまらない。
やると決めたら、惜しみなく取り組みましょうと。
それを呪文!(笑)のように唱えてくださっていたとは!・・・

galleryらふとの前。
hi-hiさんのブースはいつも人がいっぱい。
ご夫婦ふたりが笑顔で、お客様とずっと楽しそうにお話しをしていました。
私など、ゆっくりブースに入り込めなかったほど。

展示が終わって、ほぼ撤収できたころ、お声をかけました。
「どうでした?」って。
すると先ほどの笑顔とは違って、どこか曇った表情で反省点を話し始められたのです。

私、言いましたよ。
「反省なんて、あとでしようよ。
まずは、こんなに素敵に展示ができたんだし、
こんなにたくさんの方に笑顔で見ていただいたんだし、
こんなにたくさん選んでいただけたのだから、
成功!をちゃんと心に抱きしめて、
しっかり喜びを味わいましょうよ」って。

これがメール内にある「メンコ返し」!ですね。
hi-hiさんの革の作品は、楽し気で幸福感のあるデザインがエッセンス。
それは、おふたりがまじめだからこそでもあると同時に、
やっぱり、楽しいことが好きだからって思います。

「そうだ、そうだった」
私たちはこの出会いに支えられてまた作らせてもらえるのです。
そしてその時こそが幸せな時間なのです。
これからも一人一人の喜ぶ姿のために、
まずは私たちが楽しんで作ろう。

これからも続くものづくりの時間。
さまざまな反応を受けるときがあるかもしれません。
けれど、この二日間のために取り組んだ時間。
そして、この二日間に受けた喜び、達成感を揺るぎない宝物とできたらいいですね。

これは、平間さんたちだけのことではなく、
きっと他の作家の方にも言えるかもしれません。
「工房からの風」の私の誇り、自慢!?はいくつかありますが、
お客様のあたたかさ、すばらしさはその筆頭です。
2日間にお客様から受けたたくさんのエールを、
ぜひ心に蓄えておいてくださいね。

開催前にお寄せ下さったメッセージはこちらです。
→ click

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片田学さんより

昨晩、無事に山梨へ帰りました。

昨日も別れ際にお話をしましたが、皆さんに頂いた思いがいっぱいで、
この溢れる思いを、まだあまり整理はしたくなくて、
じんわりと溢れてくるものに少し身を任せたいと
いつもよりゆっくりとした時間を過ごしています。
言葉にしてしまうと、形に留めてしまいそうで勿体無くも感じているところです。

こんなにもあたたかく、血の通った場所は初めてで、
これまで皆さんが育んで来られた土壌の豊かさを感じる2日間でした。
かけがえのない時間でした。

独立し、外へと出ていく機会が増えてからは、
使い手の方に自分の思いを伝えられない、伝わらない不甲斐なさと、
このまま続けていっていいのだろうかと揺れる想いに直面する機会が多くありました。

暮らしの中に馴染む、素朴で、自分にとってあたりまえのものを(普通のもの)作りたいと思うだけ、
個性のなさにコンプレックスや不安を抱くこともありました。

今回も自信なさげに立っていた僕の不安な様子を察してか、
稲垣さんや風人さんがお声をかけて頂いた事は、背中を押して頂いた思いでした。

この場で踏み出さなければ一生後悔する、そう思いました。

一歩踏み出して、自分の仕事をお客様にお話すると、
こちらがお伝えすることより、逆に伝えられる言葉や思いがとてもあたたかくて、
胸がいっぱいになりました。

途中で、過去に工房からの風に出展された方がお立ち寄りくださり、
いろんなことがあっても作るのをやめられないことや、
その方にとっての真ん中のこと、作っている時の好きな時間についての話になりました。
そして、好きな時間や、好きなことが結果的に形になっているんだとの思いを重ねられたような感覚でした。

そこからは、好きなことを伝えたい、伝えればいいのだと思えて、
自然とお客様にお話ができた、そんな不思議な経験でした。

そしてその好きを共感できることがこんなにも豊かで、
ものや、暮らしや、日々の営みを通して深いところで繋がれた気がして、
何よりの励み、喜びになりました。
それは修行中、仕事を任されて納品に伺った際に、
この人のために作れてほんとうにありがたいと思えたこと
その感覚に似ていました。
一人になって、僕がしたかったけど、なかなかできなかったことはこれでした。
だからほんとうに心から嬉しかった。

最後に、僕は吉本ばななさんが好きなのですが、
その一節を引用させてください。
プロフェッショナルについて書かれたものです。

「これしかできないという自信と、これしかできないというコンプレックス。
自分が自分でしかないというすばらしさと悲しさ。
その地平からこぼれでるエッセンスのようなもの」

これは特別な人だけに、そして自分にはないものだと思い込んでいたものですが、
今なら、自分の中を見つめ続ければ、
誰でもそこへ近づけるのではないかとも感じています。

歩みはじっくりと焦らずにと言い聞かせて、忘れそうな時には、
この2日間の景色を思い出したいと思っています。

ほんとうにあの場に立てたことが幸せでした。

皆様に心より感謝をお伝えしたいと思います。
ありがとうございました。

片田学

工房からの風 no.3

+++

ニッケ鎮守の杜、花壇の道路側、トキニワカフェに囲まれた場所で、
木の器を展示していた片田学さん。

雨上がりの初日。
自らの手になった器を前に、どこか所在なさげに立っていた片田さん。
見る方の自由を妨げないように、控えめにいるほどに、
見る方との距離がうまれてしまうような雰囲気がブースにありました。

「売り込む」ための接客なんてしなくっていいんですもの。
この場に立ったら、作り手として、作ったものについて、
過不足なく自然に言葉を交わせばよいのです。

だって、ここに来られる方は、作り手の言葉、想いをききたいひとが多いのですから。

この場で踏み出さなければ一生後悔する、そう思いました。

そ、それほどに思ってくださったとは!
でも、よかった、後悔というのが、一番残念な言葉です。
それが一生ものにならなくって!

好きなことを伝えたい、伝えればいいのだ

「好きを共感できることがこんなにも豊かで、
ものや、暮らしや、日々の営みを通して深いところで繋がれた気がして、
何よりの励み、喜びになりました」

「一人になって、僕がしたかったけど、なかなかできなかったことはこれでした。
だからほんとうに心から嬉しかった」

時間にすれば、たった数時間の中でのことでしょう。
けれど、その短い間の変化には、
これまで片田さんが心の中と手の動きの反復の中で醸成してきた想いがあったからこそ。
工房からの風という場で、たくさんの人の熱を帯びて、
それがふわっと花開いたのではないでしょうか。

「これしかできないという自信と、これしかできないというコンプレックス。
自分が自分でしかないというすばらしさと悲しさ。
その地平からこぼれでるエッセンスのようなもの」
吉本ばなな

好き」のチューニングが確かなひとは、それを深く信じて、
その「好き」に響いた作品をこれからも豊かに生み出してほしいと思います。
そして、その「好き」に響き合うひととの出会いに憶病にならないように。
その出会いを豊かに育むように。
そのことが、片田さんのものを作る人生を実りあるものにするのだと信じています。

工房からの風 no.2

+++

いただいたメールをご許可をいただいて、数通ご紹介して共有していきます。
「工房からの風」というおおきな風の去ったあと、
凪いだ浜に散らばった宝物のような想い、
言葉を拾いながら、しばらく綴っていきますね。

開催前に寄せてくださったメッセージはこちらです。
→ click

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長野麻紀子さんより

ことばひとひら

その視線が、頁をめくる指先の滑らかな動きが、いとおしさを伝えていた。これでもか、というほどに。こんな風に育まれてきたのだとおもった。誰かにとって、いとおしくて、大切で、そうっとそうっと両のてのひらの間に抱えてきた、そんなふうな。工房からの風の、ほんとうにちいさなたねだったときから、可憐に咲くいまの時代までが、わたしのなかですうっと繋がっていった。はじめからそれを見たこともないのに、ふしぎと誰かのこころに灯されたあかりのなかで、はっきりとひとつの時代を、受け継がれてきたものの核が、わたしのてのひらにぽこんとのせられていたのだった。尋ねもしないのに、溢れるようにして、そこにそれはあった。祝福のたねだった。

文庫テントにて
(トップ画像もAnima uniさんより)

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Anima uniという名で金属装身具を制作する長野麻紀子さん。
2012年に出展されて以来、翌年から風人さんを続けてくださっています。
「私は風人を通してたくさんの経験やつながりや想いをいただいたので、
他の作家にも体験いただきたいから、その席を譲りたい」
と毎回終了後におっしゃるのですが、
その都度私の方でお願いをして続けていただいてきました。
今となっては、風人さんであると同時に、その役割を超えて、
「工房からの風」を構成する大切な要素、
粒子のひとつになっていただいているのだと私は思っています。

近年の風人さんには、そのような方が数名加わってくださっています。
それは、慣れあうということではなくて、
この活動に対して「役に立つ」「ヘルプ、サポートする」ということを超えて、
自身が粒子、要素となって活動の一部になってくださっているのだと思います。
それはまさに、先日の松塚裕子さんからのブログ記事に書かれてあった

『つなぎたいと思う手があるのならば
すこしの時間であってもいい、しっかり握っていないと。

(いしいしんじ著「ぶらんこ乗り」より)

に通じているのではないでしょうか。

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と、ご紹介を兼ねた前置きが長くなってしまいました!
すみません。

冒頭の長野さんの文章は、私宛の私信でしたので、
皆さんにはわかりにくいかもしれませんね。
でも、とても美しい文章なのでそのままお載せしました。

今回、長野さん、松塚さんに担当いただいた「文庫テント」では、
白い空間に、白い封筒が短冊のように吊られてありました。
それを見る来場者の方々の視線、
テントに置かれた小冊子の頁をめくる指先を通して感じたことを
文章に綴ってくださったのでした。

「工房からの風」の前身の活動から30年が経ちました。
きっと当初から来てくださっていたお客様もたくさん「文庫テント」に寄られたのだと思います。
その方々が話す言葉、振る舞い、佇まいから伝わってきたこと。
それを、

『はじめからそれを見たこともないのに、ふしぎと誰かのこころに灯されたあかりのなかで、はっきりとひとつの時代を、受け継がれてきたものの核が、わたしのてのひらにぽこんとのせてられていたのだった。』

と捉え、言葉に昇華させてくださいました。

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波は繰り返し寄せては返す。
強い弱いを変えながらも続いていく。

続けていく時の中には、荒ぶることも鎮まることもあって、
むしろそうだからこそ続いていくのでしょう。

そして、荒ぶる時の波も、鎮まった時の波も実は一緒の波なのだということ。
区切られたものではなく、ひとつのつながった水の流れであって、
その時々で強弱の姿を現しているのだということ。
そんなことを想います。

波頭(なみがしら)ばかりに気を取られずに、水が動いたということ自体に、
目を気持ちを向けて行きたいと思います。
動き、かきまぜられたことで、きっと濁りはほどけていくでしょう。
「工房からの風」の風は、そんな波を起こす風なのかもしれません。

すべての出展作家の方々へ、そして未来の出展作家の方々へ、
愛を持ってそう伝えたいと思います。
そして、その手から生まれる佳き果実が、
来場者の方々の喜びにつながることを願って。

2018年の「工房からの風」のdirector’s voiceはここで一旦区切りますね。
あらためて、ご来場をありがとうございました。
そして、この場を通じてお気にかけていただきました皆様に心より感謝申し上げます。

そして、次の波は、2019年第17回「工房からの風」ですね。
またぜひお会いいたしましょう。

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追記
今週末「風の余韻」展をニッケ鎮守の杜、galleryらふとで開催します。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
→ click

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女子高生からの質問

凪ぐ浜の宝もの、あとひとつの記事で締めようと思ったのですが、
ちょっと愉しい?メールをいただいたので、ご紹介します。
以前出展された作家の方より。
一部転載許可をいただきましたが、一応お名前は伏せておきますね。

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出展した時、2日目の終わりギリギリに、女子高生に話しかけられました。
とても真面目そうな女の子で

「なぜ、ユニクロとか、百円ショップとか、
安いものが売れている時代にこのようなことをしているのですか?
何か世の中に伝えたいことがあるのですか?
たとえば手作りの良さとか?」

と、質問されました。
内心、おおう、えらいこっちゃと思いましたが、
きちんとお応えしようと思い考えたのですが
その時のわたしには
「生きるためにやっているのかなぁ」
と言うことしか浮かびませんでした。

作りたくてたまらないから作っている、が原点。
もの作りが無い生活は考えられない。
趣味では無く、生業としているということ。
大変なこともあるけれどやめたくない。
世の中に手作りの良さを伝えたいと思って活動しているのとはちょっと違う・・
などお話したように思います。

「マルテの手記」のお話を読んで、この出来事をふと思い出しました
女子高生には夢を叶えるにはどうしたら良いか、
挫折したらどうすれば良いか?などその後も色々質問されました(笑
元気でいるかなぁと時々思い出します 。

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「いいわねー、好きなことやっていて」

どこか上から目線的に(笑)こんな風に言われることって、
作り手は案外慣れているんですよね。
でも、これからの進路を真剣に考える高校生からこのように言われるのは、
とっても刺激的だったのではないでしょうか。
だって、作家の姿を、我がこととして捉えての質問ですものね。

『女子高生のエピソード、良かったら是非ブログに転載してください。
わたしにとっても印象深い出来事でした。
彼女は小説家になりたいと言っていました』

転載許可をくださった作家からのメールにはこのように書かれてもいました。
小説家、というのも、なんとも「工房からの風」らしいなぁと思ってみたり。
年に2日。
鎮守の杜で、夢を叶えた、夢を追っている作り手たちが集う場に、
夢を描く若いひとが吸い寄せられたのだとしたら、
それもとっても豊かなことだなぁと思ったのでした。

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松塚裕子さんより

凪ぐ浜の宝もの、数日お休みしておりました。
訪ねてくださっていましたらすみません。
大きな波が引いて、いつしか日常のあれこれ、業務が始まり、
鎮まった浜辺での、宝もの拾いのよう時間が失せていくんですね。
少し寂しいけれど、次への風を生んでいく準備の時間が始まったのでしょう。
前に進んでいこうと思います。

出展作家からいただいたメッセージの公開はここまでとして、
あと二回、風人さんからいただいたメッセージの一部をご紹介して、
今年の凪ぐ浜での宝もの探しを閉じようと思います。

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今年、文庫テント、という空間を創りました。
工房からの風の前身の活動時から続けてきた冊子作りを通して、
作ることと言葉の営みを感じていただくテントです。

私から長野麻紀子さん(Anima uni)と、松塚裕子さんに担当をお願いしました。

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この短冊のような白く下がっているものは、
風人さんたちがものづくりに寄せた言葉の数々。
それを長野さんがすべてミシンで縫って封筒にしてくださったのでした。
美しさには愛が宿っていました。
(この展示は、11月3日4日のgalleryらふと「風の余韻」で再構成します。
ぜひ、見にいらしてください。)

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これら以前に編んだ小冊子をチャリティー販売しましたら、
予想をはるかに超えてお選びいただいたのでした。
皆さん、作り手の言葉に触れることをとても望んでくださいました。

文庫テントで、長野さんと松塚さんに、
工房からの風のこと、小冊子のことなど、
熱く語ってくださった以前からのこの活動のファンの方々。
おふたりを通じて、そのお気持ち、伝わっています。
ありがとうございます。

すべての風人さんが、無私の心で出展作家や来場者の方々、
そして私たち企画者にまで心を注いで
「工房からの風」にま向かってくださいました。
どの企画テントや担当もすべて心のこもった運営がなされて、
そのことが「工房からの風」を豊かにしてくれていたんですね。
あらためて、この場からもこの縁の下の力持ち風人さんにお礼を申し上げます。

文庫テント担当の松塚裕子さんから寄せられた文章
松塚さんのブログ)から、許可をいただき、
一部を転載させていただきますね。

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いしいしんじさんの、ぶらんこ乗りにでてくる一説がぽかっとうかんでくる。

サーカスのぶらんこ乗りの夫婦の話のところ。

―わたしたちはずっと手をにぎってることはできませんのね

―ぶらんこのりだからな

ずっとゆれているのがうんめいさ。

けどどうだい、すこしだけでもこうして

おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、

すてきなこととおもうんだよ

・・・

工房からの風がおわって、一週間。

思うことはたくさんあったはずなのに、思考が宙をさまよったまま、

なかなか言葉がでてこなかった。

洗濯だの掃除だの制作だの寝かしつけだのをとにかくめいいっぱい

繰り返す日々のなかで、昨日あたりほんとうにぽかっと思い出した。

ああ、そうだよなあ、こういうことだよなあ、と。

ようやくすこしすっきりする。

いつまでもずっと、てのは何事においても絶対にない。

ほんとうに手をつなぎたいときに

もうその手はなくなっていることだってある。

つなぎたいと思う手があるのならば

すこしの時間であってもいい、しっかり握っていないと。

ぶらんこ乗りは、生きているってこと、そのものだよなと思う。

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たとえばそれが「工房からの風」という場の出来事であれば、
出会って真剣に関わりたい、と思ったのなら、
しっかり手を握ってみる。
ずっと握っていることなんてできないのだから、握るのなら真剣に。

人と出会うって、生きているって、こういうことじゃないかな。
と松塚さんの文章から気づかされる。

惜しみなく。
すべてにそれはできないのかもしれないけれど、
そうせざるをえないことと巡り合えたとしたら、
迷わず惜しみなくできるといい。
幸せの濃さってそういうことだ。

けちにならない。
そう、多くのすばらしいものづくりに共通するのは
けちじゃないということ。
だからこそ、人の心に響く、打つものを作り出せるのではないか。
そんなことを思うのでした。

出展作家の中で、もし悔いが残る人がいたとしたら、
あなたは惜しみなくま向かったでしょうか。
そう問うたとしたら、それは厳しすぎるでしょうか。
小さな反省などの前に、小さなけちにならずに、
惜しみなく向かったらいいのだと、愛を持って伝えたい。

たくさんの手ごたえと感謝のメールの中に、
やりきれなかったことを悔いるものも交じります。
いや、それ以前に、無事戻りました、と
ひとこと返せない作家のことを想います。
今回はすでに終わったこと。
でも、ぜひこれからの時間の中で、作る仕事を選んだことを、
しっかりと握って進んでほしいと思っています。

・・と、えらそうなことを書きましたけれど、
私自身反省がいっぱい。
惜しみなくやれた、といいきれることもあるけれど、
やれなかったなぁと思うことも多々。
特に、出会った49組の作家の想いをちゃんと握りしめられたか、
といえばとても全員には出来なかった。
「それはしかたないんじゃない、当然だよ」
と言ってくれる声が聞こえてくるけれど、
そうじゃないって、松塚さんの文章、
いしいしんじさんの文章を読んで思いました。

すこしだけでもこうして
おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、
すてきなこととおもうんだよ

こんな思いを底において、爽やかに次に向かって進みたいと思います。
次回の応募も12月1日から始まりますものね。

凪ぐ浜の宝もの、次の長野麻紀子さんからのメッセージを持って閉じますね。