2014年10月の記事一覧

「出展作家紹介/工房からの風」New

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松本美弥子さん 陶芸 愛知

布、金属、とご紹介しましたので、次は陶芸を。
松本美弥子さん。
クールな印象の磁器ですが、
どこか凛としたふくよかさを湛えた表情が心に残る作品を作られます。

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Q
松本さんは、「工房からの風」に、どのような作品を出品くださいますか?

A
白磁、銀や銅を焼きつけた仕事を中心に、うつわやブローチなどを展示します。
暮らしの道具として、大切な何かを引き立てるような静かなものをつくりたいと思っています。

器は料理を盛るものですが、その存在が、周りの空気をすうっと変えていく静かな力もあります。
松本さんの器や装身具からは、シックでありながら、
内側の輝きをぎゅっと湛えているような美しさを感じるのです。

:::

Q
「工房からの風」の出展が決まってから、ご自身やお仕事などに変化はありましたでしょうか?

A
仕事に限らず、ふだんやり慣れないことに丁寧に向き合うことを意識するようにしていました。
苦手なことが少しづつ減ってきたような気がします。

この画像は、磁器に銀彩のブローチ。
このブローチのように?松本さんはどこかアンニュイ?でオトナの印象でしたが、
今回、ミーティングや、企画出品など、私たちの投げかけに積極的に応じてくださって、
新たな自分の世界を拓いていこう、
と取り組まれていることを感じてきました。

現在の作品の佇まいがすでに松本さんらしさを十分に映しているのですが、
きっと、もっと広やかな地平に向かってお仕事を進めていかれることと思います。
「工房からの風」が、そのちいさなきっかけとなってもらえたら。
そんな風に思っているのです。

:::

Q
好きな言葉、座右の銘、何気なく工房の壁に貼りとめているフレーズなど、
大切にしている言葉を教えてください。

A
人間は誰でも心の底に
しいんと静かな湖を持つべきなのだ

茨木のり子さんの「みずうみ」という詩の一節です。
たまに読みかえしては確認したり共感したり反省したりしています.

松本さんが伝えてくれたこの詩。
ああ、松本さんの作品ととっても呼応しているなぁと、しみじみ思いました。

慎重に一歩一歩進もうとされている松本さんの姿勢には、
心の奥のしいんと静かな湖との引き合いがあるのでしょうか。
大切にしている言葉が、作品の姿に表れている。
そのことに、嬉しい驚きを感じています。

:::

松本美弥子さんの出展場所は、布フェルトのKAWAHAWAさん、
金属装身具のOLD TO NEWさんと並んで、おりひめ神社の脇。
3人のオトナの作品群。
ぜひ、行ったり来たりしながら、ご堪能くださいね。

松本美弥子さんのホームページはこちらになります → 

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OLD TO NEW 装身具 神奈川

今日はスイスからのKAWAHARAさんの並び、
おりひめ神社の脇の出展者を続けてご紹介いたしましょう。 

OLD TO NEW

京都で錺(かざり)職の工房で働いたのち、
現在は神奈川県で制作されている吉田史さんです。 

:::

Q
「工房からの風」には、どのような作品を出品くださいますか?

A
長く伝わるものや草花などの自然をモチーフに、
主に金と銀の地金に、象牙や角や貝といった
あたたかみのある素材を加えて制作したものを出品致します。 

史さんの作品の源泉には、和の美が湛えられているのですが、
完成された姿には、今の私たちの装いにふさわしい現代性に満ちています。
まさに、 OLD TO NEW、なのですね。 

:::

Q
出展が決まってから、ご自身やお仕事などに変化はありましたでしょうか?

A
はい。
出展予定の作家さんをはじめ、
過去の「工房からの風」に出展された方々の作品を拝見し、

物作りに携わる様々な方とお話できたこと、
ミーティングで企画の方に客観的に見ていただいたこと、
全てが大きな糧となりました。
大きな目標に向かってはやる気持ちと惜しむ気持ちと、
何より楽しみに思う気持ちに突き動かされる、濃い数ヶ月を過ごせています。 

出展が決まってから、何度もお訪ねくださって、
その都度、史さんの真摯なものづくりについて、私も感じることができました。 

オーバーオールに身を包み、瞳をきらきらさせて、とってもキュートな史さんですが、
(いつしか、亜土ちゃんと呼んでおりますが(笑))意外にも小さなお子さんのお母さん。
限られた時間の中で、細やかな作業を深い集中力で行い、
これらの美しい装身具を制作されているのだと思います。

装身具の応募はとても多く、センスの良い方はたくさんいらっしゃるのですが、
技術的に深さをもっている、持とうとしている人を「工房からの風」では、
応援していきたいと思っています。

京都の錺職の工房で培った技術と感性が、
史さんという作家の中でこれからそのように華ひらいていくのでしょう。
とても楽しみに感じています。

:::

Q
好きな言葉、座右の銘、何気なく工房の壁に貼りとめているフレーズなど、
大切にしている言葉を教えてください。 

A
「神は細部に宿る」
という言葉が好きです。

細かい部分を疎かにして美しいものは出来上がらない、
と私はとらえて、隅々まで正直な物作りをしたいと心がけています。 

史さんらしい言葉ですね。

神が宿ると信じて作られた、小さく美しきもの。
会場でぜひゆっくりご覧くださいね。

OLD TO NEWさんの出展場所は、おりひめ神社脇。

ホームページはこちらになります。 → 

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habetrotさん 草木染服 大阪

二人目にご紹介するのは、habetrotさん。
ハベトロット、と読むその名前は、スコットランドに伝わる
糸つむぎの妖精の名からいただいたそうです。

+++

Q
habetrotさんは「工房からの風」に、どのような作品を出品されますか?

A
草木などの天然染料で手染めしたリネンで仕立てた服を出品します。

「葡萄酒」や「黄葉」など 染めた色には名前がついています。
その背景にある物語も一緒にお楽しみいただけたらと思います。


habetrotさんの草木染の服への思いは、
こちらに濃く豊かに簡潔に書かれていますので、
あわせて、ぜひお読みくださいね。
→ 

+++


habetrotさんには、「工房からの風」の出展が決まってから、
何か変化がありましたか?

A
制作を始めてまだ2年で、個展や大きな展示の経験もないので、
「工房からの風」に出展が決まった時は、喜びと同時に大きな不安を感じていました。

出展が決まってからの7か月間、
精いっぱい 作品と向きあう日々のなかでいろいろな出来事がありましたが、
不安やトラブルにも めげない強さをもった自分に出会うことができました。

 

 

少し、長くなりそうですが、habetrotさん、というブランド名よりも、
ここでは友紀子さんとお書きしましょうか、
ひとりの作り手、友紀子さんとの、数か月のことをお書きしますね。


「工房からの風」では、なるべく出展作家と個別にミーティングを重ねています。
友紀子さんからは、3月末の出展者全体ミーティングに来られた後に、
すぐに面談のアポイントの打診をいただきました。
大阪から来られるというので、何かついでがあるのかな。
そう思ってのミーティングでしたけれど、そうではありませんでした。
友紀子さん、このミーティングだけのために、大阪から夜行バス往復で来られたのでした。
その意欲に驚き、ありがたく思ったのでした。

けれど、見せていただいた作品を前に、困ってしまったのも事実でした。
作品の完成度が、私の望むところになかったのです。
特にミシンの腕に厳しいものを感じ、これで出展して大丈夫だろうかと。

「工房からの風」のお客様は皆様、目が肥えていらっしゃいます。
まして、ミシンがとても上手な方はたくさんいらっしゃることでしょう。
う~む、困った。。。

その日、友紀子さんとゆっくりお話しした中で、なぜ友紀子さんがこの道に進んだのか、
そして、どれだけ真剣に進もうと思っているのかは、痛いほど感じました。
けれど、その思いを形にしてこそプロ、なのですね。
出展を来年に見送ることも検討したほうがよいのではないだろうか。
そんなこともお伝えしました。

けれど、このタイミングでぜひ前に漕ぎ出していきたい。
静かで控えめな印象からは意外なほどに、友紀子さんの意志は固かったのです。

「作って作って作ることで腕を上げるしかないと思う。
6月のgalleryらふとでの「風の予感」展には、少しでも上達した服を見せてくださいね」
厳しいようでもありますが、そう心から励まして、その日は別れたのでした。


そして、6月のはじめ。
galleryらふとでの展覧会「風の予感」。

面談のあと、精一杯縫い上げた服を展覧会のために梱包し、宅配会社に託したあと、
あろうことか、輸送中に交通事故が起こって、
友紀子さんの荷が行方不明になってしまったのでした。

前日の搬入時、大阪でそのトラブルを知った友紀子さん。
電話で交わした不安そうな声は今も忘れられません。
荷がどうなったかの確認がとれないまま、
「とにかく元気にギャラリーまでやってきて!」
と伝えるのが精一杯でした。

展覧会初日の朝、願いは虚しく、荷、すなわち作品は全焼したことが判明しました。
私もこの仕事を30年近くしてきましたが、このようなことは初めてです。
しかし、起こってしまったのですね。
(当時、ブログでも「輸送時のトラブルでご覧いただけない状況となっております」
とお伝えしていたのはこのようなことでした → 

このような中、ギャラリーに来られて、友紀子さんは肩を落としてこう言いました。
「少しでも上達したミシンのステッチを、イナガキさんにはどうしても見てほしかった」と。

それはとても辛くて、残念なことだったのですけれど、
がっくりとしながらも、友紀子さんの何かをやりきった者だけが持つ、
清々しいような姿を前に、このような言葉をかけずにはいられませんでした。

「その作品を今回見ることはできなかったけれど、
友紀子さんの腕がつかんだ技術は、ちゃんと身体に残ったはずだから。
今回つかんだ手の感覚は、消えてなくなったりしないのだから」と。

この日、ギャラリーで一緒に参加した他の作家の方々にも心から励まされ、
よい刺激をたくさん受けて、再び夜行バスで友紀子さんは大阪に帰っていきました。
ギャラリーを後にして、庭のレンガ道を歩いて帰路につく友紀子さん。
その後姿の肩はちゃんとあがっていて、
ああ、もう大丈夫。
そう確信したのでした。


約一か月後、七夕の頃。
おりひめ神社の前にある「galleryらふと」に、再び友紀子さんがやってきました。
新たに布を染め、その布で服を縫い上げて。
そのミシンのステッチは、春浅き日にみたものから格段に滑らかで、
腕と手に蓄えた技術と、心に育まれた自信が、服のかたちに表れていました。

もちろん、ミシンの技術だけでいえば、
プロとしてもっともっと精進しなければならないことと思います。
けれども、想いを深くもって布を染め、服を縫うことをまっすぐに進む人が、目の前にいる。
それを応援しなくて、何の仕事だろう、そう思いました。
もちろん「工房からの風」で「habetrot」の作品を見る目にバイアスをかける必要はありません。
けれど、こんなやりとりがあったこと。
この場では、お伝えしたいと思ったのでした。
これこそが、「工房からの風」の大切なものだから。

(とはいえ、ずいぶん長くなってしまいましたね、すみません。。。)

Q
habetrotさんの好きな言葉、座右の銘、何気なく工房の壁に貼りとめているフレーズなど、
大切にしている言葉を教えてください。

A
「草根木皮、これ小薬なり。
鍼灸、これ中薬なり。
飲食衣服、これ大薬なり。
身を修め心を治める、これ薬源なり。」

こちらは中国の最も古い書物の中に書かれている言葉です。
漢方薬や治療よりも、もっと効くのが飲み物食べ物と衣服なのだそうです。
私が草木染めの制作をはじめる きっかけとなった言葉のひとつです。

habetrotさんの服、さあ、どんな風に会場にそよぐでしょうか。

出展場所は、おりひめ神社ゾーン。
ギャラリーらふとの奥、日本庭園の中です。

habetrotさんのブログはこちらになります → 

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KAWAHARA YUKIKOさん 布フェルト スイス

トップバッターは、一番遠い「工房から」出展くださる方を。

KAWAHARA YUKIKOさん。
スイスからこの展覧会のためにやってきてくださいます。

Q
KAWAHARA さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品くださいますか?


ミトンの手袋、帽子、ストールやマフラーなど、軽くて暖かく寒い日を楽しくしてくれる
身につけるものを出品させていただきます。

羊毛と布に石鹸水をこすったり振動を与えてフェルトを作る、
シート羊毛という方法で制作していますが、
素材の良さ、フェルトで作る意味とその特徴を生かした形と
メリノ羊毛とのシルクやコットンの繊維が絡まり合ってできる色や表面の風合が特徴です。

スイスはもうすっかり秋も深まっているようですが、
「工房からの風」のころの日本、千葉の市川は、
ちょうど秋が深まる前の一瞬の穏やかな輝きの季節ですね。
フェルトがだんだん恋しくなっていく季節!

+++

Q
出展が決まってから、ご自身やお仕事などに変化はありましたでしょうか?

A
フエルトを初めて14年が経ちましたが、日本でのグループ展の参加は初めてです。

出展が決まった当初は「いろいろなものを皆さんに見ていただきたい」と
妙な気合いが入り、迷いや不安もありましたが、
制作を重ねながら『わたしがフエルトをする意味』を改めて考え、
『根幹』を見つめ直す良い機会になりました。

制作中はニッケの会場の緑の中の杜をイメージし、
そこに吹く風を想像し、そこ生まれる出会いを妄想!?していたので
いつもの作品とは違う見えない空気(の様なもの)が
羊毛の間に作品の中に感じることが出来るかもしれません。

KAWAHARAさんは、年に一度ほど帰国をされるようですが、
今年は応募時の冬に、ちょうど恵比寿での展覧会のために戻っていらっしゃいました。

未知の方からの応募用紙の中にあったその展覧会のご案内を見て、
ちょうどタイミングよく恵比寿へ伺えて、作品を実際に拝見し、
KAWAHARAさんにお目にかかることもできました。

日本での発表を増やしていこうと思うタイミングで、
ぜひ「工房からの風」に出展したい、と思われたそうですが、
いよいよもうすぐ、それが叶いますね。

+++

Q
好きな言葉、座右の銘、何気なく工房の壁に貼りとめているフレーズなど、
大切にしている言葉を教えてください。

A
<<“It’s impossible.” said pride. “It’s risky.” said experience. “It’s pointless.” said reason. “Give it a try.” whispered the heart. -unknown- >>

(このコトバを初めて読んだのが英語でした。
和訳にしてもしっくりこないので敢えて英語で書きました)

「不可能だ。」と”<誇り>が言った。
「危険なのです。」と<体験>が語った。
「無意味だ。」と<理由>は述べた。
「試してみる!」と<心>がささやいた。

作者不明の言葉ですが、年を重ねる毎に仕事だけではなく多方面で自然と臆病になって、
守りの体勢になってしまうような気がしています。
わたしにとって初心に戻る為のおまじないの言葉にです。

でも今アトリエに貼ってあるのは…..

i really need a day between saturday and sunday

密かに、でも心から願っています(笑)

うーん、なんとも素敵なおちまでつけていただき、ありがとうございます!
KAWAHARAさんの出展場所は、おりひめ神社の脇。
スイスから、純和風な雰囲気の中での展示ですね。

ドイツ語中心ですが、ホームページはこちらになります。
→ 

また、日本語はこちらです → 

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男の仕事場

何やら、始まりました・・・
な、なに???

今日は東京の西側までいそいそと取材に出かけました。
テーマは「男の仕事場」。

今年の「工房からの風 」で、風人(かぜびと)さんとして参加くださる
木工の菅原博之さん、椅子張りの藤武秀幸さん(TETOTE)、
鍛鉄の羽生直記さんの3人。
「工房からの風」では、3人がそれぞれに工房から道具を持ち込んで、
制作公開をじゃーーんとやることに。。。
そのテントの名前が「男の仕事場」。なんです。

菅原さんがカトラリーを作り始めると・・・

ふたりが寄ってきて、ものづくり談義。

 

藤武さんが椅子張りを始めると・・・

またまた、ふたりが寄ってきて・・・

羽生さんが、カーン、カーンと鉄を叩き始めると・・・

なんだか、妙に和気藹藹な雰囲気になって・・・。

「工房からの風」のリハーサル?というわけでもありませんが、
公園の一角で、なんとも考えようによってはシュール!な光景が出現していました。
3人とも、幸せそうで、ずっと、ここで作ってたいなー、気持ちいいなー
ですって。
打ち合わせと取材をしながら、私まで心がふっくら幸せが広がっていきました。
この感じ、「工房からの風」で、皆様にお伝えできますように。。。

当日は、カトラリーづくり、椅子張り、フライパンづくりを、
「男の仕事場」テントにて、公開いたします。
きっと、今日のような爽やかな笑顔と、空気感、そして幸福感に満ちたテントになりますね。

で、最後は、いつしか(三越展の時からかしら?)王子と呼ばれている
羽生さんのサービスショットで締めましょう!
(ちょっと、今日の王子はワイルドでしたね)

10月18日、19日。
お楽しみに~

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出展作家公開しました。

いよいよ本展まであと一か月ほど!
案内状やさまざまな制作物も完成してきたり、入稿への佳境を迎えています。

今年度のメインビジュアルは「ぶどう」。
新鮮な作り手たちは、時代の中で果実のように生まれてきます
の言葉からつなげて、昨年の洋ナシに続き、大野八生さんに描いていただきました。
今年は、葡萄色の「工房からの風」ですね。

出展作家も公開しました。 → 
今年は展示販売作家44名(組)と
ワークショップ、デモンストレーション作家14名(組)
=計58名(組)の出展となります。
(今年は、ワークショップ、デモンストレーション作家の作品も
小アイテムのセレクト構成ですが、当日の販売も行います)
もうすでに手帳にチェックいただけましたでしょうか!
10月18日(土) 19日(日)
ご来場をお待ちしております!!

::::

そして、今週末は、プレイベント。
館内タワーコートでワークショップや、一足先にインフォメーションコーナーを設けます。
詳しくはこちらに → 

このうち、14日(日)、petitricotさんの「切手サイズの織り布づくり」は、
事前予約を現在承っております。

内容   : 手製の小さな機(はた)で、約3㎝×3.5㎝の切手サイズの小さな布を織ります。
       糸はpetitricotさんによる手紡ぎ糸と心贅沢な織時間です。
       (織りあがった布をお持ち帰りいただきます)
開催時間 : 10:30~  15:00~
所要時間 : 2時間半
参加費  : 2500円
定員   : 各回5名様
対象年齢 : 大人対象 手芸の心得のある方

お申し込みは メール またはお電話047-370-2244
にて、ただ今承っております。

いよいよ、、、本格的に風がそよぎ始めてきました~~

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作家出店エリア別インデックス

コルトン広場から南側につながる「ニッケ鎮守の杜」。
工場時代から残る90年ほどになる「おりひめ神社」と、
それに隣接する空間を、自然の下草と、人の暮らしに恵みを与えてくれる
有用植物を中心とした草花を育てる「手仕事の庭」 があります。

手仕事の庭エリアには、

nomamaさん(染織)

千種さん(フェルト)

Rainbow Leafさん(ガラス)

佐藤祐子さん(金属)

結城琴乃さん(木・針金)

沼田智也さん(陶芸)

Awabi wareさん(陶芸)

寺田知司さん(染織)

遠藤章子さん(ガラス)

mek&jirraさん(お香)

玉元利幸さん(木工)

小川麻美さん(陶芸)

橋村野美知さん(ガラス)

羽生直記さん(金属)

がいらっしゃいます。
下草萌える場所だったり、花壇が借景だったり、
お庭をちょっと見下ろす場所だったりというエリアです。

つながって、おりひめ神社エリアには、このような方たちが展示くださいます。

勢司恵美さん(竹)

earthwormさん(織)

Noraglassさん(ガラス)

椿文香さん(染織)

大島奈王さん(絵・オブジェ)

uiny by nakamurayuiさん(金属・服)

吉田麻子さん(染織)

studio fujinoさん(木工)

田鶴濱守人さん(陶芸)

きたのまりこさん(金属)

TETOTEさん(金属)

ABALLIさん(皮革)

248 nishiyaさん(布バッグ)

菅原博之さん(木工)

楠や椎木といった高木の木漏れ日が揺れるエリアです。
(砂利や木の根っこでお足元が滑らかにいきませんので、ご注意くださいませ)

前もってご案内した

コルトン広場モニュメントエリア

コルトン広場スペイン階段前

と、合わせて、出展作家インデックスとしても、ぜひご覧ください。

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佐藤祐子さん(金属)

佐藤祐子さんは、ジュエリー作家。
金属で装身具を作り、ほかに鍛金でカトラリーも制作します。
今までの出展作家にはなかったものづくりもされていますよ。

Q
佐藤祐子さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品されますか?

A
自然物をモチーフとしたアクセサリーと、
カトラリーやプレートなどのオブジェクツを出品します。

アクセサリーとジュエリー。
定義は難しいのですけれど、業界的には作家のすみわけもあって、
佐藤さんは修業先からジュエリーの方々と接することが多かったかと思います。
一般的にジュエリーの方々は、野外展には出展されない傾向がありますが、
佐藤さんは軽やかにとらえて、ご自身の制作活動を進めていこうとされています。

技法的には、地金からの制作がほとんで、
量産できる体制をあまりとっていないようですね。
このあたり、一般的にはわかりにくかもですので、すみません。
何をお伝えしたいかというと、同じ金属での装身具つくりでもいろいろとあって、
佐藤さんのようなお仕事も、親しみやすい世界で、
これからも続いていってほしいという気持ちなのです。

また、特にご覧いただきたいのは、「プランツ スタンプ ジュエリー」。
押し花を作って、それを金や銀に押していくお仕事です。
どの花でも可能なわけではありませんし、素材も柔らかな金属でないと姿を刻めないので、
24金か純銀を使わなければなりません。
できあがった「プランツ スタンプ ジュエリー」は、まさに世界にひとつだけのもの。

このお話も「風の音」で取材させていただきましたので、ぜひご覧くださいね。

Q
佐藤祐子さんにとって、「工房からの風」って、どんな風なのでしょうか?

A
自分を新しい場所へ運んでくれる風。
また、誰かに嬉しさや驚きを運んでくれる風であってほしいです。

誰かに嬉しさや驚きを運んでくれる風
って、すてきな思い、表現ですね。

Q
佐藤祐子さんは、小学生のころ、何になりたかったのでしょうか?

A
その時々で憧れていた人がやっていた職業になりたかったです。
保母さん→お花屋さん→小学校の先生→お菓子屋さん、
とかなり移り気です。

移り気な祐子さんだそうですけれど?
お仕事は一途とお見受けしましたよ!

佐藤祐子さんのホームページはこちらになります。 →

出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って、下草萌える空間。
織りのnomamaさんやフェルトの千種さんのブースの下りたあたり。
「プランツ スタンプ ジュエリー」のモチーフのひとつともなった萩が、
今年は珍しくまだ残っていて、ちょうどほろほろと零れているその脇に
美しい作品世界が広がることでしょう。

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Awabi wareさん(陶芸)

Awabi ware
アワビ ウエアと、聞いて何だろう?って思いませんか。
私はてっきり、鮑(あわび)だと思って、焼き物に面白い名前を付ける方だなぁ、
と思いました。

そして、実はそれが、淡路島美術大学を略して「あわび」なのだと知って、
ちょっと膝をたたきました。
作家は岡本純一さん。
出身はむさび、でした。
でも、今はその名前にだけではなくて、岡本さんの考えていること、
実践していることに、大いに膝をたたきたい気持ちです。

Q
Awabi wareさんは、「工房からの風」にどのような作品を出されますか?

A
冬支度少し前の季節。
厳しい冬の寒さも、楽しく温かく過ごせるような耐熱のお皿と
ココット鍋をメインに出品します。

岡本さんの器、とてもしっかりとしています。
しっかりというのは、かたちが熟していて、色合いが心地よく、
すうっと暮らしの中にとけ込んでいくようなうつわ。
違和がないのに、新鮮であるって、
とてもしっかりとした美意識と技術がないと生まれないように思うから。
新作の鍋類も、期待です。

Q
Awabi wareさんにとって、「工房からの風」って、どんな風ですか?

A
始まる前は突風。始まってしまえばそよ風。
終わってしまえば、また突風。

威勢のいい突風、
岡本さんならいい感じにふくらませていきそうですね。

東京で現代美術作家として発表の機会を得ていた岡本さんが、
3年半前に家族4人で故郷の淡路島に戻り、
その地で「あわび」を立ち上げて、暮らしと制作を響かせて生きていく姿。
「風の音」にも、寄稿していただきましたが、
淡々と滋味深く綴られている文章、その思いも
ぜひお読みいただければと思います。

Q
岡本さんは、小学生のころ、何になりたかったのでしょうか?

A
旅人とか。

あ、いらっしゃいましたね、ほかにも。
このかた〇や、このかた〇など・・・

Awabi wareさんのホームページはこちらになります。 → 

出展場所は、ニッケ鎮守の杜に入って、下草萌える空間。
周りには、結城琴乃さんや、遠藤章子さんのブースがあります。
対面は「トキニワカフェ」。
当たりの強い場所!ですけれど、岡本さんならそれもまた、楽しんでくださることでしょう。

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吉田麻子さん(羊毛)

今回ご紹介する吉田麻子さんとの出会いは、
東日本大震災についてのフォーラム会場でのこと。
多くの方々にご参加をいただいた復興支援プログラム、
「ぬくもりを届けよう、ニッケ+工房からの風から」の
レポートに出向いた会場で、声をかけていただきました。
(ブログ記事はこちらです → 

昨年の「工房からの風」のお手伝いをしました!
と聞いて驚きました。
大学時代の友人、染織の佐藤亜紀さんのブースで
サポートくださっていた、とおっしゃるのです。
そして、ご自身は羊毛を通じて、今も石巻に通っていること
などをお話くださいました。
その後、幾度かのやり取りを通して、今回出展作家として、
参加くださることになったのでした。

Q
吉田麻子さんは、「工房からの風」にどのような作品を出品されますか?
また、どのようなことをなさいますか?

A
羊毛を紡いで、マフラーを織ります。
一頭ごとに織るので、その個性を表せたらと思っています。
その作品展示販売を土曜日を中心に、
日曜日には、以下のようにワークショップを展開したいと思います。

タイトル:東北の羊の毛で糸を紡ぐ
場所:ニッケ鎮守の杜 参道入り口脇
10/13(日)のみ
10:30~12:00/12:45~14:15/15:00~16:30
定員各8名 \3,500(木製スピンドル付)
対象:10歳~大人
ぜひ、ご参加ください。

(お申し込みは、すべて吉田さんのテントで各回開始30分前からとなります。
おひとりで対応できない方(お子様など)は、必ず補助する方がお付き添いください)

「風の音」に詳しく記しましたが、
吉田さんは石巻に通いながら、羊を飼い続けてきた人と出会い、
そこから糸車をしまい込んでいた人や、
獅子頭を作っていた職人さんと、神棚工房の職人さんとの出会いが生まれ、
神棚の木材でのスピンドルづくりへとつながっていきました。

今回のワークショップでは、そのとっても使いやすいスピンドルを使って、
東北の羊の糸紡ぎをワークショップも行います。

Q
吉田さんにとって、「工房からの風」って、どんな風ですか?

A
今までの私にとって工房の風は上空で吹いている憧れの風のようでした。
けれど、先日の作家同士のミーティングで、
この風を受けとめられる強い帆を張りたいと思いました。
船の帆を張る風だと思います。

吉田さんの羊毛とのかかわりをみていると、いろいろなことを感じ、
考えさせられます。
作って売る、ということだけを仕事というのであれば、
吉田さんの制作スタイルは、仕事とは言い切れなくなりますが、
では、趣味かというと、それは違うのですね。
さまざまな矛盾を抱えながらも、進みながら、人と関わりながら、
自分ならではの羊毛や、手の仕事を模索する。
一元的にものづくりをとらえずに、動きながら、潮を生んでいく。
それが何かは未知数ですが、そんな未知数をこそ、
11回目を迎える工房からの風は、孕んでいければと思っています。
答えって、あるものを掴むのではなくて、探していくものなのかもしれません。
風の音」も、ぜひ、ご覧下さいね。

Q
吉田さんは、小学生のころ、何になりたかったのでしょうか?

A
テレビで見た、 トレンディードラマのような大人になるんだと思っていました。

ええっ。
これも、相当びっくりでした!
(私はすでに大人でしたし(苦笑))

愛らしいイラストで始める吉田麻子さんのホームページはこちらになります。 → 

出展場所は、「galleryらふと」の西側参道の向こう側。
岩が配置された日本庭園風の空間です。
同じエリアに、uiny by nakamurayui さんと、
大島奈王さんという個性派ゾーンとなっています。