2023年 工房からの風

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安藤大悟さん(陶芸)

『新鮮な作り手は、時代の中で果実のように生まれてきます』

「工房からの風」の第一回目から掲げてきたフレーズを、今年、あらためてかみしめています。

コロナ禍で2年を縮小開催としてきましたので、新人作家との出会いの機会を少なく過ごしてきました。
今年、3年ぶりの通常開催を前に、初出展作家の魅力あるお仕事に、始める前から期待が高まっています。

準備期間中、コロナ禍のため、2019年以前のようなミーティングや工房探訪もささやかにしかできませんでした。
それでも、何とかお会い出来たり、メールや電話でやり取りをさせていただく中で、はっとさせられるような発見がいくつもありました。

少し残念に思ったのは、その新鮮な果実のように熟しつつある作家たちが、他者との交流経験に乏しいことでした。
作家同士、お客様・使い手の方々、そしてギャラリーやショップなどのつなぎ手。
コロナ禍の約3年、難しかったですね、交流は。
でも、長い作家生活、ものづくりを進めていく中では、佳き人との出会いや交流はとても大切だと思っています。

今回出展される30組の初出展作家の方々が、これをひとつの機会として、豊かなものづくりの道を歩まれることを願っています。
そのためのひとつの栄養として、佳き人との出会いに恵まれますように。

では、さっそくメッセージをご紹介いたしますね。

+++

Q1
三重県津市で作陶される安藤大悟さん。
「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A1
秋が深まり、だんだんと温かい食べ物や飲み物が恋しい季節となりました。
マグカップや珈琲ドリッパー、珈琲焙煎器、リム皿やカップ、ボウルなど、暮らしの中で共に生活を楽しむことのできる器や季節の草花を愛でる花器。
アクセサリー、ブローチなど、陶器を身近に感じることのできる装飾具を出品する予定です。

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Q2
安藤大悟さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
僕は、三重県津市にて、2階建ての古い倉庫を改装し、アンドーワークス〈Pottery Lab &-works〉という陶芸教室とギャラリーを夫婦で営んでいます。

2017年に創業し、2021年には古い工場跡に工房を移転しました。
自分たちで出来る事はやりつつも、大工さんや内装を手がけて頂いた方々のお力添えのおかげで少しづつ思い描いた場所になっていく姿に胸が熱くなりました。

とても古く、暗い工場だったので、光をたくさん取り入れるために、工房に大きな窓を作りました。

その大きな窓からは田んぼが見えます。
春には田植えが終わり、夏には蛙の鳴き声が聞こえ、秋には稲刈りの様子を見ることでき、鱗雲の広がる茜色の空に沈む夕焼けは、今日もがんばったねと肩をポンと叩いてくれるような気がします。

自分たちが創った場所に、陶芸を通じ、様々な方が足を運んでくださり、ワクワクするような発見や心が踊る体験を共有をする事が出来ました。
僕にとって、『この場所』はなくてはならない大切な場所です。

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Q3
安藤大悟さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
僕が卒業した陶芸学校の講師でもあり、師と仰ぐ陶芸家の阪口浩史先生の灰釉湯のみをご紹介いたします。

こちらの作品は釉薬の垂れ具合や、口元の厚み、木ベラで削いだ後など、陶芸の良さがたくさん詰まった作品で、使い続けて10年ほど経ちますが、どんどん味わい深くなってきています。

先生から粘土の扱い方や、釉薬の塗り方、陶芸に望む姿勢など多くの事を学び、今の作陶に繋がっています。

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尊敬する師を持てるというのは、とても幸せですね。

今回、「工房からの風」の広報用のインスタグラムでは、安藤さんの作品もご紹介させていただきました。
動物の蓋物の造形に、今展のイメージカラーの緑がかった藍色がとても映えています。
インスタグラムに上がってきましたら、ぜひ、いいね!してみてくださいね。

安藤大悟さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜中央部、花壇のほとりです。

作家ページはこちらになります。
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風人からの声

出展作家からのメッセージ。
怒涛の!公開になっておりますが、お読みいただけましたでしょうか。

毎年、私たちが思う以上にこの記事を読み込んでくださる方がいらして、
「予習してきました~」と、おっしゃるお客様も多くなってきました。

もちろん、白紙の状態、まっさらな気持ちで作品にま向かうのもよし、ですね。
一方、作家からのメッセージを読んでから作品に触れるのも、味わいが一層増すかもしれません。

ここまでで24組の出展経験のある作家の方々からのメッセージをご紹介してきました。
ここからは、初出展の30組の方々からのメッセージをご紹介していきますね。

ところで、もう、ご覧いただけましたでしょうか。
20回展記念、アニバーサリー特設の頁。
本日は、風人からの声 という記事が公開になっています。
click

231022aここで内容をお書きするのは野暮ですのでぜひ特設頁を。

でも、どうしてもここでもお伝えしたいフレーズをひとつ。

新たな作り手が得た希望と喜びは、ものづくりの世界にとっての希望と喜びです。
それぞれの力で肥沃になった大地が、工芸という樹を強く、深く、伸びやかに育ててくれるものと僕たちは信じています。
これからも自身のためにも、僕たちの愛する仕事のためにも。

これは、箒をつくる吉田慎司さんのフレーズ。

『新たな作り手が得た希望と喜びは、ものづくりの世界にとっての希望と喜びです。』

なんて素敵な想い、言葉でしょう。
吉田さんご自身も1984年生まれと若き作り手ながら、
自らの後というより、共に進む人たちへの愛と、工藝、ものづくり自体への愛に満ちた言葉に心打たれました。

自分だけがいい、のではなく、このような想いがきらめいてる「工房からの風」でありたいと、あらためて思ったのでした。

特設頁、ぜひ何度もご覧いただけましたら幸いです。
→ click

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ひとつ、補足を。

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こちらは、特設頁にも載せた画像。
2020年「工房からのそよ風」という、縮小開催の時の風人さんの写真です。

「工房からのそよ風」は、会場がニッケ鎮守の杜だけで、出展作家数もうんと限られ、開催時間も短かったので、出展作家を送り出して、尚、お日様が出ていたんですね。
夕焼けがきれいだったのです。

いつもは出展作家全員を送り出すと真っ暗闇。
そのような中で記念撮影なんてとても思いつかない状況ですので、
風人さんとの貴重な記念撮影は、この日のこれだけなのでした。

ささやかな開催ながら中止とせず、二年続けて行ったこと。
正解はありませんが、振り返ってみると、小さくとも続けてきてよかったと思っています。
そして、配慮を続けながらも、ようやく通常開催を迎えられることを、皆様と共に喜びたいと願います。

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väli(装身具)

Q1
2015年に出展くださったväliさん。(ワリ、とお読みします)
「工房からの風」には、7年ぶりですが、今回はどのような作品を出品されますか?

A1
かぎ針を用いた糸装身具と、色を纏うと題して製作している天然石のお品をお持ちします。

今回装身具とは別に、近年好きで製作している古布のものも出品します。
近年、国内外で襤褸(ぼろ)の評価があがり、襤褸に関しては取引があるのですが、その一方、評価をされない古布が存在します。

私が使う古布は、襤褸より綺麗で、すこし襤褸としての魅力には欠けるかもしれないけれど、触れた感触が優しいもの。
そんな布で自分が作っていて楽しいと感じたものをプラスで製作しました。
あえて金具を付けず、装身具の概念を取り外し、自由に身につけてもらえたらいいなと思っています。 

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Q2
väliさんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
部屋の片隅に置いているイギリスの古い椅子です。
ここに座って繕いをしたりお茶の時間を楽しんでいます。
(椅子の上で座っているくまさんは次回繕いをする予定です。
骨董市の隅っこの方でそっとこちらを伺っていたので、レスキューしてきました。)

沢山の人が代わる代わる座ってきただろうその椅子は、木の質感や座り心地が良く、身体が守られている様な優しさも感じるいい椅子です。

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Q3
väliさんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
生活の中に工藝品がそこかしこにあって、どれも大切に愛用しているからどれを紹介するべきかと悩みましたが、今回ご紹介するのは、毎日何度となく愛用している木製のカトラリーです。

自称スプーンコレクターで、様々な素材、形のスプーンを所持しています。
きっかけはフランスに行った時、道具の種類の多さに圧倒され、カトラリーだけでも用途が分かれていて面白いなと思って集め始めました。
木製のカトラリーを作っている人はたくさんいるけど、この方は他の人とは違う何かがあります。
この何かは私の感覚だから言葉に置き換えることは難しいけど、でもすごくいい仕事をしています。

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糸を編むことで装身具を生み出すväliさんですが、骨董の目が効き、金継ぎや繕いなど細やかな手仕事も深く探求と実践を続ける方でもあります。
幅広いようでいて、関心を寄せて手を動かすことは一貫しているväliさんには、「väli」というブランドを超えて、水野久美子さんとしての制作発表をしてほしいなぁと思ってきました。

とはいえ、途方もなく細かな手しごとゆえ、今回その全容を表現していただくことは叶いませんでしたが、
ほんの兆しでも感じていただけるような展示にしていただけるかと思います。

väliさんの出展ブースは、ニッケ鎮守の杜、galleryらふとの左側(おりひめ神社に向かって)。
作家ページはこちらになります。
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糸花生活研究所(木工・織・彫り絵)

「工房からの風」では、出展後二年間は応募をいただけない仕組みとしていました。
出展作家が固定せずに、いつも新鮮に門戸を開いていたいということなどが主な理由です。

けれど、2020年、2021年はコロナ禍の中、通常開催ができませんでした。
そのため、変則的に2020年、2021年の限定的な開催年に出展された方は、今年も応募ができることといたしました。
そのような中、昨年に引き続き出展されるのが、ご夫婦でひとつの世界観の制作を繰り広げる糸花生活研究所さんです。

Q1
糸花生活研究所さんは、工房からの風に、どのような作品を出品されますか?

A1
木工のカテゴリーでは、身近な植物をモチーフにした木の器やカトラリーを出品いたします。
木工部屋と絵付け机を行ったり来たりしながら生まれる食器は、
挽いて生まれる木目の表情や形と、焼きながら描く絵柄のバランスをとりながら、制作しています。

植物を育てたり飾ったりすることが大好きなのですが、
使ってくださる方の日常に、ささやかながら花を添えられるような存在になれたらと願って作っています。

織りのカテゴリーでは、日常の景色を描くように織った手織りの小さな作品を出品いたします。
縫い取り織りという技法で絵柄を織り出す細幅の織物は、手製のリボン織り機で織っています。
額装した背景の織物は、まだ試作中の手製の高機の調整を重ねながら、日々出会う空や景色の色合いを織っています。
道具も技法もオリジナルで探りながら進めている作品ですが、ご覧くださる方の心の中の景色と、少しでも響き合うことができたら嬉しいです。

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Q2
糸花生活研究所さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
自宅兼アトリエのリビングです。
写真は、毎月開いている小さな手織り教室のときのレイアウトです。
普段は、1歳の息子と8歳の娘と一緒に、賑やかに過ごしながら制作している場でもあります。
暮らしと仕事が繋がる私たちの、真ん中にある場所です。

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Q3
糸花生活研究所さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
娘が幼かった頃にお店で出会って購入した、手回しのミシンです。
使うたびに、眺めるたびに、機械というのを忘れるくらい、細部まで美しい工藝品だと感じています。
カラカラカタカタ…という心地良い静かな音で縫えるので、赤ちゃんが寝ている側で手を動かす時間に使用してきました。
娘がミシンに興味を持ってからは、お人形の服を一緒に縫うときに使っていました。
最近は出番が少なくなっていますが、ずっと大切にしたい工藝品のひとつです。

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糸花生活研究所さんのお仕事、その想いについては、20回展アニバーサリー特設サイトで取材頁を掲載いたしました。
こちらもぜひご覧ください。
とても素敵な工房ですよ。
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糸花生活研究所さんの出展ブースは、ニッケ鎮守の杜、galleryらふとと花壇の間です。
おふたりの雰囲気とぴったりの秋の草花揺れる空間です。

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Takahashi Naomi(装身具)

Q1
2回目の出展となるTakahashi Naomiさん。
今回の「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
金属のワイヤーをかぎ針で編んだアクセサリーを出品します。
繊細で美しく、金属なので柔らかく優しい印象を与えてくれます。

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Q2
Takahashi Naomiさんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
作業場の天井に真鍮や銅を編んで作った立体のモチーフをぶら下げています。
部屋の一角を作業場にしているのでオンオフの切り替えができるように”タカハシナオミワールド”に仕立てました。
疲れた時などに見上げて、助けてもらっています。

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Q3
Takahashi Naomiさんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
小鹿田焼の器です。
自分の作風とも通じるものがあります。
自分から求めて買いに行ったりはしないのですが、出会ったら一つか二つ買って少しずつ集めています。

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金属のワイヤーをかぎ針で編むという細やかな手仕事をすっきりとデザインした新鮮な作品群。
小鹿田焼の器と通じる・・と伺って、一瞬おや?と思いましたが、なるほど!と合点がいきました。
モダンな表現の中に芯のようにあるもの。
ニッケ鎮守の杜、入って右側のブースでぜひご覧いただければと思います。

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per.(装身具)

Q1
2018年に出展くださったper.さん。(ピーイーアール)
今回の「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
メインアイテムであるブローチ作品を中心に、時折限定的に展開しているイヤリングやピアスなどの作品も一部ご用意し、今作・新作おり混ぜた展示を思考しています。

彫金技法をベースに、独特の佇まいながらも工藝品のような造形美と機能性にこだわりながら、一点ずつ手作業で制作しています。

老若男女問わず、誰のそばにもそっと寄り添えるようなジュエリー作品を、ぜひ直接ご覧頂きたいです。

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Q2
per.さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
制作で使うものはどれも重要ですが、なかでも「すり板」は思い入れが強いです。
すり板とは、材料を糸のこで切る、ヤスリをかけるなど、様々な工程の支えや台として用いる彫金には欠かせない道具。
基本的な作業の大半をこの板の上で行います。

こちらは per. として活動し始めたときから約6年程使用しているもので、作品の形状に応じて当てる箇所を加工したり、自然に削れたりして、徐々に馴染んできました。
じっくり眺めてみると、歩んできた過程や作品の変化などが垣間見え、これまでの悲喜交交が詰まっているように感じます。
今後も大事に扱いながら、制作活動の記憶を一緒に重ねていきたいと思います。

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Q3
per.さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
金属作家 岩江圭祐さんの「SUSAB/game」を挙げさせて頂きます。
多角的なアプローチにより、美しく独創的な作品を制作されていらっしゃいますが、特に「SUSAB」シリーズはユニークです。
一見すると金属の塊のそれらは、五感を慰める遊具としての用途を備えています。
握って質感を確かめたり、佇まいをじっと眺めてみたり…
なんでもないようなこの行為が、不思議と癒しや安心感を与えます。

私の所有している「SUSAB/game」は3種のテーブルゲームがモチーフ。
素材感や作用は変わらずに、造形が具象化することで、それぞれの特徴的な所作の心地良さも楽しめます。

岩江さんの “物と人の関係性” への独自の視点。その魅力をさらに身近なものとして落とし込まれた「SUSAB/game」は、まさしく工藝的であり、秀逸だと強く感じます。
手の中で遊ぶたびに、多くの気づきと刺激を頂ける、私の大切な一品です。

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4年ぶりにお会いしたper.さんは、作品がふくふくと広がり、深まり、
作家として豊かな4年間を過ごされたことを感じさせてくれるお仕事ぶりでした。

「工房からの風」当日には、その全容が並べられますね。
作品を巡ってのお話とともに、楽しむ方々多いのではないでしょうか。

per.さんのブースは、コルトン広場、スペイン階段前。

作家ページはこちらです。

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POTTERY STUDIO K(陶芸)

Q1
コロナ禍の前年、2019年に出展くださったPOTTERY STUDIO Kさん。
今回の「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
陶の装身具と壁掛けを出品させていただきます。
装身具はピアス・イヤリング・ポニーフック・帯留め・カフスボタン。更に、新作のバングルや指輪・イヤカフをお持ちします。
壁掛けは鳥や木・花を中心とし、これからの季節のツリーや星などもお持ちします。

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Q2
POTTERY STUDIO Kさんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
春に長野県須坂市から長野市にアトリエを移転しました。
長野市に移転した事で、作業スペースとしては縮小しましたが、団地の一室をリノベーションし、自らも手を加えて新たな場所を作り始めました。
写真は荷物が入る前のアトリエです。
この真っ新な空間と気持ちを大切に制作をしていこうと思い、この写真を選びました。

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Q3
POTTERY STUDIO Kさんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
伊東正明さんの灰釉のどんぶりです。
使い勝手が良く、毎日の食卓に必ず出てくる器。
1人の時は丼ものに使い、子ども達がいる時はサラダや和え物を入れて。
優しい色と形に癒され、大好きな器です。

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細やかな陶芸作品を制作されるPOTTERY STUDIO Kさん。
小宇宙が詰まったテントブースは、コルトン広場、スペイン階段前。

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古木 裕子さん(布バッグ)

Q1
2014年から8年ぶりに出展くださる古木裕子さん。
今年の「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
綿や麻、ウールなどの布と革で仕立てたバッグを出品いたします。
肩や手に提げたときにしっくりと身体に馴染み、その姿がかっこよく、時にエレガントにみえる、デザインやサイズ感を大切に、素材そのままの素朴な風合いと染色した布の色を組み合わせ、仕立てています。

使い勝手が良い内ポケットやバッグの持ちやすさなど、頼りがいのあるバッグであり、手にしたときに、気持ちがフワッと前向きになるようなバッグであれば良いなと思います。

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Q2
古木裕子さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
特に大切にしている場所は、ミシンまわりです。
ミシンで縫い上げていく前に、型紙を布に配置し、しろもで仕上がり位置をつけ、裁断するという下準備があり、その工程が終わって、やっとミシン。
心持ちはいざミシンへ!!という感じ。
なので、ミシンまわりにはすぐに手に取れるように、目打ちや糸切りばさみ、試し縫い用のハギレや制作中の作品に使用する糸をスタンバイ。

実際に縫ってみて、布と糸の色の組み合わせを変えることもあるので、色とりどりの糸を収納する棚もミシンの近くに置いています。
布と糸の色の組み合わせで、仕上がりの印象がだいぶ違うので、糸選びもとても重要です。

大切な相棒であるミシンのまわりに、私のバッグ制作にかかせない大切な道具がギュッと収納されています。

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Q3
古木裕子さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
サワグルミの樹皮で編みあげた手提げのかご。

福島県奥会津地方で制作されたもので、クルミの樹皮の素朴な風合いがとても好きで、夏はもちろん、内布を自作して秋冬も愛用しています。
ひと目ひと目丁寧に、丈夫なかごになるように組み上げている、力強くてうつくしいバッグ。
私が目指したいと思う手仕事です。

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古木さんのお仕事もこの8年の間に熟されて、よりしっかりとした形に進化されていますね。
ぜひお手に取ってぴったりと馴染むバッグとの出会いを得ていただければと思います。

古木裕子さんの出展場所は、コルトン広場、モニュメント周りです。
作家ページはこちらになります。
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橋本 瞳さん(金属)

Q1
2017年に出展くださった橋本瞳さん。
今年の「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
今回は装身具に加えモビールも出品する予定です。
装身具は、長く行っている植物をモチーフにしたもの、天然石の石留めを施した一点物のブローチ、作品に合わせてフレームを制作したブローチ、鉱物のような表情をした装身具などをお持ちします。
植物以外の作品はその時その時で仕上げで出てくる色が異なり、同じ色が再現出来ません。
是非自分の一点を探して頂きたいと思います。

今回の出展では空間に作品達を凛と飾りたいというテーマがあります。
野外展は天気の影響もあるのでどこまで想像した空間になるのかわかりませんが、その作品をしっかりとその空間に存在させる、それがあることで空間が少し変化するような空気感のあるものを飾りたいと思っています。
きっとそういった作品達は選んで頂いた皆様のところでも日常を少しでも心地良いものにしてくれるのではないかと思っています。

1植物装身具

3フレーム装身具

2brooch石留

Q2
橋本瞳さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
いつも使っている道具達の一部を紹介します。
学生の頃から使っている自分で制作した蝋切り用の道具、スパチュラ、そして彫刻刀などです。

彫刻刀は良いものでなく、小学生の図工の授業で買った彫刻刀も含まれています。
石膏や蝋をそれらで加工や修正します。
正確に作るというより周りの現象に合わせて形を修正します。
彫刻刀は錆びたりベトベトになったりするのでこれぐらいが身の丈にあっていて良いと思っています。

スパチュラはワックスを原型で作る方は必需品だと思います。
ちょっと皆さんと違った使い方をしている気もしますが、これらは制作中の必須アイテムで、手に馴染んだ道具達です。

道具

Q3
橋本瞳さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
ご紹介したいのは磁器作家の櫻木綾子さんの作品です。
櫻木さんとは数年前に二人展をさせていただきました。
その少し前から櫻木さんの周囲の空気を纏うような作品がとても気になっていまして、二人展の相手を探していたところ、快くお受けいただきました。

写真の作品は普段、作業場に置いてあります。
愛用しているリングなどを作業中に置いておきます。
制作する過程でその表情や変化を繊細に感じ、受け入れたり離したりするであろう櫻木さんの作風は自分に通ずるところが大いにあり、とても刺激を受けます。

そして細かな表情や表現される色、とてもシンプルなのに包むような形が、側にあることで不思議と気持ちを落ち着いかせるとともに背中を押してくれるような気が勝手にしています。

櫻木さん作品

橋本さんが大切にされている作品を語ってくださるフレーズに、橋本さんの制作への想いも垣間見られますね。
どのようなものを大切にされているか、皆さんのストーリーがとても豊かです。

橋本瞳さんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、入って左側、銀座アスターを背中にしたエリア。
十代田さんの隣です。
お天気に恵まれ、モビールが映えるといいですね!

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YUSHI SOSHIRODA (革)

Q1
2018年に出展くださったYUSHI SOSHIRODA さん。
今年の「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
4年前の初出展の時にはなかったバックのシリーズをはじめ、
原点でもある動物シリーズやお財布、アクセサリーなどを出品予定です。
どの作品も共通して年齢や性別を問わずお使い頂ける物作りを心掛けています。

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Q2
YUSHI SOSHIRODAさんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
針では大きさに限界があるので細かい部分が縫いにくく、穴を最小限に抑えて革への負担を減らす為、
僕の作品は針を一切使わずに、糸を熱して1cm程度の小さな針のような糸先を作って制作しています。

そしてドイツでレザークラフトを始めた時に最初に購入した道具が千枚通し(目打ち)です。
日本ではあまり見かけない形ですが、手の中にすっぽり収まって力が入りやすく、1番の相棒です。

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Q3
YUSHI SOSHIRODAさんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
竹の網代編みの小物入れです。(姉作)
通気性が良くサイズがピアスの在庫入れとしてぴったりだったので愛用しています。
ここに入るだけの量を目安に毎回作るようにしており、
これを使い出してから在庫を出す時が少し楽しくなりました。
いつか革と竹を組み合わせた作品が作れたらと構想しています。

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4年の間に新たな展開へと進まれて、その作品群を拝見するのがとても楽しみです。
そして、道具にまつわるお話も興味深いですね。
竹とコラボの夢もいつか・・・。

YUSHI SOSHIRODAさんの出展場所は、ニッケ鎮守の杜入って左側、
銀座アスターを背中にしたエリアです。
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tronco(革)

Q1
2018年に出展くださったtroncoさん。
今年の「工房からの風」には、どのような作品を出品されますか?

A1
革でできる日常に寄り添う道具を制作したいと考えています。

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一本に繋いだ革ひもを立体に編み上げた革のかごバッグ。

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仕事や趣味の愛用品を収納できるお道具入れ。
栗や泥、桜で染めた帆布のお道具入れもあります。

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刷毛で染めて色を施したルームシューズ。
くしゃっとしたシワをつけることで、履き始めから足に馴染みます。
その他革小物も展示します。

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troncoさんが特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

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靴の学校を卒業してから購入したミシンは10年の付き合いになり、一番活躍してくれる道具です。
わたしが焦っているときやイライラしているときに糸が絡まったり、動きが悪くなったり。
心穏やかに向き合うようにしています。

HyperFocal: 0

Q3
troncoさんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
篠竹の市場かご
普段は家で収納用に使用していますが、ワークショップのときや展示のときの荷物入れにも使用しています。
今回展示をするかごバッグを作るきっかけになったかごの1つです。
竹は使っていくと経年変化で色が変わっていくので、革と共通点があります。
これからの変化も楽しみに使っていきたいです。

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tronco、立花怜己さんは建築を学ばれてものづくりの道に進まれた方。
手仕事ならではの温度を感じる作品ですが、すっきりと構築されたデザインが魅力的です。
革と帆布を使った幅広い作品アイテムながら、デザインの目が一本きりっと通っているところも、ぜひご覧ください。

troncoさんがの出展場所は、ニッケ鎮守の杜、おりひめ神社の脇。
aeiさんの隣です。
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青人窯(陶芸)

Q1
2017年に新潟県から出展くださった青人窯の大山育男さん。
今回の「工房からの風」には、どのような作品を出品くださいますか?

A1

Q1大山育男 粉引き片口

粉引き片口 です。
今回のメインのシリーズになります。
10年前に独立した時は粉引きを中心にしようと思っていましたが、当時は粉引きブームだったので、別シリーズを模索して、補助的に作りながら形と釉薬を修正しながら作り続けていました。
今回、自宅工房が広がって手廻し轆轤(後述)を常用できるようになったので、メインとして挑戦します。

Q1 ブロックプリント 八角皿 大山育男

ブロックプリント 八角皿 です。
こちらは幻に終わった2020年の「工房からの風」でメインにする予定でした。
インド更紗などの古い版木の中から食器に向きそうな版を用いて器に型押ししています。
素朴でエキゾッチクな柄とアンティークな風合いが出ればと思っています。

「産業革命で破壊されたインドの綿産業」がまさにこれらの版木を使った技術なので、近代化への一つのカウンターでもあったクラフトの題材としては、なかなか興味深い素材かも知れません。
いつか布作家さんとコラボするのが夢です。

Q1 灰瑠璃7寸リ皿 大山育男

灰瑠璃釉七寸リム皿です。
原色の鮮やかな色を狙うのなら灰よりも石灰石などが良いのですが、あえて鉄分の多い松灰を混ぜることで色がくすんで独特の質感になります。
形がシンプルなだけに釉薬の質感にはこだわりたいところです。

この他にも柿灰や火山灰などの原料を用いた釉薬のシリーズが青人窯の定番です。
2017年の「工房からの風」でほぼ現在の形にまとまりました。
5年ぶりに新シリーズと共に参加できるのが楽しみです。

Q2
青人窯さんの工房の中で、特に大切にしている場所、あるいは部分、印象的な場所、空間、または、道具の写真を1カット撮ってください。
そして、その説明をお願いします。

A2
手廻し轆轤です。

開業以来、コツコツと工房と住居スペースを改造していますが、今年からようやく手廻し轆轤と赤土専用スペースを確保しました。
天板は水に強い槐(えんじゅ)です。手触りが優しくて、木目もお気に入りです。
轆轤を回すためのステッキは地元新潟の洋梨ル・レクチェの枝です。
(この洋梨を薪ストーブで燃やした灰を何年分か取っており、釉薬にする予定です。)

手廻し轆轤など惰性で回る轆轤は回転スピードが自然と衰えていくので和食器などでニュアンスを付けるのに向いています。
しかし、すぐに止まってしまうので最短の手数で挽き切らねばならず難易度高く、その分面白いです。

Q2 手廻し轆轤 大山育男

Q3
青人窯さんが自作以外で、大切にされている、あるいは、愛用されている工藝品をひとつ教えてください。

A3
宋代(?)の吉州窯天目碗です。
天目と言えば建窯の方が有名ですが、吉州窯のこの開いた形がとてもきれいだな、と思い15年ほど前に購入しました。
しばらくは一生懸命写しを作りました。
中国の陶磁器は宋の時代に「色と形」という点では一つの頂点を迎えたという説があります。
高台が極端に小さいので、この形のままで普段使いできないのですが学ぶところの多い形です。
いつか磁器か天目に挑戦するときはアレンジしてみたいと思っています。

Q3 吉州窯天目

ひとつひとつの取り組み、展開を丁寧にかたちにしていく青人窯さんのお仕事。
5年前から着実に広がった作品群との出会いがとても楽しみです。

青人窯さんの出展ブースは、今年から新たに加わったスペース。
コルトン広場スペイン階段前から本八幡側の空間です。
本八幡駅方面から会場に来られたら、真っ先に見えるのが青人窯さんのテントです。
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