2019年10月の記事一覧

「出展作家紹介/工房からの風」New

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北直人さん 金属 大阪

Q1
北直人さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品なさいますか?

A1
真鍮板を主な素材にして、人や動物をモチーフにした半立体作品を出品します。

学生時代は鋳造の技法で人の影が伸びたかたちをイメージし大きな立体作品を制作していました。
卒業したあとの助手時代にその作品の雰囲気で身につけられるものを作ってみようと、
金属の板からシルエットを切り出し鎚目をつけたブローチなどの制作をはじめました。

その延長で近年は、板から切り出したシルエットをコラージュした作品や謎の置物も発表しています。

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ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明 をお願いします。

A2
僕は工房にいる時間、常に音楽と一緒です。
写真は昔々に不思議なおじさんからいただいた古いアンプ。
多分僕より年上で、決していい音ではないのですが、メーターの針がぴょこんぴょこんと生き物のように飛び跳ねながら、大好きな音楽を鳴らして僕のお尻を叩いてくれます。
良き相棒なのです。

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Q3
北さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物 との出会いについて教えてください。

A3
動機は憧れだったと思います。

好きな音楽を聞いたりするととても豊かな気持ちになります。
でも高校生の時に見たあるバンドのライブがきっかけで、満足感の他に焦燥感に駆られるようになりました。

それは受け手ではなく自分も送り手の側に立ちたいという願いだったと思います。
誰しもが経験することかもしれませんが、僕はギターを買ってロックスターを志しましたがあえなくゲキ沈。
人間得手不得手があることを改めて痛感しました。

そんな折、進学した芸術大学の同級生や先輩のおかげでたくさんの美術作品に触れることになります。

グレイソンペリーの陶芸、舟越桂の木彫、加藤泉の絵画との出会いが幼少から楽しかった図画工作美術を思い出し、送り手としての表現をものつくってゆく生き方に舵を切るっかけをつくってくれました。

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今回、金属の作家の方がとくに豊かな構成になっています。
さまざまな素材、技法、作風・・。
北さんの作品は、皆さんにどのように響くでしょうか。

北さんの作品には、それぞれに作り手からのストーリーがあるようでありながら、
見る側のストーリーに広がっていくような自由さがあります。
そして、これからもっとさまざまな展開に広がっていくような予感も楽しい作品群です。

北直人さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜。
銀座アスターを背中に並んだつの4つのテントの中。

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鈴木恵麗子さん 陶芸 宮城

Q1
鈴木恵麗子さんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

土ものの食器や花器などを出品します。
使っているマットな白釉と灰釉は、焼くと土の成分などによって表面の色や表情が変わります。
土もいくつか種類を使っており、色々な表情が出ていると思います。
灰釉は厚くかかっている部分はキラキラとガラス質光沢があり、うすい部分はざらっとした土の触感もあります。
個人的にマグカップなどは持った時に土っぽいざらっとした感触のものが好きなので、
内側はつるりととしていて外がざらっとしたもののシリーズなど作っています。
また手びねりの器のシリーズは、たたいた時の土の動きによってできた形を極力邪魔しないで成形しています。
不規則な形と艶のあるちょっと水色がかったガラスのような質感が、水たまりや湖面みたいだと思っています。
水面を眺めているときのような気持ちを感じてもらえたらうれしいです。
ろくろの器も手びねりの器も、完成した時の土や釉薬の醸し出すもの想像しながら、それをなるべく邪魔しないように制作しています。
ひとつひとつ少しずつ違う風合いの器の中から、好きな雰囲気の物を見つけていただけたらうれしいです。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
すみません、まったく写真映えしない画像ですが…
お気に入りというか、じわじわとその良さに感動している道具です。
これは素焼きの鉢に釉薬の原料になる灰を入れて乾燥させているところで、
素焼き鉢は「吸鉢」などと呼んで、泥状の土を乾燥させたりする時にも使います。
乾燥には石膏などもよく使います。
ただ石膏だと接している面ばかり先に渇いて中が乾かなかったりするのですが、
この素焼き鉢を使用すると水分が中まで均一に乾いて、本当にちょうどいい加減に調節できる優れものです。
自然な速度で呼吸をしている素材なんだなあとつくづく感じます。

私は釉薬に灰を使っていて、今は知り合いの方から薪ストーブで出た灰をいただいています。
そのままでは使えないので、ゴミを取り除いたりした後、水簸といって灰汁を抜く工程があります。
水簸は灰に水を入れ、数週間水を交換しながら行います。最後に乾燥させる時にこの吸い鉢が大活躍します。
作品作りには欠かせない作業で、そのために最適な道具もまた土でできている…という、
なかなか伝わらないかもしれないとても地味なポイントかもしれませんが、
土を扱っているものとしては妙に感動してしまう道具だと思っています。

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Q3
鈴木さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
一つに絞るのが難しいのですが、敢えて挙げると、陶芸を勉強しに行ったスウェーデンの学校で出会った先生や友人たち、
そしてその学校周辺の景色なども含めて、体験したこと全てでしょうか。

私は仙台で陶芸を始め、本格的に勉強するためにスウェーデンにある工芸の学校へ行きました。
行ってみて感じたことは、言葉や文化が違うはずなのに、どんなに稚拙でも自分に正直な作品や表現をするときちんと伝わって、
理解してもらえるという感覚や居心地の良さでした。クラスメートも先生もとにかく自由で。

ただ、個々は自分の意思に正直で自由なんですが、きちんと協調性もあるというバランスのよい人がスウェーデンの人は多かったように感じます。
自分の意思を大切にしている分、相手の意思も同じくらい尊重するような感じがしました。
逆に言うと自分の意思を表現していないと、「何で?」と理解されないところもありました。

なので自分としてはこんな作品作っていいのかな、と迷ったり思い切って作ったりしたものこそ、ニヤリと受け止めてもらえる空気があって、
それまで感じたことのなかったような自由を感じられました。

寮生活だったので生活も共にし、よりお互いの考えが理解しやすかったのかもしれません。
先生方からも、今思い返してさらになおぐっと心に刺さるような言葉や教えてもらったこともたくさんあり、何度も思い返しています。
技術的なこともさることながら、ものづくりをする上での基本的な気の持ちようについて大切なことをたくさん教わったと思います。
また牧歌的で自然にも近い、美しい風景の数々も、記憶の中から作品に何らかの形で生かせていたらと願っています。

今では離れていますが、よき理解者たちに出会えたこと、そして大切なことを存在そのもので教えてくれた先生たちは、
今では温かく燃え続ける大切な種火であり、私を支えてくれる土台になっていると思います。

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仙台で作陶する鈴木さん。
鈴木さんもスウェーデンでさまざまなことを感じ、吸収し、今の制作、生き方に生かしていらっしゃるのですね。
北欧のすっきりとしながらも温かみのあるインテリアや、空間に似合って、
そして和のテイストが生かされた鈴木さんの陶磁器。
写真では伝わり切れない実物の素敵さをぜひご覧ください。

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鈴木恵麗子さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って、ほどなくの中央部。
ガラスの手塚えりかさんと、森屋茉莉子さんの間です。

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森屋茉莉子さん ガラス 東京

Q1
森屋茉莉子さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品なさいますか?

A1
主にパート・ド・ヴェール技法(鋳造ガラス)で制作した皿や花器などの器と装身具を中心に、フュージング技法の小物等も少しお持ちします。

お皿は植物の種や実(小麦や粟など)を型取りしたり、釉薬や土、ガラスを独自で調合、装飾したブローチや花器なども特徴的です。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
右端に写っている踏み台。
初めに工房としたのは山梨の生まれ家。
岩殿山の麓、川の崖上にあり、いつも涼しい風と水の音が流れてくる場所です。
そのお勝手にいつからかずっとあった踏み台。

今はシェアアトリエの一角をお借りして制作していますが、
ほっとする存在としてこちらにも。
野外展のときに展示台として、椅子として来てもらうことも。
「ニッケ鎮守の杜」にもご一緒します。

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Q3
森屋茉莉子さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
セーターや靴下を編んでくれた祖母、
服や鞄を縫ってくれた叔母、
毎日の母の料理、
山で拾った木で魚網を作る祖父、
写真を撮り暗室に籠る父、
親戚、ご近所さんが作った野菜やお米。

物作りを楽しみ持ち寄る周りの人達から少しづつ種火を頂いたのだと思います。
そして私はパンを作る人になりました。
パン作りの種火が決して消えない確かなものになってきたと感じられた頃、
ずっとくすぶっていたガラスに惹かれる種火を起こしてみようと思いました。

今はガラスの火がなんとか消えないようにと精一杯ですが、
「工房からの風」で少しでも種火を持って帰って頂けますように、
私もしっかり火を灯し向かいたいと思っています。

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森屋さんには、先日の自由学園明日館での展示にも出品いただきました。

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右から、森屋さん、手塚えりかさん、山口未来さん。
工房からの風直前ではありましたが、広やかに新たな方々へ伝わるようにとご参加いただきました。
歴史ある美しい空間の中で、光を浴びて、3人の方それぞれの来し方や、
硝子への想い、それをかたちにする技法について言葉を交わすことが出来ました。

森屋さんはパン職人からガラスづくりへとその種火を移されてきた方。
どこかもちもちっとした?立体を感じさせるガラスには、共通のものがあるのかもしれません。
そしてガラスには、光との関係性が新たな要素ですね。
ぜひ、光とともに作品を感じていただけたらと思います。

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森屋茉莉子さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って、レンガ道を進んだ先。 

インスタグラムはこちらになります。
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kinaka ビーズ細工 東京

Q1
kinakaさんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

A1
手編みのビーズ編みがまぐちをメインに、ブローチなどビーズ編みの小物を出品致します。

作品はすべて、ビーズを一粒一粒、地から編み込んで作っています。
手洗いも可能で、丈夫で永くお使いいただけます。

がまぐちは色の組み合わせが様々な「オハナ」シリーズと、
和装にも合わせられるデザインが特徴の「マツ」シリーズのデザインがあります。

がまぐちは、ポシェット/手提げ/ポーチと3wayでお使いいただける大きめのサイズから、手のひらサイズの小物入れまで、大小かたち様々にお持ちいたします。

どこか懐かしいあたたかさと、繊細さを感じ取っていただきつつ、一生大事に愛でたくなるような一点をお選びいただければ幸いです。

作品画像②オハナ

作品画像④オハナモノトーン

Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
色とりどりのビーズです。
無限の組み合わせの中から色を選択します。

ビーズはガラスでできているので、色が透けます。
同じ色のビーズであっても、通す糸の色によって濃く見えたり薄く見えたり、別の色に見えたりもします。

複数色をあわせる場合、うち1色が違うだけでまったくの別物になりますし、同じ色あわせであっても、配置する箇所が異なるだけで別の印象を持たせることもできます。

色は好みなので、一人一人好きな色や、言葉では説明し難い配色のツボがあると思います。
無限の色あわせの中からただ一つを選び出して製作した作品が、誰か一人の、好みのツボに合致すればいいなと思いながら製作しています。

Q2画像ビーズ

Q3
kinakaさんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
神は細部に宿る、という言葉です。

学生時代に出会った言葉で、物事の小さなことをおろそかにしてはならない、細部にこだわってこそ、本質が決まる、というような意です。

手仕事をする上で小さなことや見えない裏側など、細部にこだわるのは当たり前ですが、
いつもこの言葉に恥じない仕事をしなければと、初心を忘れないよう大切にしている言葉です。

また、大枠があってこその細部だと思うので、狭い範囲での作業だけでは狭くなりがちな視野を狭めないようにと、戒めの言葉でもあります。

作品画像③アップ

kinakaさん。キナカ、とお呼びします。
ビーズバッグは、私の子供のころに和装のバッグとしても珍重されていた記憶があります。
どこかゴブラン織りのような落ち着いた華やかさもあって、独特の美しさでした。

kinakaさんは、うんとお若いので、昭和40年代のビーズバッグはご存知ないと思うのですが、
今の装いの中で素敵に使いたいデザインで制作されています。
こまやかな手仕事、ぜひ実際にお手に取ってご覧になってみてください。

作品画像①マツ

kinakaさんの出展場所は、galleryらふとを参道を挟んだ旧和風庭園の中。
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sou 金属装身具 沖縄

Q1
沖縄で制作する仲間秀子さん。
souという工房名で作品を発表されています。

souさんは、「工房からの風」にどのような作品を出品なさいますか?

A1
日々の生活中で、シンプルでさりげなく身に着けられるような、
真鍮とsilverを中心としたアクセサリーをご用意させていただきます。

作品3

Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
沖縄本島の最南端に建てたatelier兼shopの大きな窓から見える、
青い海と空、夕暮れ時の夕日はとても綺麗で、一番落ち着く大好きな場所です。
海が見える大きな窓を作ったきっかけは、海が大好きだった義父の案でした。

「いつかここに、海の見えるatelierをつくりたいね」と病室で幾度も、義父と夢を語りあったことを鮮明に覚えています。
義父が亡くなってから、7年目にようやくopenに至りました。

私にとって、とても大切で心地よい場所です。
いつか、皆さんにも足を運んで頂けたら嬉しいです。

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Q3
souさんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
幼少期から、こと洋服が好きで、スケッチブックに沢山の洋服のデザイン画を書き溜め、
いつかファッションデザイナーになりたいと夢見ていました。
実際は、美容師になりましたが巡り巡って、気が付くと洋服を縫っていました。

服の展示販売をしていた時に、30くらい年上の女性に出会いました。
彼女のアクセサリー使いや生き方に魅了され、気が付けばアクセサリー作家としてスタートしていました。

彼女と出会うまでは、歳を重ねるとおしゃれが楽しめなくなると思っていましたが、
今では歳を重ねることのほうがおしゃれが楽しめると思うようになりました。
大切な友人でもある彼女の生き方や装いを目標に、楽しみながら歳を重ねていけたら素敵だろうなと思います。

作品1

海の見えるアトリエ。
沖縄言葉のアクセントがすっかり板についている仲間秀子さんですが、ご自身は関東がご出身。
けれど、縁を得た沖縄の地で、縁を結んだ方々との想いを叶えて美しい工房を持たれて。
その幸いの中での制作、すばらしいですね。

シンプルなかたちの中にある洗練や誠実な造りが、結局は一番好き。
と語られていた言葉がミーティングの時に心に残りました。
ひと目見るだけではなく、手に取り、合わせ、そのシンプルな姿をじんわり味わうように感じていただきたいと思います。

作品2

souさんの出展場所は、おりひめ神社脇。
お隣はフェルトのKUUSI6さん。

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二川 修さん 陶芸 大阪

Q1
二川さんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

A1
2色の釉薬のみを使ったありふれた器たちです。
先人たちの手で研ぎすまされてきた「器」は道具として完成系に近いのかもしれませんが、
いかにしてその中に自分の意思を受け入れてもらえるかを考え、取り組んでいます。

釉の表情を活かすことのできる姿を探りつつ制作してはいるものの、
どこか隙のある仕上がりになってしまいます。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
グリーンカーテンに覆われた窓際のこの場所では型モノを作っています。

ろくろも多いですが、石膏型で作ることが自分の器作りの原点に近いこともあり、
節目ごとの作り始めにはまずはここに座って頭と 体をリセットしつつ、
徐々に温めていける場所になっています。

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Q3
二川さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
学生時代から主にオブジェを制作していましたが、地元・大阪でクラフトフェアの立ち上げに参加したことで 「暮らしの道具」を大切に選び、使い、そして作る人たちと出会う事ができました。
その出会いが自分の「もの作り」の原点を見つめ直すきっかけになり、器のみの制作となりました。

それ以前より、時々作った器を大阪のお店に見て頂いていたことも、大切な助走になっていたと思います。

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画像を見ていただいてもお分かりのように、
二川さんはすでにしっかりと制作を熟してこられた方。
工房からの風という空間では、
まさに個展を見せていただくような気持ちでお迎えしています。

A1で答えてくださったように、制作における器観も豊かな芯があり、
私などはその隙にこそ美があるように思ってしまいますが、
作家としては隙は狙ってすることではないから、
隙なく作ろうという思いはなるほど、とてもまっとうだと感じます。

それでもやはり、作ろうとしたわけではない何か、それが味だったりもして、
二川さんならではの器を構成しているんですね、きっと。
ひとつひとつが熟していながら、数がまとまったときに見えてくる何か。
そんなこともぜひ会場で感じてみたいと思います。
それには、早めにブースに行ってみないとですけれど。

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二川修さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜の真ん中あたり。
レンガ道に沿って広やかに展開される予定です。

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POTTERY STUDIO K 陶芸

Q1
POTTERY STUDIO Kさんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

A1
陶の装身具を出品いたします。

型を使用せず、一つひとつ丁寧に制作した一点物のピアス・イヤリングを中心に、
帯留めやカフスボタンなど、秋冬をイメージして制作したものを400点ほどお持ちいたします。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
私の工房は築100年以上経つ古民家をリノベーションし、使用しています。
その中で、当時 商業銀行だった頃から使用されていたカウンターに、
私の「好き」を並べ、工房のエントランスに据えております。

そこに朝の光が当たり、ピンと張る空気を感じ、少し背筋が伸びる感覚を覚え、
さあ、今日も頑張ろう。
そう感じる場所になっており、とても大切にしています。

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Q3
POTTERY STUDIO Kさんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
子どもの頃、母に連れられ市の陶芸教室へイヤイヤ通っていた事を覚えています。

ものづくりは好きだった為、美術大学の工芸学科へ、陶芸以外を学ぶつもりで進学しました。
しかし、そこで触れる「陶芸」は私の思い描くものよりも遥かに自由で、遥かに魅力的な世界でした。
それから陶芸の世界にのめり込み、大学院までそれ一色で、現在では私の生活の一部となりました。

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陶磁の装身具に特化して制作、POTTERY STUDIO Kとして発表する金子ひとみさん。
ひとつひとつの小さな作品に、陶磁の肌合いと釉薬の美しさがぎゅっとこめられ、光を放っています。

工房もとても素敵な空間ですね。
展示構成もとても楽しみです。

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POTTERY STUDIO Kさんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前です。
ホームページはこちらになります。
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Maiko Kasugaさん 染織 愛知

Q1
Maiko Kasugaさんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

A1
糸を染めて紡ぎ、布小物を織っています。
工房からの風には、ストールを中心に色とりどりのネックウォーマーや帽子を出品します。

大学の時に織物と出会ってから、変わらずに手織りで表現したいことは「彩り」でした。
もっと深く、もっと曖昧に、心に感じた色を糸の重なり合いで表現するにはどうしたらいいのだろうと、
試行錯誤しながら続けてきて、今、辿り着いたことが、染めて、紡いで、織る。という形でした。

手染めで染めたタテ糸に、手紡ぎで紡いだヨコ糸を織り込んだ彩りでいっぱいのストール達です。
手紡ぎならではのふんわり柔らかな手触りとともに、たくさんの彩りを楽しんでいただけたら嬉しいです。

大判ストールウール

Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
織機はもちろんですが、糸車は彩り作りのメインとなるヨコ糸を紡ぐための大切な道具です。
キコキコと動かしながら、指から次々に現れてくる色を見ながら紡ぐ作業は、静かに心の中の彩りと向き合える心地良い時間です。

今年の夏ごろ、急に思い立って糸車を解体してメンテナンスを兼ねて少し手を加えてみました。
ちょっぴりおめかしした糸車といっしょに工房からの風に参加させて頂くのが楽しみです!

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Q3
Maiko Kasugaさんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
北海道の美瑛町という町に、大学卒業後に数か月滞在していたことがあります。
その時に、初めて「この風景と、空気を織物で表現したい!」という感情が生まれたのを強く覚えています。
以来、日常の中でも心に留った景色や空の色、誰かの笑顔など、
その時に「自分の心の中の動いた何か」を元に織るようになりました。
今でも、制作の原点に戻りたくなると美瑛町に訪れます。
いつも変わらず、迎えてくれる広くて大きな丘を見ると、また新しい織物に向き合えるような気がします。

ベレー帽

色を織りあげる。
Maiko Kasugaの布に向かうとき、作家の想いがすっと伝わってきます。

素材、技法、デザイン・・・。
特に今回は「紡ぐ」工程でMaiko Kasugaさんの想い描く布の世界をふくらませてみたようです。

織り上げても、織り上げても、作家の想いは掴むよりも遠ざかるようなところもあるでしょう。
けれど、その過程過程に実った作品が、誰かの心に響くことが、次への創作の糧になっていくように思います。
作品を介して交わされる幸福な出会いが、作り手にも使い手にも恵まれますように。

大判ストール絹

Maiko Kasugaさんの出展場所は、おりひめ神社の奥。
手前には、スペインからこられる、TALLER URARAKAの片岡陽子さん。
ブラジル育ちの春日麻衣子さんと、響くことがあるまもしれませんね。

Maiko Kasugaさんのホームページはこちらになります。
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KUUSI6(クーシ) フェルト 東京

Q1
フィンランド語で数字の「6」と「もみの木」という意味を表すKUUSI(クーシ)さん。
工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

A2
羊毛を圧縮して成形したバッグやマフラーと小物では小皿やポーチなどを出品します。
2016年に出展させて頂いたときは、バッグを中心に展開させて頂きました。
今回の出展ではマフラーの色や柄を充実させ今まで取り入れたことのない色目のものや新しい柄にも挑戦してみました。

今年のテーマが「火」から燃ゆる色を連想し、赤い色のバッグを作りたいという気持ちになりました。
今回の工房からの風への出展では、赤い色のバッグを多く出品させて頂いています。
また、持ち手と本体が一体化した新しい形のバッグも作成しましたので是非手に取ってみてください。

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Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
自宅の狭い一室を工房とし、防水シートを敷いたテーブルの上で作品を制作しています。
この写真は石鹸水で水浸しにした羊毛をキャンバスにして、ニードル一本を片手に一針、一針、刺しながら
羊毛の線で柄を入れているところです。
どの写真にするかいろいろ悩みましたが、この作業をする時間が好きでこの写真にしました。

この時期だとちょうど15時くらいに、向いの窓からテーブルにやわらかな西日が差し込みます。
充実した工房とは言えないのですが、オレンジ色に染まった午後の落ち着いた空間で、じっくりと羊毛に柄を入れているときが、
私にとって集中して制作に向き合える大切な時間です。

Q2

Q3
KUUSI6さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
小さい頃から絵を描くことや手を動かしてものを作ることが好きだったので、その頃から種火はあったのかもしれません。
でもその頃は何も考えてはいなくて、ただ楽しいと思っていただけでした。

その種火がしっかりと灯っていることを認識したのは美大の実技試験の時だったように思います。
「壁画のある風景」というテーマが与えられ、そこからイメージする絵とその絵を説明する論文を作成するという内容でした。
ひとつのテーマから頭に浮かんだことを何もない真っ白な用紙に不思議とすらすら描き上げていくことができました。
今思うと恥ずかしくなるような仕上がりの絵だったように思いますが、そのときは自信を持って描けたと思っていました。

試験なので緊張はしていたと思うのですが、何もない所から形にしていく作業がとても楽しくて、
こういうことをずっとしていきたいと強く思ったのを覚えています。

美大を経て、何年か後に羊毛という素材に出会いました。
羊の原毛という状態からいろいろな立体物ができあがることやそこから広がる世界を自由に作ることが楽しくて今に至っています。

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KUUSI6さんの出展は二回目。
前回の2016年の初出展時には、たくさんのお客様に囲まれてどこかびっくりしたような表情の大楽さんが印象に残っています。

その後は闊達に制作発表を続けられて、作品の完成度やヴァリエーションも増えてこられましたね。
そして愛らしさとともにあるあたたかなフェルトなのに感じる透明感のようなすっとしたデザインはますます磨きがかかっているように関しています。

今回の五行テーマ「火」から連想された「赤」のシリーズも人気が高そうですね。

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KUUSI6、大楽久美さんの出展場所はおりひめ神社の境内に入って左側。
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片田学さん 木工 長野

Q1
片田学さんは、工房からの風にどのような作品を出品なさいますか?

A1
ノミや鉋を使い、木を刳り貫いて作った皿、鉢などを出品します。
これから定番にしたいと思い新たに作ったお皿と、その木なりに向き合った一点ものを作りました。

なるべく素直な形と、手にしたときにしっくりとくるバランスや質感を大切にしながら手を動かしています。

日常使いに寄り添うように、素朴で、木の力を感じられるようなものづくりをしたいと思っています。

工房からの風 no.1

Q2
ご自身の工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。そして、その説明をお願いします。

A2
修行をしていた工房に入った際に、先輩から頂いた棕櫚の手箒です。
作業台の掃除をする時など、とても出番が多く10年以上愛用しています。
仕事に臨む心構えを再確認する瞬間があったり、
良い道具を使うと、本当に気持ちがいいものだということをしみじみと感じます。

工房からの風 道具

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片田学さんにとって、ものづくりの種火ともいえる、きっかけや動機、大切な人や物との出会いについて教えてください。

A3
僕にとって、ものを作ることへの姿勢の基本は、修行した工房で師匠から学びました。

家具作りを修行した日々の中で、人と木と向き合う姿勢や、形にする過程で立ち止まり、思い悩む姿、新たに挑戦していく時間を共に過ごしながら、人間らしいものづくりの苦悩と喜びを教えて頂いた存在です。

つくることの根元にあるものと、今の自分を大切にしながら、ちゃんと心を響かせて作り続けていきたいと思っています。

工房からの風 no.2

今回の「工房からの風」の出展作家の中で早く、2月にミーティングをしたのが片田学さんでした。

見せていただいた作品はどれも手堅く、正確で、作り手の中にしっかりとした美意識が立っているからこその静かな佇まいを感じました。

けれど、いや、だからこそ、作家としての進む道を立ち止まって考えていらっしゃるようにも受け取れました。
私のささやかな経験では、このような方はじっくり進みながら、気づけば確かな作品世界を築いていかれるので、自分を信じることと、広やかであることの先に豊かな実りがあると安心してお話ができました。
あれから8カ月ほど、どのような作品が出来上がっているのか、とても楽しみなのです。

(今回、木工の作家の層も厚いのです。
金属やガラスでも書きましたけれど。
木工の場合、一次で多く出展作家が確定したのでした。
なので、優秀な作家の方でも二次で選ばれにくかったかもしれません。
この場を借りてお知らせですが、一次へのご応募、おすすめします)

片田さんの工房名は「トロワ」。
わかる方も多いのではないでしょうか。
吉田篤弘さんの
「それからはスープのことばかり考えて暮らした」
の中に出てくるサンドウィッチ店の名前。
いいな、と思うものが響く方、ぜひブースでお話ししてみてくださいね。

工房からの風 no.3

片田学さんの出展場所は、手仕事の庭、トキニワカフェの近く。
ホームページはこちらになります。
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