2015年4月の記事一覧

「director’s voice」New

director's voice | コメントする

白い時間

満開の桜のもとで、今年初めての展示がgalleryらふとで始まります。

クロヌマタカトシさんの木彫展
白い時間
2012年の「工房からの風」に出展くださった作家の方です。
(おりひめ神社の奥で大きなユニコーンを印象的に展示されていましたね)

新たに塗り清めた白い壁の空間に、作品がひとつひとつ所を得て置かれていきました。

花を摘む女性
手紙を読む女性
腕を組む女性
読書をする女性

:::

何かに夢中になっている姿、自己没入の姿を、白い時間ととらえて、
「白へ向かう」
という作品群もあります。

一点、神々しいようなおおきな作品も

:::

僧侶、巨岩と名付けられた作品も白い時間の中に

:::

今展に向かい、何かに没入している人物の白い時間を追い続けたクロヌマさん。
冴え返りの日々の中、このような便りが届きました。

「・・・
最近は小屋を彫っています。
小屋は以前から心引かれるモチーフでもあり
簡素で必要最小限な佇まいには一種の清貧さのようなものを感じていました。
(建築を学んでいたころから小屋好きでした)
今回、人物像ばかりを追っていく中で
何か個人的に息の詰まるようなところ、
ぐるぐると堂々巡りしてしまうようなところに出くわしてしまい
違った側面から白い時間をとらえてみようと試みています。

ですので展示風景は人物と小屋(家)になりそうです。・・・」
と。

:::

今回、デンマークの画家ヴィルヘルム・ハマスホイへの
オマージュも心に置きながら企画を進めてきました。

案内状の写真は、ハマスホイが好んで描いた静謐な空間を探してデンマークで撮影してきました。

冬の光の中で、どの角度から撮影しても美しさと新鮮に出会いました。

今展でも、ぜひ全方位から作品と出会っていただきたいと思っています。
貴重な画集もご覧いただこうと揃えています。

クロヌマさんは、会期中4日の土曜日のみ不在ですが、ほか4日間はギャラリーにいらっしゃいます。
開館時間は11時から18時。
桜のはなびら流れるギャラリーでお待ちしています。

クロヌマタカトシさんのホームページはこちらです → 

director's voice | コメントする

リレー

「・・・ものをつくる人、伝える人、使う人、
いろんな考え、スタンス、ペースの人達がいて、
それぞれに、がんばる時期、お休みする時期もあって、好みの違いもあるけれど、
リレーするように、どんな形ででも、「工芸」を支えて繋いでいけたらいいなと思います。
自分もその一端を担う者であると自覚しつつ・・・」

季刊「住む」や、このブログを読まれた方から、いろいろ感想をいただいています。
上の文章は、ある作家の方から。

リレーするように、どんな形ででも、「工芸」を支えて繋いでいけたらいいなと思います。

というところに、とても共感します。
「工芸」を大切に思っている人たちが批判ではなく批評し合う中で
(日本人はこれが苦手ですね、かくいう、私もですが努力しています!)
共感する部分をゆたかに膨らませていけるといいなぁと思います。

:::

さて、前回のクラフトフェアじゃないの?
に関連して、ちょっとプチ歴史を振り返ってみます。
この件に興味関心がある方には、基礎知識?として知っていただけたら幸いに思います。

1988年 ニッケコルトンプラザ内にギャラリーショップ「ニッケこるとん銀花」がオープン
      年に25回ほどの企画展と常設展示販売コーナーを設けた店舗が誕生
・・・
1996年 「工房からの風」 新鮮 30代 作り手たち コルトンホール 企画展
1997年 「工房からの風」 五行五感展         コルトンホール 企画展
1998年 「工房からの風」 季刊銀花とタイアップ   コルトンホール 公募展
1999年 「工房からの風」 作家たちの海外      コルトンホール 企画展

「工房からの風」は、今でこそ野外での「クラフトフェアカテゴリー」で認識されているかと思いますが、
立ち上げは、館内での展覧会でした。
「住む」文中にあるように、赤木さんが参加くださったのは1996年と1997年。
審査員をお願いして固辞されたのは1998年の「工房からの風」のことです。
この企画の根っこの思いは「新しい作家が世に出ていく場面を作る」ということ。
現在の原型です。

:::

2000年から準備をして、
2001年に今の形の野外展「工房からの風 craft in action」が始まりました。
当初は隔年、2005年からは毎年開催となって、今年で13回目となります。

途中、2004年に館内のギャラリーショップを閉じて、
「工房からの風」の会場となるニッケ鎮守の杜の中に、
現在もある「galleryらふと」を移しました。
庭の改修も2005年に行って、「工房からの風」と連動して
庭作りが始まりました。

:::

「住む」前号の記載の中で、「工房からの風」は、
「クラフトフェアまつもと」を模範にして始まった、
とありましたが、これは違います。
2001年からの野外展を立ち上げるにあたって、
三谷龍二さんには、アドバイスをいただきましたが、
それは「クラフトフェアまつもと」の運営からアドバイスをいただいたのではなく、
三谷さんという作家個人のご意見を伺ったのでした。

三谷さんからは、キュレーションをきちんとするといいね、
テントなど全体の美観を考えて展示が美しくできるようになるといいね、
作品がきちんと伝わるような会になるといいね、
といった現在も大切にしていることの基本をおっしゃっていただきました。
(ありがとうございます!)

そして、そもそも、模範とした成り立ちが違っています。
「クラフトフェアまつもと」は、アメリカでクラフトマン自身が
野外で気持ちよく作品を展示販売するスタイルから影響を受けた、
と伺っていますが、
「工房からの風」は、イギリス、オックスフォードで行われている
Art in actionという研究者たちが企画開催している野外展を
成り立ちのきっかけとしています。
作り手が立ちあげた企画と、作り手でも使い手でもない研究者(紹介者)が
立ち上げた企画という決定的な違いがそこにはあると思います。
(Art in actionとの出会いについては、
拙著「手しごとを結ぶ庭」に詳しく書いています)

もちろん、どちらが良くてどちらが良くない、なんていうことではなく、「違う」ということです。

2001年から始まった現在のスタイルの「工房からの風」は、
2006年くらいから来場者の数が顕著に増えて、その中身も若い方々が増えてきました。
応募数もこの辺から急増してきました。
2009年くらいからでしょうか、
各地でクラフトフェアが増えてきたように思います。
地方の自治体の方や企画をする方から、アドバイスを求められる機会も生まれました。
そのような中で、新たな「違和感」が生まれてきたのでした。
何のために行うのか?
その根っこが違うのに、同じようなことが行われようとする違和感、
とでも言ったらよいでしょうか。

と、今日も長くなりました。
続きは、また。

director's voice | コメントする

クラフトフェアじゃないの?

のっけから「私、クラフトフェアをやっているという意識がないんです」

赤木さんの文章はこのように始まります。
えっ、「工房からの風」って、クラフトフェアじゃないの?
多くの読者はそう思われますよね。

この書き方が正確だと感じいったのは、「意識がない」
と書いてくださったことでした。

私、クラフトフェアの定義が、そもそもわかりません。
そして、あらためて問われれば、多くの方がそうではないでしょうか。

-野外にクラフトを作る人が集まってテントで販売する-

という広義であれば、「工房からの風」が、
クラフトフェアだと呼ばれても別に構わないと思っています。
但し、自らはクラフトフェアではなく、野外展と思っています。
年月を経て、そんな風に思うようになってきたのです。

:::

と、書き出したのですが、昨日、発売日早々というのに、
既に「住む」を読まれた方々がやってきて、
このことについての会話を何人もの人と交わしました。
その中で、あらためて確信したことを、先に書こうと思います。
このdirector’s voiceで、出展作家への質問コーナーを毎年やっておりますが、
それにならって書いてみますね。

Q1
「工房からの風」の原点、やってきたことって何ですか?

A
新鮮な作家が世に出ていく、豊かな場面を作りたい、ということですね。

Q2
「工房からの風」がこれから新たにやっていきたいことって何ですか?

A
世に出た作家が、その後によい仕事(よき作品作り)を進めるための、
時間や空間をもっと作っていきたい。

です。

Q1に関しては、現在の野外展が始まって15年目の今、
その願いが少しは叶ってきたかもしれません。
可能性に満ちた力のある作家から応募をいただくようになりましたし、
全国からギャラリーショップ関係者や
バイヤーの方々が多数来場されるようになりました。
出展を機に、スタートを切る作家が毎年輩出しているように思います。

そして、それを支えてくださっているのが、一般のお客様でもあるのですね。
遡ればこの地で工芸ギャラリーショップ
(「ニッケこるとん銀花」という名前で1988年にオープン)
を立ち上げてから27年が経ちましたから、
ニッケコルトンプラザをコアとした周辺のお客様に
じんわり工芸、クラフトが浸透しているのを感じています。
実際、出展作家の方から後日感想を伺うと、
熱心に見てくださる方に、地元の方が多い、とお聞きします。
また、広域からも、毎回「工房からの風」を楽しみに
欠かさず来場くださるお客様も多く、その方々との会話にも
とても励まされていると。

作家を作家たらしめるものは、一部のキーパーソンだけではなくて、
こうした層の厚い使い手の方々あってこそなのですね。
私も時を重ねてそう思うようになりました。

そして、Q2。
これがここ数年来、強く願いはじめてきたことです。
「工房からの風」の特長のひとつが、出展作家同士の交流の濃さです。
人数が50人規模ということや、開催前に交流の機会を何度も設けることなどから、
「同じ釜の飯を食う」というような関係になる方々がいます。
同期、とか、一期上とか、二期下とか、まるで学校のような言われ方をして驚くことも。
この密な関係性の中から、教え合う、影響し合う、ということが生まれてきました。
制作の師や先輩、同輩が以前より希薄になった今日、
佳き影響を与えあう人的つながりは、とても大切だと思います。

そして、その次。
作品そのものが、進化成長していくための場面を創出したいと願っています。
昨年8月に行った日本橋三越本店での二週間の催事は、
そのひとつのさきがけにもなりました。
(今年も同時期に行います)
このような機会を生かして、
赤木さんが書かれていた、
クラフトフェアが作品の低俗化を招いたのでは、
ということと逆の方向へ向かっていきたいと思っています。

と、すっかり長くなりましたね。
今日はこの辺で切り上げますね。

director's voice | コメントする

クラフトフェアはいらない?

季刊「住む」53号が21日に発行となります。
その中で連載されている塗師、赤木明登さんによる「名前のない道」。
ここ2号は「クラフトフェアはいらない?」というテーマで綴られてきました。
一回目は桃居の広瀬さん、二回目はうつわノートの松本さん、
今号では稲垣とのインタビューを基に執筆されました。

「クラフトフェアはいらない?」
というテーマが印象的なので、このことに感想がひっぱられてしまうかもしれませんが、
それは二次的、三次的なことであって、
工芸そのもののこと、それと関わる人や仕組みがどうあるかについて、
真剣に考え、人と語らい、思考を熟し、発言されているのが
今回の連載と私は受け取っています。

文中「生活工芸」という単語も出てきますが、
生活工芸の是非や認めるか認めないかの
旗色を明らかにすることも意図ではないと思います。
ある共通のジャンルの世界を愛し、大切に思う者たちが、
その世界について真剣に考え、意見をし、よりよい世界としてふくらませていきたい、
ということだと思っています。
(私なりの「生活工芸」という言葉の印象は、あらためて記したいと思います)

よりよい世界、などと書いてしまうと優等生みたいですね。
でも、私自身の身の置き所は、もっと生々しい現場です。
思考を巡らすことはとても大切な活動だと思い、集中することに憧れもありますが、
私はといえば経済社会の只中におりますし、理想論の場に軸足をおいてはいません。
机上論ではなく、常に現場で生身の人間(作家然り、お客様然り)を相手に、
生身のアクションを受け止めながら、ナケナシの頭で物事を考えてきました。

+++

今回の赤木さんのインタビューが文章化されるとき、正直に言えば、不安がありました。
発言というのは話の前後の流れで出てしまうこともあるし、
それをどう掬い上げるかで、如何ようにも文章は作れてしまいます。
私自身の話が拙かったせいで、思いや事実と異なる方向に書かれてしまったらどうしよう、
そんな恐れも抱いていました。

けれど、赤木さんから確認のためにいただいた校正文を読んだとき、
そんな私の幼い心配はまったく不要だったのだと悟りました。
もちろん、自分の文章ではありませんから、多少のニュアンスの違いがないとは言えません。
けれど、大きな流れで、思いを正確にくみ取ってくださって、
これからの光に向かって書かれてある文章でした。
(さすが赤木さん!すばらしい!と思ったのでした)

むしろ、心配になったのは「工房からの風」について、よく書かれ過ぎていないか?
と読者に思われることでした。
過去に「工房からの風」に出展された方、来場された方には、
その実感と、書かれてある文章とに違和感があるのではないかという危惧でした。

しかし、その違和感は正しいと思います。
たとえば、2001年に感じた工房からの風や、2008年に感じた工房からの風では、
今私が感じ、向かおうとしている工房からの風とは違っていますから。
赤木さんの文章は、今の私とのインタビューを基に書かれたものですから。

+++

ある意味、違和感が「工房からの風」を育ててくれた。
といえるかもしれません。

「工房からの風」の姿への想いや理想がある。
その想いや理想も、実行してみれば、思っていた姿とどこか違っている。
その違和感はなぜだろう?
それについて思考しながら、次の姿を思い描く。

毎回これを繰り返しながら、彫琢を重ねるように企画を進めてきたような気がします。
「出来事」に対する想いや理想は、時代や社会背景と添いながらのものだから、
絶対的というよりも相対的な部分もありますね。
どの会も企画者の想いは大切なことだと思いますし、
同時にひとりよがりでは形を成さないものでもあります。

+++

赤木さんの今回の文章を通して、思考を巡らしてみたいと思います。
「工房からの風」について書かれていますから、このブログの場から、
しばらくこのことについて綴ってみたいと思います。

次回は、
『のっけから「私、クラフトフェアをやっているという意識がないんです」』
という冒頭の文章に関連して書きますね。

director's voice | コメントする

風婚

2015年「工房からの風」へたくさんのご応募をありがとうございます。
鋭意選考を進めまして、土曜日の夜に結果通知を投函予定です。
週明けにはお手元に郵便局からの通知が届くかと思いますが、
もし19日木曜日までにお受け取りになれていない場合は、
事務局までご一報くださいませ。
047-370-2244 (10時~18時)

:::

さて、先日結婚のお祝いパーティーがありました。
2012年の工房からの風に出展された陶芸作家のお二人が、
この場での出会いがきっかけで、ご結婚されたのです。

おりひめ神社のご利益でしょうか。
おふたりの門出を祝おうと、近隣の同期出展が作家中心となって
コルトンプラザのレストランで、お祝いの席が設られました。

ウエルカムボードの似顔絵や、新郎新婦席の「壽」の書。
ギターやウクレレでのお祝い演奏や、ユーモアたっぷりで心のこもったスピーチ、
手作りの(作家の方々なので素晴らしく精緻)贈り物。
私たちも、お庭のクリスマスローズや月桂樹などでブーケやブートニアを。

工房からの風での出会いが、幾重にも広がり、深まって、
ものをつくる人生が豊かになっていく。
そのようなことと、ささやかでも関わることできているとしたら、
こんなにうれしく幸せなことはありません。
集まった作家たち、この日集まれなかったけれど気持ちを寄せられた作家たち。
これからも切磋琢磨して、よき交流を続けていかれますね。

画像はおふたりに贈った「寄せ書き」。
出展時の思い出の手ぬぐい(ピンクでした!)に、
お祝いのメッセージを出席者で書いてお渡ししました。
こんな風に、風婚!のお祝い、また出来るでしょうか。

director's voice | コメントする

応募3月5日必着です

ただ今、応募用紙受付中です。
毎年、出だしはゆっくりで、最終日に雪崩れ込む?感じですが、
昨年は本当に大雪の日と重なって、最終日に届かなかった便が何通もありました。
ぜひ、お早目のご応募をお待ちしています。

届いた郵便を拝見しながら、魅力的なご応募ももちろんありますが、
それが50ブースあるかと問われれば、まだまだ余裕があります。
2015年の工房からの風、豊かな風が渡るかは、
出展作家の魅力に大きくかかっています。

いたずらに応募数を増やすことが目的ではありませんので
煽るようなつもりはありませんが、
質の、志の、高いご応募をいただくことを企画者として心より願っています。

また、「工房からの風」の趣旨に賛同くださり、この展覧会を支持してくださる方々、
お知り合いに適した方がいらっしゃいましたら、ぜひ応募をおすすめください。

会場となる「ニッケ鎮守の杜」では、梅が満開。
ここから豊かな出会いの場を作りたいと思います。

director's voice | コメントする

応募が始まりました。

今年度の応募が始まりました!

本日2月20日から3月5日必着で、ご応募をお待ちしています。

web登録フォームも公開しています。

web登録フォームは、当方の事務作業の正確性を高め、潤滑化のためにお願いしています。
応募用紙の送付と、web登録はどちらが先でも結構です。
また、どうしてもweb登録ができない方は、応募用紙の送付だけでも結構です。

応募趣旨をよくお読みいただき、「工房からの風」のことをご理解いただいた上で
ご応募いただけますことを願っております。

また、「工房からの風」が適していると思われる作家をご存知の方がいらっしゃいましたら、
ぜひご案内いただけますと幸いです。

2015年の工房からの風、佳き出会いに恵まれますように。。。

director's voice | コメントする

20日から応募が始まります

いよいよ今年度出展者の応募が20日から始まります。
あと1週間ですね。
応募期間は2/20-3/5必着です。
ぎりぎりでの投函は到着しないこともありますので、
要注意です!
ぜひ、準備万端、早めのご応募をお待ちしています。

ここのところ、いくつかご質問をいただいております。

たとえば
Q
ひとつのテントを二人の作家でシェアして応募したいのですがよいでしょうか?

というお尋ねには、
A
通常の活動をされている形態でのご応募をお願いしております。
今回限定ユニットなどはご遠慮いただいております。

まずは、個々の作家もしくは少人数での工房で
制作されている作品の写真のご用意と、
各記入事項を正確に丁寧にお書きいただきたくお願いいたします。

とお答えしました。

「工房からの風」では、出展者を決めるだけではなく、
その後のやりとりを経て企画をふくらませていきます。
なので、場所貸しのような形式ではなくて、
展覧会の全体構成の中で各作家の展開方法を決めていきます。

:::

今までにお伝えしてきたことと重複してしまいますが、
「工房からの風」では、プロもしくは明確にプロを目指して
満を持して世に出ようという方の出展で構成したいと願っています。

当日までの制作や、当日の濃密さは、
そのような力や意志がある方ではないと、
乗り越えるのが難しいと思っています。
その結果として、新たな扉が開いたり、
豊かなつながりが生まれる可能性を作れるように、
私たちは企画に励みます!

:::

傾向として、陶芸は昨年度は11倍の選考の難しさでした。
50人の出展者のうち多くても
10人未満の選出になるかと思いますので、
今年も狭き門になるかもしれません。

染織は年によってかなり応募数や内容にばらつきがあるように感じています。
さて、今年はどんなご応募をいただけるでしょうか。

木工、ガラスはもっとご応募をいただけるとありがたく思います。

装身具の応募は増えていますが、ただ発表の場として捉えられるのではなく、
「工房からの風」の企画構成と、
作家の制作スタイルが響いているかを
よくご検討いただいて応募くださることを願っています。

その他ジャンル、としている部門は、選考がとても難しいですね。
けれどもこのジャンルが豊かになると、
工房からの風自体がとてもふくよかな風になるように感じています。

昨年もドライフラワーフレーミングのナカヤマサトシさんのように、
展覧会当日の反響も大きく、
その後のお仕事の広がりを得られた方もいらっしゃいます。
「工房からの風」っぽくないから。。などと思いこまず、
趣旨に響いてくださり、今までの出展作家の作品にも感じるところがあるようでしたら、
その他ジャンルからのご応募もぜひ期待しています。

そして最後に
「工房からの風」は、ともに仕事をする場、と考えています。
作品の魅力はなによりですが、
ともに仕事をしたいと思える方が多く出展くださることを希っています。
少なくとも、「このひととは仕事がしたくないなぁ」
と思わずにはいられないご質問や応募形態ではないことを望んでいます。
応募用紙を書くこと自体が、自らのもの作る仕事を整え、
次への進歩へのきっかけになるかもしれません。

佳き出会いにつながるご応募、心よりお待ちしています。

director's voice | コメントする

風と庭

今週は、新年会を兼ねて、ふたつの大きな集まりがありました。

「風人」さんの会と「庭人」さんの会。
ともに当方スタッフ交えて20人での手作り会食の時間でした。

:::

「風人」さんは、「工房からの風」出展経験のある作家の方で、
比較的近く(とはいっても、関東一円)にお住まいで、
全体ミーティングに同席くださったり、
今年度出展者を企画側とは少しちがった立ち位置から支えてくださったり、
当日は朝早くから夜遅くまでサポートしてくださる方々です。

以前は「オブザーバー」とお呼びしていたのですが、
今は「風人」(かぜびと)。
名称が変化したと同時に、やっていただくことも進化していきました。
当日、販売は個々に行いませんが、
ワークショップやデモンストレーション、合同企画の実行や、
空間装飾、その前には、「風の音」という冊子への寄稿など、
出展だけではできないものごとを、
「工房からの風」という時空で繰り広げていただくようになりました。

「工房からの風」は、新人作家の登竜門でもありたいと始まった会ですが、
回を重ねる中で、世に出た作家の方にとっての、その後の進化成長の場にもなりたい、
という願いから、このような展開に育ってきました。

今年度はいつも以上の13人の風人さんが、
今から企画を共に立ち上げ、実行していきます。
出展作家の展示と共に、乞うご期待ください!

(注:風人さんは、選考には立ち会われません。
   念のためお伝えします)

:::

「庭人」(にわびと)さんは、実は「風人」さんより先輩の存在。
2006年から募集をしてきましたので、今は第八期となりました。

「工房からの風」の会場「ニッケ鎮守の杜」の庭の手入れを
春夏秋冬、一年を通じて私たちと一緒に行ってくださるのが庭人さんです。
ガーデナーでイラストレーターの大野八生さんとともに、
植物育成を一緒にしてくださいますが、
実際は所謂華やかに思われるガーデニングというよりは、
真夏の水撒き当番や、秋の落ち葉掻き、神社の玉石揃えなど、
地道な労力のかかる作業を共にしてくださるのです。

一年を通じて、庭人さんの手と心が通ってこそ、
10月の二日間、なんとも心地よい風がそよぐのですね。

(来期の庭人さんの募集は3月以降に行います。
5月1日から1年間。
いろいろこまやかなお願い事はありますが、夏に週1日夕方
4時半から6時までの水撒き当番を引き受けてくださることを前提でお願いしています。
詳しくは、募集期間が近づきましたら、あらためてお知らせしますね)

:::

画像は、りんごケーキ。
風人さんの会では、当方が用意した料理に、
風人さんたちの手作りのとっておきの差し入れも加わって、
テーブルの上がモリモリになっていたのですが、画像はこれだけ!

ちなみに稲垣のミッションは20人分のおでん作りでした。
前日から仕込んで、しみしみの大根や卵、てづくりこんにゃく、その他諸々も20人分。
仕上がった時には、すっかりおでんやのおかみさん気分でした。

そして、庭人さんの会でのミッションはこれまた20人分のグリーンカレー。
隠し味にはお庭のレモングラスや、galleryらふと仕込みのお味噌を入れてみたり。
メインディッシュは、これまたお庭で収穫したサフランで炊いたごはん!
初めて育てたアマランサスやゴマも使ってのおもてなしでした。

すっかりごはんやさんのおかみさん気分を味わった日々でしたが、
風と庭、冬の日に、気持ちも新たに始動しました。

director's voice | コメントする

森林文化アカデミーへ

最後尾、追記しました。

:::

先日、一日非常勤講師として、岐阜に行ってきました。
岐阜県立森林文化アカデミー
「ものづくりと仕組みづくりゼミ」の中で、
1時間半の授業を二コマ受け持たせていただきました。

こちらのゼミの方々は、昨年の「工房からの風」に
授業の一環として来場くださったのでした。

森林文化アカデミーでは、森と木のエンジニア科という大学相当の学びの場と、
森と木のクリエーター科という大学卒業相当以降の学びの場が設けられています。
そのクリエーター科の中の「ものづくり講座」を専攻されている方々に、
卒業生の方々も加わった教室で、今回お話しをさせていただきました。

家具や玩具など作る「木工」から、
継承者が途絶えそうな鵜飼用の竹かごや、和傘のろくろ部の作り手、
郡上踊りの下駄つくりなど、具体的にものづくりを進める方々、
木工を通した「木育」や、地域や人を巻き込んだ仕組みつくりを
研究、実践されている方々。
それぞれ真剣に目指すほどに迷いや悩みはあると思うのですが、
目指すものがあることの眩しさ、尊さをあらためて感じてきました。
ジャンルは違っていても、「工房からの風」の出展作家の方々も
きっとそうですね。

そうそう、私からは、12回の「工房からの風」の流れや、
それ以前からの約30年にわたる、私の関わってきたもの作りの世界の中で感じてきたこと、
そして、今現在の状況、これからの課題について、
質疑応答を交えてお話しさせていただきました。

それにしても、百聞は一見に如かず。
実際に「工房からの風」を見学くださったこと。
そして、私も森林文化アカデミーに伺ったことで、
交わした言葉が、ぐんと深みや重みをまして、
これからの実りにつながっていくような気がします。

「工房からの風」が、さまざまな角度から、人のよき営みと関わっていけたら、
そんなことをあらためて思った岐阜行でした。

(画像は森林文化アカデミーさんより)

:::

追記

岐阜県立森林文化アカデミー × 森林たくみ塾
合同説明会 in 名古屋・東京が開かれます。
東京は
2月1日(日) 13:00〜16:00
オスモ東京ショールーム
160-0023 新宿区西新宿1-20-2 ホウライビル11F
とのことです。
木工を学ぼうとされる方は、説明会に出向かれてはいかがでしょうか。

また、当日のレポートをブログでご紹介くださいました。
→